片づけのプロが証言!「家が散らかる本当の理由」って?

2018/10/15

「散らかる家と散らからない家は何が違うの?」「どうしたら片づけやすい家になるの?」その答えを探るべく、日本中の家の悩みを解決してきた”片づけのプロ”を取材。散らかりやすい家には、そうなる理由がありました。

<教えてくれた人>
■中山真由美さん(インブルーム代表)
今、最も予約の取れないカリスマアドバイザー。個人宅や企業の収納コンサルティングで片づけられない人々を救済。2児の母でもあり、わかりやすく的確なアドバイスが人気。

■伊藤勇司さん(空間心理カウンセラー)
心理学を専門とし、片づけの悩みを心理的な側面から解決。親しみやすい人柄が人気で、主婦から企業経営者まで幅広くサポート。人間関係や仕事にも好影響をもたらすと評判に。

片づけが苦手な人の”共通点”は?

中山さん(以下:中):相談者のかたや知人を見ていて思うのは、片づけが苦手な人は、ちょっとした仕事も後回しにすることが多いですね。もちろん、後回しにしてだらけているわけじゃない。みんな家事や育児、パートなどで忙しいから「今はやれない」と思っているんです。でも忙しい人は今だけでなく、あとになっても忙しいもの。1〜2分で終わる片づけでさえ後回しにしていたら、積もり積もって家は散らかる一方です。逆に言うと、家が散らかっていない人は何でも後回しにせず、こまめに片づけているんです。

編(以下:編):散らかる家の人は、後先を考えず、今を優先してしまうということですか?

中:「今がよければいい」という思考なのだと思います。片づけだけでなく、例えば買い物でも、「今欲しいから買う」→「物が増える」→「収納グッズを買う」というように物がどんどん増えていきます。実は片づけが苦手な人は見た目ばかり気にする傾向もあり、収納に頼ることが多いんです。そして「とりあえず今きれいに見せたい」から何でもゴチャ交ぜに詰め込む。その結果、物があふれ、家は散らかる負のスパイラルに陥ってしまうのです。反対に、片づけが上手な人ほど目先をとりつくろうとせず、「散らかってもいいや」くらいの心構えでいるように思います。

編:家族の方に特徴はありますか?

中:ママが主導権を握っている家が多いように思います。散らかりやすい家の人は、本当はまじめで理想が高いんですよ。ハードルが高すぎるから、家族の意見を聞かずに片づけを強要する。そうなると、今度はお子さんが自分で判断できず〝指示待ち〞状態になってしまい、自発的に片づけができなくなるんです。そしてママは「自分ばかり片づけて、家族は協力してくれない」とストレスがたまってしまう。家族関係も悪化してしまいかねません。

どうすれば片づけられるの?

中:そもそも、いつもきれいな状態をキープするのはムリな話。生活していたら、散らかるのが当たり前なんです。だから「散らかってもすぐ元に戻せる」仕組みをつくればいいだけ。その仕組みが自分や家族に合っていれば、手間なく片づけられるはずです。片づけを面倒な〝後始末〞だと思っている人も多いけれど、それは間違い。片づけはつらいものではなく、次の何かをするためのスタート地点。そう思えば、気持ちもラクになりますよ。

編:自分や家族に合った片づけの仕組みは、どうやってつくるのでしょうか?

中:まずは自分が片づけで不便に思うことを思い出してください。例えばカトラリーでも、「スプーンやフォークなど細かく仕切ってあるほうが取り出しやすい」と思う人と、「仕切らずざっくり入っているほうが、しまうときラク」と思う人、それぞれ。だから自分や家族が落ち着くほうを選べばいいのです。1つずつ見直していけば、散らからずに心地いい空間がつくれますよ。

片づけられない人の心理状態って?

伊藤さん(以下:伊):片づけられない人は〝ダメ人間〞のように思われがちですが、問題はそこじゃない。散らかっている家でもその人が本当に満足しているのなら、そのままでいいのです。ただ、これまで片づけで悩む人たちを見てきて思うのは、「あのとき、こうだったから家が散らかったんだ」、「もっとこうなら散らからないのに」など、過去の話とネガティブな言い訳を口にする人が多いということ。実は、人間の脳と言葉は密接につながっています。「できない」「ムリ」といった否定的な言葉が口グセになると、脳は自然と自分のネガティブな部分を探そうとします。結果、脳が「片づけられない」指令を出し、体が動かなくなってしまうのです。

編:どうすれば、片づけ上手になれますか?

伊:ささいなことでもいいから、肯定的な言葉を口にすることです。今までは「これしかできなかった」と言っていたことを「これだけできた!」に変える。とにかく自分を褒めて、自信を取り戻すことが大事です。それでも何もする気が起きないときは、ムリをしないで自分を見つめ直す時間と思えばいい。小銭など小さなものを磨くのもおすすめです。1つの行為に心を向けていると瞑想状態になり、自分にとって大事なものは何か気づけたり、きれいになった小銭を見ることで自信を取り戻すきっかけになったりもします。

自信がつけば、片づけられる?

伊:どんな家が自分にとって心地いいのか、どんな自分になりたいのか、具体的なイメージを持つことも必要です。というのも、片づけというのは〝未来へ進む行為〞なんです。家がきれいになった状態の先にある夢や未来を想像することで、体も自然と動きだすもの。例えば、「テーブルの上を片づけること」を目的とするのではなく、「きれいなテーブルの上でケーキを食べること」をイメージすると、楽しみになって片づけたい感情が自然と生まれるのです。

編:家族には、どう伝えればいいでしょうか?

伊:ただ「片づけなさい」と言っても子どもにはピンときません。野球をやっているお子さんなら、「イチロー選手があれだけ活躍できるのは、小さいころから道具を大切に扱って、身の回りを整えてきたから」だと教えるのもいいでしょう。自分の未来につながる行為だと気づくことで、自発的に片づけられるようになります。これは大人も同じ。いきなり完璧をめざさなくていいので、小さな成功体験を積み重ねていけば、家族にとって心地よく、散らかりにくい家ができていきます。

結論:“片づけはゴール〞と思っている家が多い

中山さん、伊藤さんともに共通して力説していたのが、〝片づけはゴールではない〞ということ。そして、ここを間違ってとらえている人がとても多いということです。片づけをゴールにすると、まるで年末の大掃除のように重い腰を上げないとできない大変な作業に思えてしまうもの。でも、ゴールはあくまでも、〝快適で心地いい〞と思う家。それぞれがめざす理想の家に向けてのスタート地点が片づけなのだと思えば、ほら、ワクワクしてきませんか?

参照:『サンキュ!』10月号「散らかる家、散らからない家」より。掲載している情報は18年8月現在のものです。撮影/キムアルム 構成/出下真紀 取材・文/平井裕子 編集/サンキュ!編集部

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