スマホ通信料金は本当に下がる?上手にお得に見直すコツ

2019/03/24

毎月の固定費として、意外とばかにならない携帯電話やスマホの通信料。19年はその通信料が値下がりすることが予測されています。でも、その内容はキャリアやプランによってばらばら。ちゃんと情報をつかまないと、知らない間に乗り遅れ、損してしまうかもしれません。各キャリアの動きや、通信料の値下げに上手に乗るコツを、節約アドバイザーの丸山晴美さんが解説します。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっと難しいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「スマホの代金」!

今、大手キャリアが通信料を下げる2つの理由

節約アドバイザー丸山晴美さん

18年から、携帯・スマホの通信料金の値下げに関する大きな動きが始まりました。今年は料金プランや使い方を見直すのにちょうどいい機会です。

そもそも値下げへの動きが始まったのは、18年の8月に菅義偉(すがよしひで)官房長官が札幌市内の講演で「携帯電話の料金は4割程度引き下げる余地がある」と言い、その後も記者会見などで同様の発言を繰り返したのがきっかけです。日本の通信料金は諸外国に比べて高すぎるので国民の負担が大変だ、まだまだ安くできるはずでしょう、というわけです。

さらに今年は「5G(ファイブジー)」元年といわれています。

5Gとは次世代の無線通信規格で、より高速であらゆるものとネットワークでつながる通信です。日本国内ではまだ導入されておらず、導入しても業務用がメイン。しかし、業務ベースで5Gが使われるようになる分、現在の通信規格「4G」の回線に空きが出ます。ドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアが通信料金を下げられるのは、この影響もあるといわれています。

9月に日本で開催されるラグビーワールドカップに合わせて、5Gのプレサービスが開始される予定です。5Gがどのようなものかを体験する機会も増えてくるでしょう。

大手キャリアの値下げはいつ?どんな内容?

大手キャリアのなかでいち早く料金プランに手を入れたのはソフトバンクです。18年秋に、今までよりシンプルな新料金プランを導入しました。YouTube(ユーチューブ)などの動画サービスやInstagram(インスタグラム)、LINE(ライン)などのSNSがデータ消費をしない「カウントフリー」と呼ばれるプラン「ウルトラギガモンスター+(プラス)」も、他キャリアに先駆けて提供しています。

通信プランのほとんどは、2年などの契約期間が決められていますよね。いわゆる「2年縛り」といわれているもので、決められた月以外で契約を解除すると1万円前後の違約金が取られます。

ソフトバンクの新プランでは、この2年縛りもアリ・ナシを選べます。ただし、2年縛りナシは月額料金が高いんですよね。また、過去に契約したものは2年縛り継続など、プランや契約内容で対応が異なります。

一方、ドコモはテレビCMなどで「1,980円」としきりに宣伝していますが、対応機種が限定されるなどいくつかの条件があって、すべてのユーザーがこのプランにできるわけではありません。

それよりもドコモが19年の第1四半期(4〜6月くらい)に「2~4割値下げとなる新料金プランを導入する」と予告しているので、こちらのほうが要チェックです。新プランは端末代と通信料金をはっきり分けた「分離プラン」になるといわれています。この場合、通信料金が安くなる分、スマホ購入代金が値上がりすることがあり得ます。ちなみに、ソフトバンクやauでもすでに「分離プラン」が出されています。

auは、17年夏から分離プランの「auピタットプラン」を導入していて、請求書ベースで3割の値下げを実現していると主張。でも、「今後、ドコモがより割安な料金に踏み込んだら、しっかり対応していく」としているので、こちらの動きにも注目です。

10月の「楽天」キャリア参入で何かが起こる!?

