確定申告をする必要があるが、しなくてもバレないんじゃない?と考える人もいるかもしれません。本当のところはどうなのでしょう。税理士の角田圭子さんに教えてもらいました。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得を計算し、確定申告書を税務署に申告・納税することです。人によっては納税ではなく、逆に払いすぎていた税金を還付金として取り戻せる場合もあります。
2019年は2月18日から3月15日までに申告することになっています。
確定申告をする場所は自分の住所があるところを管轄している税務署になります。必要なものは――
・確定申告書
・源泉徴収票 フリーランスの場合は支払調書
・生命保険など保険料の控除証明書
・認め印
・還付を受ける場合、または所得税の銀行口座引き落としを希望する場合は、通帳やキャッシュカードなどの銀行名、支店名、預金の種類、口座番号のわかるもの
――などです。管轄の税務署に持参するか郵送します。
初めて確定申告をする人には、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」がおすすめです。画面の案内にしたがって入力するだけで簡単に確定申告書を作成することができます。
確定申告書を作成したら、プリントアウトして税務署に提出します。また、所定の手続きをしたら、e-Tax(電子申告)を利用して提出することもできます。
確定申告をしなければならない人とは?
主婦でパート・アルバイトをしていたら、年収103万円超になると確定申告の必要があります。フリーランスの人は、所得が38万円超あると確定申告をすることになります。
納めすぎていた税金を還付してもらう場合は、確定申告を必ずしなくてはならないわけではなく、ペナルティもありません。
問題になるのは、税金を追加で納める必要がある人が確定申告をしなかった場合です。例えば、フリーランスや自営業なら、収入がたくさんあって追加で税金を多く納めなければならないのに確定申告をしないと、なんらかのペナルティが課せられます。
基本的に会社員は、会社で年末調整をしてくれるので確定申告の必要はありません。ただし、会社員でも確定申告をしなければならないケースもあります。以下、代表的な例を2つ紹介します。
会社員で確定申告が必要なケース1:年収2000万円を超える場合
会社に勤めていても、年収が2000万円を超える人は会社で年末調整をしてくれません。これは、所得税法の規定によるものです。会社から年末にもらう源泉徴収票と生命保険控除などと必要なものをそろえて、自分で確定申告をします。
会社員で確定申告が必要なケース2:副業で所得が20万円を超える場合
会社とは別に副業などを持っているかたで、その所得が20万円超になると確定申告をする必要があります。会社からもらった年末調整済みの源泉徴収票と一緒に、副業の収入と経費を計算して確定申告書を提出します。
確定申告をしないとどうなる?
期限までに申告や納税をしないと、延滞税や無申告加算税などの申告漏れによるペナルティが課せられることがあります。それぞれ解説します。
無申告加算税
確定申告期限までに提出しなかった場合、納付すべき本税に課税される罰金的な性質のものです。無申告加算税は納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合でかかります。
延滞税
確定申告の期限までに支払うべき税金を納めないと延滞税が発生します。2カ月以内は年2.6%、2カ月をすぎると年8.9%などの割合でかかってきます。
重加算税
確定申告をせずに、それが悪質な場合は、無申告加算税に代えて納税すべき額の40%も支払うことになってしまいます。
最も悪質な場合は、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」と、厳しい懲罰もあります。
最近人気のクラウドワーキングやアフィリエイトなどの収入は、確定申告をしければ税務署にバレないなんて思っているかもしれませんが、税務署が運営会社などに問い合わせれば誰が所得を得ているかはすぐにわかります。税金逃れは、逆にリスクが高いということですね。
フリーランスや自営業は確定申告をしないと損をする!
一方で、フリーランスや自営業のかたは、確定申告をしないと損をしてしまうこともあります。以下、損するケースをそれぞれ解説していきます。
還付金を受け取り損ねる
フリーランスや自営業のかたは、収入から必要経費を引いたものが所得となるので、確定申告をすることによって還付金が戻ってくることもあります。面倒だからと確定申告をしなかったら、戻ってくるはずの税金を受け取れないで損をしているかもしれません。
赤字を3年繰り越せなくなる
青色申告をしている場合、赤字を3年繰り越せる特典があります。確定申告をしないと、赤字を繰り越せなくなります。
特別控除の65万円を受けられない
青色申告をしていると、65万円の特別控除があります。基礎控除の38万円と合わせると103万円もの控除を受けられなくなります。「今年は確定申告をしない」なんてことになると、これらのメリットを自ら投げ捨てるようなものです。
※特別控除の65万円を受けられるのは、複式簿記により記帳し、貸借対照表、損益計算書を作成して、確定申告の期限内に確定申告書を提出している場合に限ります。
確定申告、自分でできない場合はどうする?
「確定申告はなんだかむずかしそう」という人も多いかと思います。確かに、初めての人にとってはハードルが高いかもしれませんね。
初めての場合は、まず管轄の税務署に行ってみることをおすすめします。確定申告の提出開始の近くになると、税務署に「確定申告相談コーナー」ができます。そこで、自分はしたほうがいいのか、どういうふうに確定申告書に書いたらいいかなど聞いてみることができます。電話で相談もできます。
お友達や知り合いのかたで確定申告をしたことのある人に聞いてみるのも手ですね。今は簡単に入力できる会計ソフトなどもたくさんあるので、探してみてもいいでしょう。