【公立中に入れば学費0円?NO!】教育費のウソ?ホント?Q&A
2022/05/10
どんどんヘビーになる中学・高校からの教育費…。学校の授業料や塾の費用、大学進学に向けての費用はどう備える? ビミョーにわからない疑問をQ&Aでスッキリ解決!
<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 竹下さくらさん
教育費、奨学金のエキスパート。著書に『緊急対応版「奨学金」上手な借り方 新常識』(青春出版社)など。
私立中学校に入学した場合は?
PTA費、制服代なども高め。
私立では、スキー教室や芸術鑑賞などの校外学習も盛ん。「学校への寄付金もあるので、想像以上にかかると思ってよいでしょう」。
1年間にかかる教育費※1
ウソ?ホント?公立中学校に入学。公立ならばお金はほぼかからない?
→ ウソ! 年間約50万円はかかる。部活代、通信費などの出費が痛い。
文科省の調査によれば、公立中学も教育費に年50万円前後はかかっています。「中3は塾代に年50万円以上かかるのも普通。部活にかかる費用やスマホ、外出、服や靴にかかる費用も上がり、公立でも家計はじわじわ苦しくなる時期です」。
1年間にかかる教育費※1
ウソ?ホント?高校の無償化制度で、だれでも私立に無償で行けるようになった!
→ ウソ! 支援される金額は、世帯の住民税の額で異なる! 年収目安910万円以上だと全額自腹の可能性大!
高校無償化制度とは、国公立・私立高校の授業料が支援される制度で、学校を通じて申し込む。世帯の年収目安910万円以下が対象で、共働きだとオーバーする可能性も。「最終判定は年収ではなく住民税。扶養人数が多いなど、所得控除が多いと住民税が下がり、年収目安を超えていても対象になるかも」。
高校選びが大学受験にかかわってくるので、金銭面以外もよく考えて!
下の神奈川県の例では最大支援額が44万4000円ですが、東京都は46万1000円、埼玉県は37万8000円と差が。「東京都では年収目安910万円まで最大支援があるなど、自治体で異なるため、ホームページで確認を」。
高校選びが大学受験にかかわってくるので、金銭面以外もよく考えて!
実は、選ぶ高校によって大学受験も大きく変わってくる。「大学は推薦で進学するケースが増えており、この推薦枠は私立のほうが圧倒的に多いです。高校選びは、子どもの適性や3年後の進路まで見通して考えたいところです」。
【公立高校】学費は安いが、大学進学の塾代や受験費用がかかる
公立高校は、親の負担は比較的少なめですが、大学に行く場合は一般受験する可能性が高め。「推薦枠が少ないため、予備校代や受験費用を多めに用意しておく必要があります」。
【私立高校】推薦枠が多いなど、大学受験対策に手厚い傾向が
公立より費用はかかるが、大学の推薦枠が豊富で、現役合格率が高いのは私立。「ただ、推薦で行ける大学は高校によって違い、どこでも選べるわけではないので、進学実績のリサーチを」。
知っトクコラム
ボーダーライン世帯ならiDeCoの控除で住民税を下げるという手も!
所得を下げると住民税も下がるので、使える所得控除はフル活用を。「掛け金が全額所得控除になるiDeCoを使えば、会社員なら年間で1人最大27.6万円、所得額を下げられます」。
私立高校に進学した場合
年収によってはお得に行けるが、無償化なのは授業料のみなので注意。
授業料は無償になったとしても、修学旅行費などは引き続き必要。「タブレット端末代や海外研修費など、公立よりも負担は多めです」。
1年間にかかる教育費※1
★データは無償化制度前のもの。現在は世帯の住民税に応じて学校教育費の金額が変わります
ウソ?ホント?【高校1年】高校に入学!大学受験はまだまだ先と言わず、1年生のときから進路を考えたほうがよい
→ ホント! もし大学に進みたい場合は、推薦希望か一般入試かでお金も対策も違ってくる!
大学への進学方法は、一般受験、一般推薦、AO推薦などさまざま。どのルートを選ぶかによって、費用や対策が違ってきます。「内申重視の推薦は、1~2年時の成績や提出物などが重要に。一般受験の場合、塾や受験費用は推薦より多くなるためお金の準備が必要です」。
大学の受験費用や入学金は、高校1年生から意識して!
私立大の受験料は1出願につき3万5000円が相場で、数校受けると30万円以上になることも。「推薦の場合、受験料は1校分ですが、合格すると高3秋には入学金を振り込みます。教育費が順調に貯まっていればよいですが、不安がある人は、高1から意識して貯めて」。
ウソ?ホント?【高校2年】大学の費用に不安が……。でも奨学金について考えるのは進路を決める高校3年生からでよい
→ ウソ! 高校3年の春に申し込みの奨学金も。高校2年のうちに家族で話し合いを。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、高3の春に通っている高校を通じて申し込む。「奨学金には返済不要の給付型、返済が必要な貸与型があり、それぞれ家計や成績の基準があります。申し込みが高3の春と早いので、高2のうちに家族で話し合いを!」。
そもそも自分の世帯が申し込めるのか、シミュレーションしておこう!
家計基準をクリアーできるか確認。
年収が高い家庭は、奨学金に申し込めない場合も。「JASSOのホームページにあるシミュレーター※2で、どの奨学金を申し込めるかチェックを。数分でできますよ」。
【進学資金シミュレーターで検索】
※1 文部科学省「子どもの学習費調査」/平成30年度より。1000円未満は四捨五入しています。学習外活動費とは、おもに習い事代のこと
※2 シミュレーション結果と実際の申込結果は異なる場合があります
参照:『サンキュ!』2022年5月号「教育費のウソ?ホント?」より。掲載している情報は2022年3月現在のものです。監修/竹下さくら 構成/岡部さつき(風讃社) 編集/サンキュ!編集部