楽天モバイルは現在、大手キャリアから回線を借りてサービスを提供するMVNO(エム・ブイ・エヌ・オー)事業者として、格安スマホを店舗とWebで提供しています。19年10月からは、ドコモ、au、ソフトバンクと同じように、自社で通信回線を持つ「キャリア(MNO エムエヌオー)」としてサービスを開始しますが、しばらくはauの回線を借りる形で運営をすることになっています。

まだ全貌は見えませんが、価格破壊を起こそうとしているのが楽天じゃないかなと私は思うんですよね。既存の3キャリアより安い料金プランが登場するのかもしれません。

楽天モバイルが主婦に大きく支持されているのは、楽天カードがあるからです。通信料の支払いで楽天スーパーポイントがたまるなど、お得感が人気を呼んでいます。10月からはこれをさらに広げて、いろいろな生活シーンに食い込もうとしているのかなって予想しています。

通信キャリアのauがサービスを提供する電子決済の「au PAY(ペイ)」は、「楽天ペイ」と提携することで楽天ペイの加盟店でも使えるようになります。「au PAY」は、「au WALLET(ウォレット)」のアプリ機能のひとつとして提供されるので、ユーザーはより便利になるでしょう。
docomoは「d払い(ディーバライ)」、ソフトバンクは「Pay Pay(ペイペイ)」として、すでにQRコード決済サービスをスタートさせています。

格安スマホにだってまだまだメリットあり!

大手キャリアの値下げや楽天の参入によっては、格安スマホとの小競り合いも始まります。そうした流れを受け、格安スマホ業者のなかにはすでに独自のサービスを始めているところもあります。その一例が「カウントフリー」です。

「OCNモバイルONE」だったらAmazonミュージックやLINEミュージックなどのミュージックサービス、LINEモバイルはLINEの通話ややりとりなど、それらにかかるデータ通信容量はカウントしないというサービスです。業者によってカウントフリーとなるサービスの対象は異なります。

ただ、格安スマホは大手キャリアから電波の回線の一部を借りて皆でシェアしているので、皆がカウントフリーを使うことで速度が遅くなるデメリットがあるんです。それに備える設備投資をしている業者かどうかは、口コミやホームページなどをチェックするしかありません。こうした手間の面倒くささなどから、安定した回線の大手キャリアを求める人が多いのも事実。

でも、格安スマホを上手に使えば、4人家族で月額5,000円台の通信料ですませることも不可能ではありません。仮に大手キャリアで1人当たり月8,000円として、4台で3万2,000円かかっていたのが、5,000円になれば2万7,000円も浮く計算になります。1年では32万4,000円の差となり、見直す価値は大いにあります。

どのプラン、どの業者を選ぶかは、自分のタイプを見極めて

料金プランを見直す、キャリアも変える、格安スマホに乗り換えるなど、今年は多くの選択肢が出てきます。今後の課題は、どのように情報を得てどう使い分けていくかです。単に安さにつられるのではなく、自分に合った選び方、使い方をすることが大切です。

自分も夫もデジタル関係に弱く、まわりにも詳しい人がいなくて、情報を探して対応するのは面倒・不安というかたは、大手キャリアの安いプランに変更する方が最も手軽で安心でしょう。すでに大手キャリアを使っているなら、大手キャリアのWebページにあるシミュレーションをしてプラン変更をするのはもちろん、ショップの窓口でアドバイスを受けながら見直すのもおすすめです。

一方、格安スマホはコストをかけないからこそ提供できる割安な通信料がウリで、基本的にショップがありません。大手キャリアであれば端末が故障しても、ショップに持ち込めば代替機を出してくれますが、格安スマホはご自身でメーカーに修理を依頼しなくてはいけないケースがほとんどです。

安いのには理由があり、すぐにショップに頼る人には格安スマホはおすすめできません。反対に自分で情報を調べて対応できる人には、格安スマホがおすすめです。

私自身もSIMフリーiPhoneに、格安SIMをさして格安スマホにしています。iPhoneは家電量販店内にあるApple修理センターなどで修理ができるので、それほど不便さを感じたことはありません。

私が契約している格安SIMは、月額料金にプラス500円でもう1つ格安SIMを増やせるので、来年はそれで格安スマホを1台増やし、今使っている格安スマホを子どもにお下がりにして持たせようと考えています。そうすれば家族の通信料金はかなり安く抑えられます。

上手に節約するには固定費を見直すことですが、なかでも通信料金の見直しは家計負担を大きく軽減できる可能性大です。10月には増税もあり、使えるお金はどんどん減るので、こういうところから見直していかないと節約できません。この機会を逃さず、上手に活用しましょう。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「定年後に必要なお金『新・基本のキ』」(宝島社)など多数。



取材・文/かきの木のりみ

 
 

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