資格取得&スキルアップを国がサポート!「教育訓練給付金」の申請&もらえるお金について
2018/12/22
「仕事に役立つ資格を取りたい」、「専門スキルを身につけてキャリアアップしたい」と考えている人のために、それらを費用面でバックアップしてくれるのが「教育訓練給付金」です。もらえる金額や条件について、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに詳しく教えていただきました。
「教育訓練給付金」とは?
「教育訓練給付金」とは、キャリアアップにつながる資格や、再就職に役立つスキルを身につけるためにかかった費用の一部を、雇用保険が補助してくれる制度です。
「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の2種類があり、対象となる講座や、給付される金額が異なります。
「一般教育訓練給付金」とは?
厚生労働省による指定の講座を受講し、修了すると、受講料の一部が支給されます。
対象となる講座は、女性に人気の医療事務や調剤薬局事務、簿記検定のほか、語学関連やファイナンシャルプランナーなど、実にさまざま。通学のほか、通信教育が該当するものもあります。
資格取得ではなく、講座を「修了」することが条件なので、気軽に利用してみましょう。
どんな人がもらえるの?
次の条件のいずれかに当てはまる人が対象となります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
① 退職するまでの雇用保険加入期間が3年以上で、退職の翌日から受講開始までが1年以内の人
② 受講開始日に、雇用保険の加入期間が3年以上の在職者
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
①、②とも、初めて制度を利用する人は、雇用保険加入期間が1年以上あれば、給付が受けられます。
いくらもらえる?
入学金や受講料の20%が支給されます。支給額は最大10万円で、4000円未満の場合は支給されません。また、受験料やテキスト代、交通費などは対象外です。
「専門実践教育訓練給付金」とは?
専門的な知識やスキルを身につけて、中長期的にキャリアアップを図りたい人や、転職を考えている人をバックアップするためのものです。
具体的には、看護師、介護福祉士、調理師、保育士など、一生ものといわれるような資格の講座が対象。
自分がめざしたいものをじっくり検討して、制度をうまく活用しましょう。
どんな人がもらえるの?
次の条件をすべて満たす人は、「専門実践教育訓練給付金」を受けられます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------
① 退職の翌日から受講開始までが1年以内の人
② 受講開始日に、雇用保険の加入期間が3年以上(初めて制度を利用する人は、加入期間2年以上)の在職者
③ 前回の「教育訓練給付金」受給から3年以上が経過している人
------------------------------------------------------------------------------------------------------
いくらもらえる?
受講にかかった費用の50%が支給されます。さらに、資格を取得してから1年以内に雇用された場合は追加給付があり、合計70%の支給となります。
どのように申請するの?
「一般教育訓練給付金」の申請
受講修了後、ハローワークに「「教育訓練給付金」支給申請書」や「教育訓練修了証明書」など、必要書類を提出して手続きを行います。
申請は受講修了日の翌日から1カ月以内に行いましょう。
専門実践「教育訓練給付金」の申請
受講前と受講後に、それぞれ必要な手続きがあります。
● 受講前
専門実践教育訓練は、受講前にキャリアコンサルティングを受ける必要があります。ハローワークでキャリアコンサルティングを受け、今後の就職活動やキャリアアップに関する個人の情報を記載した「ジョブカード」を発行してもらいましょう。
その後、受講開始日の1カ月前までに、「「教育訓練給付金」受給資格確認票」など必要書類をハローワークへ提出します。
● 受講後
受講修了後、ハローワークに「「教育訓練給付金」支給申請書」や「専門実践教育訓練修了書」など必要書類を提出します。
「教育訓練給付金」についてもっと知りたい!
Q)どんな講座があるの?
A)利用できる講座は幅広く、一般教育訓練指定講座なら、人気の事務系資格(医療事務、調剤薬局事務、簿記検定など)のほか、宅地建物取引士、TOEIC、行政書士、ファイナンシャルプランナー、ソムリエ呼称資格など。
専門実践教育訓練指定講座なら、看護師、介護福祉士、栄養士、美容師、調理師、保育士、柔道整復師、MBAなど、2000以上もの講座が対象となっています。
取りたい資格がある人は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で該当する講座について調べてみましょう。
http://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku/SSR/SSR101Scr01S/SSR101Scr01SInit.form
Q.専業主婦でも就職の意思があればもらえるの?
「教育訓練給付金」は雇用保険から支給されるもので、会社員または、退職後1年以内にその講座が始まることが条件です。そのため、専業主婦の人が資格取得をめざして指定講座を受講しても、給付金をもらうことはできません。
まとめ
スキルアップやキャリア形成を考えるうえで、とても頼りになる「教育訓練給付金」。資格を取りたいけど費用の面で受講に踏み出せていないという人は、ぜひこの制度を有効に活用してみましょう。
取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)