「食費と教育費、どっちが家計を圧迫する?」家計調査でわかった今どきの家計の実態【節約の専門家が解説】
2024/12/07
わが家の1カ月の支出が多いほうなのか少ないほうなのかがわからない、という人は多いのではないでしょうか。そこで、2023年総務省「家計調査」による、年代別の消費支出をチェック。節約アドバイザーの丸山晴美さんに、そこから読み取れる今どきの生活費について聞きました。
なお、今回ご紹介する情報はすべて2024年11月時点の取材情報を基にしています。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。私はみなさまに“お金の旬の情報”を“わかりやすく”お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「月々の生活費」!
2人以上の勤労者世帯の1カ月の消費支出は平均31.88万円!
あなたの1カ月の「消費支出」はどのくらいですか?
消費支出とは、生活を維持するために個人や家族が支出する費用で、いわゆる生活費のことです。
2023年の総務省「家計調査」によると、2人以上の勤労者世帯の消費支出は1カ月平均31.88万円。支出の内訳では、「食料」が8.46万円ともっとも高く、「交通・通信」5.12万円、「教養娯楽」3.11万円と続きます。
同調査では年代別の支出も出ており、それを見るとどの年代でも「食料」の割合が25%前後と、もっとも高くなっていることがわかります。70歳以降に至っては、消費支出の3割近くが食料です。
これほど高い割合の項目は他にはなく、食費が家計を圧迫している現状が読み取れます。
ここ数年、食料品は値上がりが続いていますが、私たちの可処分所得は30年間増えるどころか、減少しています。所得が物価高に追いついていない、ということの表れともいえるでしょう。
多くの家庭が「がんばって節約しているけれど、食費はもうこれ以上削れない」という状況にあり、「栄養バランスなどを考えると高くても買わざるを得ない」という人が多いのではないでしょうか。
教育費の負担は減りつつあるものの、備えの貯蓄は必要
「家計調査」の内容に戻って、「教育」の項目を見てみると、40歳代・50歳代で急に高くなっていることがわかります(ただし、それでも消費支出全体の8%以下。食料に比べるとかなり低い割合です)。
これは、国の子ども支援策が厚くなってきている点が、反映されているからでしょう。2024年10月から児童手当が拡充されて所得制限が撤廃され、支給期間が高校生年代まで延長されたり、第3子以降の支給額が1人あたり月額3万円に増額されました。
私の息子も来年から高校生で出費が増えるため、支給期間が延びるのはとても助かります。
塾代などは自己負担ですが、学費などの負担は今後もさまざまな支援策や制度の拡充が予定されていて、比較的ラクになっていくことが予想されます。とはいえ、だから備えなくていいということではありません。
たとえば、私立高校は公立高校に比べ、授業料以外の費用負担が大きいケースが少なくありません。修学旅行が海外であったり短期留学費用などで、50万円、100万円かかることは珍しいことではありません。
私立高校も授業料は所得に応じて無償化されていますが、それはあくまでも授業料。寄付金や施設設備費、教材費、教科外活動費など、授業料以外の費用が負担になることもあるでしょう。
大学の費用は奨学金が活用できるとはいえ、子どもが浪人すれば、予備校代や受験費用などの費用がかかります。合格した場合でも、地方の大学に進学したら一人暮らしの費用が必要です。授業料以外の費用への生活費の支援はないに等しいので、あらゆる可能性を前提にしっかり貯めておくことが大切です。
貯め方はいろいろありますが、私は「学資保険」と「NISA口座を利用した積立投資」の併用をおすすめしています。とくに子どもが2人以上いる家庭は、ばく然と貯めていると後で慌てることになる可能性大。目標金額や達成時期などを具体的に決めて、確実に貯めていくことが大切です。
取材・文/かきの木のりみ