「デリバリー」が頑張る主婦を救う時代に!?

2019/04/08

日本に昔からある「出前」。現在はこれが、スマホで簡単にオーダーできる「フードデリバリー」(以下「デリバリー」)というサービスへと進化しています。特に16年にアメリカの「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が日本でデリバリーサービスを開始して以降、広く知られるようになりました。この「デリバリー」が、19年10月の消費増税を前に、さらに注目を集めています。もしかしたら外食よりもお得で便利になる予感が!?「デリバリー」の注目ポイントと上手な活用法を、節約アドバイザーの丸山晴美さんが提案します。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっと難しいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「デリバリー」!

食料品の消費税は軽減税率で10%と8%の2種類になる

19年10月から消費税が10%に上がりますが、一部商品は例外的に消費税8%のまま据え置かれる、というのをご存じですか? 

これは軽減税率といって、今回の消費税率改正の最大のポイントです。低所得者の負担が重くなりすぎないように、飲食料品を中心とした「生活に最低限必要なものの税率は8%のまま据え置く」という考えなのです。

軽減税率の対象となるのは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」です。

ここで注意したいのが「外食」の位置づけ。外食は消費税10%になりますが、テイクアウトや「デリバリー」は税率8%のままです。料理を運んで配膳まで行うケータリングは、外食に含まれるので消費税10%。線引きが少々わかりにくいので物議を呼びそうですね。

ハンバーガーショップや牛丼チェーンなどは、店の中で食べること(イートイン)も、商品をテイクアウトすることもできますよね。外食とは「飲食の設備を設置した場所で行う食事の提供」のことなので、イートインは外食として扱われて消費税率10%に。でも、テイクアウトをすれば8%ですむんです。テイクアウトかイートインかを選べるような店舗では、少々混乱が起こるかもしれません。

軽減税率は例外(経過措置)という位置づけなので、いずれ10%に上がる可能性があります。しかし現在のところ、期限などについて正式な発表はありません。

<今のところ、税率は以下の予定>
・外食…10%
・テイクアウト…8%
・「デリバリー」…8%
・ケータリング…10%
・イートイン…10%

軽減税率の影響で「デリバリー」がさらに拡大!?

「デリバリー」はここ1〜2年人気が高まっていますが、軽減税率で消費税8%のままになる影響から、今後さらに利用者が増えるだろうといわれています。それを見越してか、さまざまな企業が「デリバリー」に乗り出しています。

なかでもアメリカから来た「Uber Eats」のように、アプリやWebサイトから手軽に注文・決済ができるサービスが急速に広がりを見せていますね。

「Uber Eats」とは、米国の配車サービス大手「Uber Technologies,Inc.(ウーバー・テクノロジーズ)」が運営するデリバリーサービス。「Uber Eats」に登録しているレストランの料理を専用アプリや公式Webサイトで注文すると、配達員が利用者の指定した場所に届けてくれます。配達も、登録している一般人が自分の自転車やバイクなどで行っているのが特徴です。

スタートした16年当初は東京都内のみが対象でしたが、現在では名古屋、大阪、京都、神戸、福岡などの一部地域にも広がっています。以前は配送手数料が一律380円だったんですが、現在は距離や時間によって値段が変動するシステムに変わりました。場合によっては配送手数料が1,000円近くになる場合も出てきそうなので、よく確認することが必要です。

ほかにも、NTTドコモが運営する「dデリバリー」、1万7,000店以上の提携店舗数を持つ「出前館」、楽天が提供している「楽天デリバリー」、LINEアプリから注文ができる「LINE デリマ」など、アプリやWebサイトを使った「デリバリー」の動きが活発です。

通常は「デリバリー」をしていないレストランの本格料理をデリバリーする「fineDine(ファインダイン)」(対象は東京都内)というサービスも、利用者が増えているようです。

また、「セブン-イレブン」がお店の人気商品や食材などを配送(出前)する「セブンミール」というサービスを行ったり、テイクアウトできるファミリーレストランがあったり、さまざまな業種、ショップにも動きが広がっています。

こうなるともう、外食との違いは「お店の中で食べるか、家で食べるか」だけという感じですよね。

「デリバリー」には時間と手間が浮く利点も

消費増税後も食料品は8%のままですから、節約という点において、これからはますます自炊の重要性が高まっていくと思われます。

でも、共働きで子育てをしているなどのいそがしい主婦が、365日朝昼晩と自炊するのはとっても大変ですよね。家族の楽しみとして「外食」をしたいときもあるでしょう。そんなとき、「デリバリー」という選択肢もあることを頭に入れておきましょう。

外食は消費税10%になり、高級レストランなどの場合はさらにサービス料10%もプラスされます。一方、「デリバリー」は消費税8%ですから、使い方によってはお得に便利に楽しめるということなんです。ママ友との集まりや子どものイベントなどでも「デリバリー」は活躍しそうです。

ただし10%と8%の差は、1万円の場合では200円です。大きいような小さいような、微妙なところですよね。配送料が高い「デリバリー」では、外食よりマイナスになる場合もあるでしょう。そう思うと単純に「外食はNGだけどデリバリーならOK」とはいえません。

でも「デリバリー」は金銭面以外にも、配達してもらう間の時間が空いて有効に使える、自分がいる場所と違う場所に食事を届けることができるなどの利点があります。そういう面も含めて活用法を考えると上手に使えるでしょう。

上手に頼ることが、自分と家族のゆとりと節約につながる

「デリバリー」は今後ますます利用しやすくなると思われますが、大切なのはやはり使い方です。

たとえば、週に1回金曜日の夜は家族で「デリバリー」するとか、残業で遅くなるときや自分の体調が悪いときなど条件を決めて活用するなど、各家庭なりの活用の仕方を考えておきましょう。そして、ムダ使いしないためにも夫婦や家族で使い方ルールをしっかり話し合っておくことが大切です。

現代は仕事に家事に育児にと、女性の役割や負担がとても大きい時代です。共働き家庭もこれからさらに増えていくでしょう。そのなかで多くの主婦が時間もお金も努力してうまくやりくりしようと、がんばっていると思います。

でも、全員が完璧にできるわけではありません。いそがしいなかで心身を元気に保ちつつ、うまく回していくためには、もちろん夫や子どもの協力が必要ですが、まわりのいろいろなものに頼っていくことも必要です。お掃除ロボットや食器洗い機などの便利家電を導入するのもいいでしょう。何かに頼ることは、決して悪いことではないんですから。

「デリバリー」もその1つなんです。上手に頼ってお金と時間を確保することが、ひいては自分と家族のゆとりにつながる時代なのだと思います。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「定年後に必要なお金『新・基本のキ』」(宝島社)など多数。


取材・文/かきの木のりみ

 
 

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