老後資金は「運用」で貯めるのが正解! 主婦におすすめは「iDeCo(イデコ)」

2019/05/11

だれにでも確実にやってくる「老後」。その生活の支えとなるのが「年金」ですが、年金さえあれば大丈夫と思っている人は今や少ないのではないでしょうか。「長生きすることが金銭的なリスク要因になってしまっている現代で、今注目を集めているのが、運用で貯める“iDeCo(イデコ)”です」と節約アドバイザーの丸山晴美さんは言います。より効率よく老後資金を貯める方法を教えてもらいました。

みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「老後資金の貯め方」!

老後に必要な生活費は2人で1カ月約25万円!

老後にもらえる年金額は、働き方や所得金額などによって異なります。現在の年金支給額は、厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、自営業で国民年金のみというかたが月額平均5万5,615円。会社に勤めて厚生年金に入っていたかたが、月額平均14万7,051円です。ただし、厚生年金は加入期間や期間中の報酬額によって支給金額に差があるため男女差が大きく、男性が16万6,668円、女性が10万3,026円。夫婦2人の場合で計算すると、夫が厚生年金で妻が国民年金の場合は月額22万2,283円、夫も妻も厚生年金の場合で26万9,694円が目安といえるでしょう。

一方、総務省の家計調査によると、高齢者2人以上の無職世帯の平均的な生活費は、1カ月約25万円程度です。ほとんどのかたが、年金だけでは老後の生活費がまかなえないのが現実です。

1カ月25万円を支出額とし、年金が支給されるのが65歳からとした場合、65〜80歳に必要な生活費はなんと約2,700万円!これらのほかにも自宅の修繕費や医療費として、最低でも300万円は確保しておきたいので、老後資金は合わせて約3,000万円を用意する必要があります。

また、年金を受け取ることができる年齢は、少しずつ引き上げられています。47〜49年に生まれた第一次ベビーブーム世代、いわゆる団塊の世代が年金を受け取る時期に、受給年齢が段階的に65歳に引き上げられました。71~74年生まれの第二次ベビーブーム世代が年金を受け取るころには、受給年齢は70歳以降になるかもしれないといわれています。
定年が65歳のままだった場合、65〜70歳は仕事による収入も年金もない状態になる可能性も。定年後も働くにしても、現役時代と同じ収入を確保するのはむずかしいでしょう。

これらを総合的に考えると、安心な老後を送るためには、若いうちから貯蓄をしっかり行うことが大切です。特に女性の2人に1人は80歳まで、4人に1人は90歳まで生きる時代。そのときの生活費もカバーできるように計画を立てたいですよね。

まずは現在の家計で貯蓄シミュレーションしてみる

最初にやるべきことは、自分たちの貯蓄計画を見直すことです。現在の家計における毎月の支出額を出し、老後に必要なお金を、自分たちはいつまでにいくらくらい貯めることができるのかシミュレーションしてみましょう。現在貯蓄を進めているかたも、その額で大丈夫なのか、もう少し増やすことができるかどうかチェックし直しましょう。計画的に貯蓄をしていくことで、老後の不安を解消することができます。

ただ、現代は所得金額そのものがなかなかアップしませんし、銀行の預金金利もずっと低いままです。子どもの養育費や教育費でお金が出て行くサンキュ!世代は、金利が低い預貯金だけで老後資金まで用意するのはむずかしく、またインフレリスクにも対応していないので、おすすめできません。今後は「運用」をしていかないと間に合わないのではないかなと私は思っています。

「運用」というと「株はむずかしい」「投資は怖い」といったネガティブな思いを抱くかたが少なくないでしょう。しかし、今は専門知識を持たないかたでも比較的運用しやすいものが出てきています。なかでも主婦のかたの老後資金対策としておすすめなのが「iDeCo(イデコ)」です。

税金が安くなる「iDeCo(イデコ)」なら効率よく貯蓄できる

「iDeCo」は01年1月から始まった「個人型確定拠出年金」です。毎月一定の掛け金を出し、自分で金融商品を選んで運用し、老後に運用したお金を受け取るという制度です。17年1月から20〜60歳のほぼすべての人が加入できるようになり、さらに18年1月からは、掛け金が年単位で決められるようになりました。例えば1月に急な出費があって掛け金を出せなくても、その分をほかの月で補てんし、年間の掛け金をキープできるのです。

