国民年金・厚生年金

【40歳・扶養内パート】社会保険に入るor入らない「年金どっちが得?」プロが解説!

2022/05/02

パートで厚生年金に加入した年田金子(ねんだ きんこ)40歳。社会保険に入る? 扶養の範囲内で働き続ける? 金子の選択と、その結果受け取れる年金額をシミュレーションしました!

■登場人物
ねんだ きんこ

・年齢:40歳
・職業:パート(扶養内)
・金子の年収:80万円
・現在加入している年金:国民年金(第3号 被扶養者)
・家族構成:夫(43歳会社員)、長男(13歳)、二男(11歳)
・好物:クリームパン

<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 社会保険労務士 井戸美枝さん
定年世代のお金に精通する年金のスペシャリスト。近著『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)が大ヒット中!

4月からもっと働く決意をした年田金子

パート先の店長に相談したら「じゃあ社会保険に加入だね!」と言われた。

女性が手に持っている本のタイトルは「年金ハンドブック」です。
banabana-san/gettyimages

【金子の選択】
→はい。加入します!
→いいえ。このまま扶養の範囲内で働きます!

●社会保険に加入した場合

(結果)厚生年金に加入。結果、将来の年金受給額が増え、大きな保障も手に入れた!

日本円記号と硬貨を持つ木製のブロック。
Seiya Tabuchi/gettyimages

厚生年金に加入することで将来の年金受給額が増加!「さらに障害を負ったときの障害年金、死亡時の遺族年金にも、『厚生年金分』がプラス。厚生年金加入者は障害年金でカバーされる範囲が広く、手厚い保障がついてきます」。

(結果)雇用保険に加入し、資格取得の費用や介護中の生活費などをもらう権利を手に入れた!

社会保険(厚生年金保険、健康保険のこと)加入者は、同時に雇用保険にも入る。「雇用保険は、失業時の『失業保険』、介護で休むときの『介護休業給付金』などもらえるお金が多数。『教育訓練給付制度』など資格取得にも助成あり」。

(結果)病気やケガで休んでも1年半はお金がもらえる資格を手に入れた!

健康保険に加入することで、扶養内で働いていた頃より保障がパワーアップ。病気やケガで仕事を連続3日以上休むと4日目から、「傷病手当金」が出るように。「金額は、平均収入の3分の2程度。休んだ日数分で計算され、最長で1年半支給」。

(結果)給料から引かれる税金は増えた。しかし「ふるさと納税」や「iDeCo」で節税もできるようになった

扶養を抜けると、社会保険料や税金の負担は増します。「確かに自己負担は大きくなりますが、税金は年末調整で所得控除を申請すれば軽減可能。住民税を払う分、ふるさと納税は自分の名義で申し込めますよ」。

(結果)国民年金第3号被保険者のままなので変化なし

扶養を抜けると、社会保険料や税金の負担は増します。「確かに自己負担は大きくなりますが、税金は年末調整で所得控除を申請すれば軽減可能。住民税を払う分、ふるさと納税は自分の名義で申し込めますよ」。

●社会保険に加入しなかった場合

(結果)国民年金第3号被保険者のままなので変化なし

扶養内で働き続ける場合、将来受け取る年金は『老齢基礎年金』のみで変わらず。「今回の改正による影響はなし。満額を受け取れたとして、月額換算で約6.5万円の受給額です」。

64歳になった金子。パートを続ける金子のもとに「年金受給のお知らせ」が届いた

いよいよ年金の受給が始まる!

年金支払日、15日
Yusuke Ide/gettyimages

【金子の選択】
→65歳から年金を受給した
→68歳から年金を受給した
→70歳から年金を受給した

年田金子(64歳)
本人の年収180万円・勤続25年目に突入。

●65歳から年金を受給した場合

テーブルの上の日本の通帳と電卓
takasuu/gettyimages

40歳で社会保険に加入し、65歳まで25年間パートを頑張った金子の老齢厚生年金の受給額は、年23万6800円に。夫の年金(右下の65歳時を参照)を合わせ、世帯年収は298万200円。月額換算で約25万円の生活費を年金で手に入れた。

(結果)受給額は101万4600円になった(年間・約)

【老齢基礎年金】77万7800円+【老齢厚生年金】23万6800円

●68歳から年金を受給した場合

3年だけ、受給開始を繰り下げることを選んだ金子。受給額は65歳時よりも年間で約26万円、月額換算で約2.1万円増えることに!「わずかだと感じるかもしれませんが、老後の月2万円増はとても大きい。ゆとりが違うはずです」。

(結果)受給額は127万300円になった(年間・約)

【老齢基礎年金】97万3800円+【老齢厚生年金】29万6500円

70歳から年金を受給した場合

夫と相談し、金子の分だけ70歳まで繰り下げることに。年金額は、65歳時よりも年間で約43万円、月額換算で約3.6万円も上がった!「女性は男性より長生きする可能性が大。自分の年金を増やしておくのは賢い選択です」。

(結果)受給額は144万800円になった

【老齢基礎年金】110万4500円+【老齢厚生年金】33万6300円

ちなみに、夫が何歳で年金を受給するかも大事!

金子の夫(68歳)
年収500万円厚生年金に43年加入し、65歳のとき定年。

老夫婦が笑っています。
paylessimages/gettyimages

元会社員の夫は金子より年上で、先に年金生活に。「老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給開始は同時じゃなくてOK」。金子の収入があるので、夫は65歳から老齢厚生年金だけ受け取り、老齢基礎年金は繰り下げて受給額をアップ。

夫の老齢厚生年金(年間・約)

65歳から受給118万7800円。

老齢基礎年金のみ繰り下げた場合の夫の受給額(年間・約)。
65歳 77万7800円 合計196万5600円
68歳 97万3800円 合計216万1600円
70歳 110万4500円 合計229万2300円

"年下の妻"なら「加給年金」が支給される場合も

会社員の夫が年金生活に入った後、年下の妻(要件あり)がいる場合、妻が65歳になるまで年約39万円が支給に。ただし夫の老齢厚生年金を繰り下げると出ない点に注意。

参照:『サンキュ!』2022年5月号「年金で損をしない方法!」より。掲載している情報は2022年3月現在のものです。監修/井戸美枝 編集/サンキュ!編集部

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