不幸なリビング ルームで彼氏と議論した後怒っているアジアの女性。仲の悪いカップルというコンセプト。

10年レス夫婦にある日突然「性欲」が戻ったらどうなる?夫婦関係の専門家に聞いた

2020/09/29

夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんは、今後「10年セックスレス夫婦」は珍しくないものになるだろう、と話します。一方で、もしある日突然「性欲」が戻った場合、それは悲劇的なことになる……とも。

今回は「10年レス夫婦にある日突然『性欲』が戻ったらどうなる?」をテーマに解説してもらいます。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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コロナ禍でセックスレスが増加傾向に!?

「セックスレス」という言葉が新聞やネットへ登場するようになって、どれくらい経ったのでしょうか。日本性科学会が定義を出したのが1994年のこと。精神科医の阿部輝夫先生による『セックスレスの精神医学』が出版されたのは2004年で、この年は筆者(三松)の著書『となりの寝室』で主婦1,609名を対象にした性の調査も紹介し、反響を呼びました。

セックスレスという言葉が広く知られるようになったのは、おおよそ2000年前後と考えていいでしょう。そして約20年経ったいまも多くの夫婦がセックスレスの状態にあります。

また2020年は新型コロナウイルスの流行によって、セックスレス増に拍車がかかる、とも言われています。株式会社TENGAが「コロナと性生活に関する意識調査」を960名対象に行ったので、結果を見てみましょう。

提供:株式会社TENGA
提供:株式会社TENGA

調査によれば、アンケート回答者のうち4人に1人がコロナウイルスの影響で性生活に変化が見られたそうで、また営みの回数も月1~9回だった人たちがコロナ禍の中で減少。その一方で月0回の人たちが増加しました。

未婚カップルも含む調査のため、緊急事態宣言の解除に伴って営みの回数などは緩やかに増えてきている(デートを再開したと考えられます)ものの、それを差し引いても感染拡大とともに性欲と性生活満足度は減少傾向にあります。新型コロナウイルスは夜の営みにも影響を与えている、と断言していいでしょう。

なぜコロナ禍で性生活に変化が起きるのか?感染を恐れてということももちろんありますが、筆者が各所で話を聞く限りはステイホームで夫婦一緒にいる時間が多すぎて息抜きができない、夫婦の衛生概念の違いから口論になったなど、夫婦関係の歪みが原因にありそうです。夫婦関係がギスギスすれば、当然営みを避けるようになりますよね。

「10年セックスレス」が夫婦関係の“標準”になる!?

引数を持つアジア カップル
Rawpixel/gettyimages

このような状況を鑑みると、アフターコロナ(あるいはwithコロナ)の世の中では「10年セックスレス」レベルの夫婦はもはや珍しくないものではなく「標準」になるかもしれません。また、現時点でも30代夫婦の約半数がセックスレスという、衝撃的なデータもあります(※)。

しかし「セックスレスは“標準”だから議論の必要はナシ!」と言い切るわけにはいきません。人の性欲とは波のようなもの。いまは「なくていい」で納得していても、ある日突然「あったほうがいい」に変化することがあります。そしてもしそういった変化が「10年セックスレス」の夫婦どちらかに起きたら、とても苦しい思いをすることになるでしょう。筆者もそのような相談は数多く受けてきました。その一例をご紹介しましょう。

夫から「卒業」を宣告された10年レス唯香さん(42歳)のケース

子どもの中学受験が終わるまでは、子どものこと以外考えられなかった、と話す唯香さん。パートの仕事はしていましたが、早めに帰宅して弁当を詰めたり、塾へ迎えに行ったりとドタバタの生活だったそうです。

夫は中小企業に勤める4歳年上の会社員。友人の紹介で交際が始まり結婚しました。唯香さんは恋愛経験が少なく、夜の営みにはもともと消極的でした。子どもが産まれてからはますますその気になれず、断り続けているうちに夫が誘うこともなくなり約10年経過。唯香さん自身はその状態に不満はなく、夫婦仲も良好。子ども中心にすべてがまわる日々を過ごしていました。

しかし「このままでいいの?」が突然訪れます。

夫の同僚宅で開催されるパーティーに呼ばれたときのこと。4組の夫婦が集い、和気あいあいと会話を楽しみました。その場にいたほかの夫がとてもやさしくて、眩しく見えたのです。妻にドリンクを運んだり、背中に手をそえたりと、自分の夫がしないような行動が目に入り、さらに「うちの妻はダイエットをがんばって、色っぽくなったんですよ」と褒める人もいる。

そのときは「よそ行きの振る舞いに違いない…」と疑っていましたが、数日経っても夫たちの仕草や妻に対する笑顔が頭から離れない。同時に「もしかして、ほかのご夫婦は営みがまだあるの?」と、気になってきました。以来、ママ友やパート先の同世代の女性をそういう視点で見るようになります。そしてある日、夫におそるおそる切り出しました。
「40過ぎても、夜の営みを続けている人っているのかな?」
「いるに決まっているよ。“ある”なんて言うと、冷やかされるから黙ってる人もいるだろうけど……まあ、うちは卒業って状態だよね」

そう言って部屋を出ていった夫を見て、営みのあった時期が3年しかなかったことに気づいた唯香さん。「いつかは再開する」と漠然と考えていたので、「卒業」という夫の言葉になんとも言えぬ衝撃を受けました。

「なくていい」の凝り固まった思考を捨てよう

セックスレスの夫婦の話を聞いていると、とくに妻側に多いのが「なくてせいせいしている」「ないけれど、いつかはあると安心している」のパターン。後者は「卒業だ」「一生しない」と言われると、唯香さんのようにショックを受けます。

熟年層向け雑誌のセックスレス特集で手記を読むと「なくていいと思っていたけど、いざ宣言されると女として終わったと寂しくなった」という嘆きが寄せられています。夫に宣言されずとも、白髪や肌の老化、体力の衰えを実感して「もう死ぬまで男女の営みの経験をすることはない」と自覚して寂しさをおぼえる女性もいます。

40代、50代になって「今さらですが……」とお悩みを打ち明けてくれるかたがたの後悔の言葉を聞いているうちに筆者は「10年レスを“標準”にしてはいけない!」と強く思うようになりました。

セックスレスは長引くほど復活はむずかしくなります。もし10年レス、あるいは予備軍のかたがいたら、まずは「なくていい」の凝り固まった思考をほぐすことから始めましょう。



◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

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