女性は財政上の問題を抱えている費用を計算した後、絶望的に感じる

約半数が返済義務を知らない!?「奨学金」のメリット&デメリットとは?

2020/11/28

日本学生支援機構の発表によれば、今は大学生の約2人に1人が「奨学金」を受けているそうです(※1)。たしかに「奨学金」は親にも子にも心強い制度ですが、無計画に利用すると、あとで困ったことになるかもしれません。節約アドバイザーの丸山晴美さんに、「奨学金」のメリットとデメリットを解説してもらいました。

なお、今回ご紹介する情報はすべて2020年10月時点の取材情報を元にしています。

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...

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みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。

お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「奨学金のメリット&デメリット」!

メリットは「お金が原因で進学を諦めずに済む」こと

「奨学金」とは、経済的な理由で学校に行くことが困難な学生や、優れた学生を支援するために、入学金や授業料など学校に通うのに必要な費用を支給する制度です。

「奨学金」を受けるメリットの第1は、資金がたりなくても進学・修学ができる点。子どもはお金のために進学を諦めずにすみますし、親にとっては大学資金や教育資金を貯める負担が軽減されます。

また、「奨学金」には返済義務のある「貸与型」のほかに、返済義務のない「給付型」もあります。それぞれ利用できる条件は異なりますが、「給付型」を受けることができた場合、返済を気にする必要がないのも大きなメリットです。

デメリットは大学卒業後に「奨学金」が「借金」となること

一方、「奨学金」のデメリットは、「貸与型」の場合に返済義務があるという点です。大学進学のために「奨学金」を受けた場合、返済は「奨学金」を受けた本人(子ども)が大学卒業後、社会に出てから行うのが一般的です。利子がつくタイプの「貸与型」の場合は、利子も含めた金額を返していく必要があります。

つまり、子どもにとって、「奨学金」は大学卒業後に「借金」となるのです。

大学卒業と同時に就職ができ、ずっと同じ会社に勤め続けるならよいですが、今はそういう時代ではありません。誰もが確実に仕事を得て、確実に十分な所得を得られるという状況ではない今、高額な「奨学金」は「リスク」にもなるという認識が必要です。

労働者福祉中央協議会が2019年3月に発表した「奨学金や教育負担に関するアンケート調査 調査結果の要約」によると、最もよく利用されている日本学生支援機構の奨学金の借入総額は、平均324万3,000円。借入総額500万円を超える人も、12.4%いました。

毎月の返済額は平均1万6,880円で、返済期間は平均14.7年。返済が「苦しい」と感じた人は、正規雇用のかたで4割、非正規雇用のかたの場合は6割弱が「苦しい」と感じています。(※2)

「奨学金」を延滞した人の半数が「返済義務があるのを知らなかった」!

「奨学金」の返済が滞ると、延滞金が課せられ、文書や電話などによる督促が行われます。それでも返済しないと、強制的に取り立てられることもあります。また、子どもが返済できない場合は、連帯保証人に返済義務が課せられます。多くの場合、連帯保証人は親がなります。

長期間返済しない場合には個人事業情報機関に登録される可能性もあり、住宅ローンが組めなくなったり、クレジットカードがつくれなくなったりするなどの状況に陥ることも。最悪の場合、財産の差し押さえもあり得るのです。

では、なぜこのような返済がむずかしい状況に陥ってしまうのでしょう。

日本学生支援機構の調査によると、奨学金返還を延滞したかたの約半数が、「申込手続き前に奨学金の返済義務があることを知らなかった」と答えています。また、延滞者のうち、貸与された後に返還義務があることを知った人が20.1%で、その半数以上の11.5%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答しています(※3)。

「奨学金」の内容やシステムをよく知らないまま制度を利用し、結果、トラブルになってしまうケースがとても多いのが現状です。そうならないよう、利用する前に内容をよく調べ、返済などについて子どもとよく相談して決めることが大切です。

「大学在学中に奨学金が停止されるリスクもある」ことを知っておこう

大学の奨学金の場合、在学中に「奨学金」が停止されてしまうというケースもあります。その原因のひとつが「留年」です。

せっかく「奨学金」を受けて進学できても、途中で停止となった場合、学校生活が続けられなくなるケースもあります。受験や入学前にこのリスクも十分に理解して、学生生活を送るようにすることが大切です。

なお、一般的に、病気や災害などやむを得ない理由で留年する場合は、申請することで「奨学金」の延長が可能です。また休学する場合も同じように申請を行えば、復学するときから「奨学金」を利用できます。

進学資金の積み立ては、できるだけ子どもが小さいうちから始めよう

「奨学金があるから大学資金は貯めなくても大丈夫」と短絡的思考に陥ってしまう親御さんは、データを見る限り少なからずいるようです。しかし、卒業と同時に数百万円もの借金を背負って世に出るというのは、想像以上に大きな負担です。

そこでお金の専門家として私がおすすめしたいのが、お子さんが生まれたときから毎月3万円ずつ積み立てるというもの。そうすると18歳までにだいたい600万円を貯めることができます。
月3万円はあくまで目安。むずかしい場合はその半分など、できる範囲でやれば、その分は確実に将来子どもの負担を減らすことになます。

教えてくれたのは・・・

丸山晴美さん

22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年、節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザーなどの資格を取得。身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを、テレビやラジオ、雑誌、講演などで行なっている。著書は「50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します」(共著)(幻冬舎)など多数。

取材・文/かきの木のりみ

 
 

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