知っておくべき、おいしい野菜ができるまで。女性農業士さん取材日誌

2021/02/22

毎日口にしている野菜がどんな風につくられて私たちの手に届くのか、子どもに話すことができますか? おいしく安全に食べられる野菜ができるまでを知ることで、食の大切さ、農家の方々への感謝を知るきっかけになるはずです。家族でテーブルを囲む機会が多いこの時期に、この記事を読んで、食について話してみませんか。

お話を聞いたのは…

藤井さんの野菜づくりのポイントはズバリ?

「ズバリ、土ですね!野菜の適性に合った土づくりです。例えばレタスには化学肥料やたい肥を使い、ブロッコリーやキャベツにはあまり肥料を使わずにつくっています。土をまるごと変えることはできないので、土のコンディションを保つことには常に気を配っています」

「また、ここ数年は、気候変動や長雨、風の被害など毎年何があるかわからないので、同僚の女性農業士さんと雑誌や農薬メーカーが主催するセミナーなどに参加しながら情報収集するようにしています」

元気な畑にするための肥料は試行錯誤です

「20年以上やっていますが、野菜づくりは毎年同じということがありませんし、正解もありません。いつも新米1年生の気分で土と野菜と向き合っています。あとは、時代の波といいますか、旬も気にかけています。今は、甘い野菜が人気なのですが、その野菜をつくるためには植物性肥料(油かすなど)が必要なんです。うちではなかなか手をつけられないのですが、チャレンジしてみたい気持ちもありますね…」

肥料は野菜をおいしく育てるため、農薬は安定供給のために必要不可欠だと考えています

「先ほどもお話ししましたが、野菜の適性に合った土づくりのために肥料を必要とするのと一緒で、大量に安定した数の野菜をつくるためには、農薬が必要なんです。例えば、畑に入ってしまった菌は、5年くらい土壌に残り病気の原因となることがあります。畑と長く付き合うためには、短期間で効果が出る農薬を使って病気を減らし、土壌を健康に保つ必要があるのです」

「農薬は、病気に対する治療効果があるものと、予防の段階で畑が病気になる前に防ぐものがあるので、私は予防のために農薬を使って、それでも病気が出てしまったら、治療に長けている農薬を使うという使いわけをしています。
農薬がないとこれだけ大量に出荷することは難しいと思っています。消費者の方々には農薬は危ないと思っている人もいるかもしれませんが、日本は農薬の検査基準が厳しいのと、私は、実際に農薬をつくっているところへ行って説明を聞き、自分の目と耳で調べて、提供しても安心だと思えるものを使って出荷しているので、皆さんには安心して食べていただきたいと思います」

おいしい野菜を食べてもらうために取り組んでいることは?

「皆さんにできるだけ新鮮な状態で野菜を食べてもらいたいので、収穫したら翌日に届けたいという思いでなるべく早く出荷できるよう努力をしています。
また、出荷するときに、例えばレタスなら、レタスのオシリの部分を一つ一つきちんと拭くなど、きれいにしてから出荷するように心がけています。やっぱり、おいしい野菜といっても、虫がついていたり葉が茶色くなっていたりすると買ってはくれないと思うんですよね…」

「ほかには、女性農業士として、各地域のママたちに野菜を使ったレシピを教えたこともありましたし、同僚が学校へ出前授業に行ったり、収穫体験を子どもたちにさせたこともありましたね。地道なことですが、コツコツやりながら評価はいただけているようです」

野菜をよく見て、よく食べて、私たちがつくる野菜のおいしさを知ってもらえたら…

「皆さんには、スーパーでの地産地消のコーナーなどをちょっとのぞいてもらって、どんなところでどんな野菜がつくられているのか、旬の野菜のおいしさを食べ比べてもらえたらと思います。働いているママさんたちも多いと思うので、例えば、平日はカット野菜でも週末のどちらかはひと手間かけて、家族で野菜をまるごと食べていただく、というのが私の理想です。

週末はキャベツをまるごと買って、お好み焼きに、残りは野菜炒めに、とか、カリフラワーもサラダに入れたら、次は天ぷらに。ゆでたカリフラワーと豚肉をタレと一緒に炒めたり…など、3品4品レシピの発想転換をしながら料理を楽しんでもらえたらと思いますね。野菜を自分でつくってみるのもいいですね。そうして、私たち農家が安定供給している野菜の肥料や農薬のことも知ってほしいな、と思います」

内田さんの感想
農薬を使用する理由として、病気を予防するためや大切な農作物を虫などに食べられないように守るため、というのはなんとなく知っていましたが、藤井さんにお話を伺って、野菜を育てるうえで欠かせない、土壌の状態を健康に保つためにも必要なことを初めて知りました。
女性農業士さんとして、農薬について勉強し、情報を収集しながら頑張っている藤井さんの野菜へかける情熱やチャレンジ精神に魅了されたので、これからも私たちは安心して家族みんなで野菜を食べようと思います!

また、「家族の健康に直結する食事。食事をつくるうえで欠かせない食材選びで何を選択するか」という点において、ネットなどで様々な情報が溢れる今だからこそ、生産者さんの生のお声を聞けたのは、大変貴重な機会となりました。
私たち主婦は、毎日の食卓でそれぞれが“無駄なく・おいしく食べ、消費すること”をもっと意識することで、日本の農業の活性化や未来の農業の発展にも繋がるのではないかと思いました。

藤井さんの野菜づくりへかける情熱やチャレンジ精神に魅了され、真心込めてつくられたお野菜を食べてみたい!と感じる一日でした。
貴重なお話をありがとうございました。

協力/農薬工業会

 
 

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