「iDeCo」の最大のメリットは、税金が安くなることです。現在、銀行預金の利息や投資で得た利益には、一律約20%の税金がかかっています。でも「iDeCo」の場合は運用で得た利益は非課税になるので、利益を丸もうけできます。積み立てた掛け金も全額が控除の対象になり、掛け金に応じて所得税・住民税が軽減されます。
運用資産の受け取り方は基本的に、一括でもらう「一時金形式」か、一定額ずつもらう「年金形式」ですが、いずれを選択しても税金の優遇が受けられます。

さらに、「iDeCo」は60歳まで引き出すことができないのも大きなポイントです。だからこそ年金の積み立てにぴったりなんです。
住居の購入費用や子どもの進学費用など、目的がはっきりしている費用は定期積立などで貯蓄し、老後の費用は「iDeCo」というふうに分けて活用するのがおすすめです。

「つみたてNISA(ニーサ)」や「個人年金保険」との違いは?

「iDeCo」の話が出た時によく聞かれるのが、「つみたてNISA(ニーサ)」や生命保険会社の個人年金保険など、ほかの商品とどちらが得なのか、ということです。

「NISA」とは「少額投資非課税制度」のことで、今までは年間最大120万円までの投資で得られた利益に対して、最長5年間は非課税になるという口座のみでした。それが18年1月に 「つみたてNISA」というロ座が加わり、年間40万円までの投資で得られる利益が最長20年間非課税に。より少額で長く利用できるようになりました。
口座はNISA口座とつみたてNISA口座のどちらか一方を選ぶことになり、両方の口座を持つことはできません。

しかし、「つみたてNISA」で扱える商品は、比較的リスクが少ない商品もありますが、元本割れの恐れのない商品はありません。元本割れをする可能性が「iDeCo」よりも高いんです。
それでいて、「つみたてNISA」はほかの証券口座との「損益通算(そんえきつうさん)」ができません。損益通算とは、損失が出たときに、ほかの口座で出た利益から相殺することです。つまり、マイナスをほかのプラスになっている口座で相殺して、利益にかかる税金を減らすことができるのです。
「つみたてNISA口座」や「NISA口座」はそれができないので、利益が出ているときに売ることが前提となっています。

また、生命保険会社の個人年金保険は控除対象が年間4万円※までです。「iDeCo」は全額所得控除の対象になるので、収入がある人は「iDeCo」のほうがお得といえるでしょう。

※対象となる個人年金保険は一定の要件を満たした商品に限る。

運用初心者は「パッシブ」商品で手堅く貯めるのがコツ

運用には「アクティブ」と「パッシブ」とがあります。「アクティブ」は値動きのある金融商品で運用すること。パッシブはその逆で、比較的値動きがゆるやかな金融商品で運用します。
運用をするときは、この2つのバランスをうまくとるのがコツです。初心者の場合は証券などを運用する投資信託などの「パッシブ」で、手堅く運用していくのが安心でしょう。

「iDeCo」も運用商品ですから、損することはもちろんあります。でも、対象商品のなかには預金に近い堅実なものもあります。銀行の積立預金は決まった利率以上に増えることはありませんが、「iDeCo」は運用によって増える可能性があります。

なお、さまざまな銀行や証券会社などが「iDeCo」を取り扱っていますが、手数料などの条件や運用できる商品が少しずつ異なります。選ぶときはよく比較・検討し、自分にとって使いやすいところで、かつ手数料が比較的安いものを選びましょう。

これからは会社員も運用しないと貯められない時代!?

会社のなかには、公的な「厚生年金」のほかに、会社が私的に年金を積み立てる「厚生年金基金」に加入しているところもあります。その場合、厚生年金に厚生年金基金の年金がプラスされるので、もらえる年金が増えることになります。

しかし近年、この厚生年金基金のシステムが破綻し、厚生年金基金を解散して「企業型401K(ヨンマルイチケー)」などを採用する会社が増えています。
企業型401Kは「会社が年金の掛け金を出すから、社員が自分で投資運用先を選びなさい」というもの。つまり、会社勤めの人も自分で運用して頑張って積み立てなさいということなんですね。それだけ運用の必要性が出てきているということです。

日本人はインフレに対する危機感が薄く、どんどん物価が上がっているのに、いまだに現金や預金だけで頑張ろうとするかたが大多数です。でも、預金金利が低すぎて、金利で預貯金額が増えることはほとんどない時代です。これからは自分が働いている間に、お金にも働いてもらわないと増やせない時代になると思います。まずはリスクの少ない方法から始めてみてはいかがでしょう。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「定年後に必要なお金『新・基本のキ』」(宝島社)など多数。

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