【Q&A集】奨学金のここが知りたい!奨学金の審査に落ちたら進学をあきらめるべき?
2021/09/11
わからないことが多いから、不安も募る"奨学金"。読者が疑問に思いつつもなかなか聞けないことを、思い切って聞いてみました。奨学金を実際に利用した人&ファイナンシャル・プランナーがお答えします!
Q1 親は「子どもに借金を背負わす」罪悪感はないの?
●子どもが納得しているので、罪悪感はなし!
「自分でお金を払ってまで進学したいか」「いくらなら返せるか」など、子どもとよく話し合い、納得して借りたので、罪悪感も後悔もありません。きちんと学べばお金は稼げるので、負担も最小限なはず(広川さん)。
●お金のことで進学を断念するほうが、親の罪悪感が残るかも
「自分の学費は自分で払う」という教育方針だったので、奨学金=悪だと両親も私も思ったことはありません。お金のことで進学をあきらめなくてすんだので、親にも奨学金制度にも感謝しています(Tさん)。
Q2 子どもが就職しなかったらどうするの?
●申請すれば、返還期間が猶予されます
失業や病気、経済困難など、返還がむずかしい場合は、一定期間「返還を停止して先送りにする」ことができます。1回の申請で1年間の猶予が認められ、この期間は返還を待ってもらえます(竹下さん)。
Q3 子どもにどうやって説明するの?
●奨学金についてよく調べ、返還プランまで提案
高3のとき、母が奨学金のことを事前にリサーチし、教えてくれました。想定される年収や月にいくら返して、全額返還に何年かかるかなども具体的に示してくれたので、イメージがしやすく不安もありませんでした(Tさん)。
●経済状況をきちんと説明し返し方も話し合う
定期的に、進路をどう考えているか子どもと話しました。いくらまでならお金を出せるかも包み隠さず伝え、奨学金を利用した場合の返し方も相談。子どもの不安がなくなるまで話し合うことが大切だと思います(広川さん)。
Q4 めちゃくちゃ大変と聞くけど、実際はどう?
●借入額が400万円を超えると、生活が苦しくなる人が急増
多くのかたの相談に乗ってきましたが、借入の総額が400万円を超えると、ライフプランに支障が出る印象があります。なるべく借入額を最小限にし、月の返還額を2万円以下に設定できるといいでしょう(竹下さん)。
●将来の年収をイメージして借りること
借金をして進学するので、将来返せるだけの職業に就けるかどうかは重要だと思います。無理のない返還プランなのでつらいと思ったことはなく、貯金もできていますよ(Tさん)。
Q5 「踏み倒し」が多いと聞くけど……
●延滞金が発生したり、給与が差し押さえられるケースも
延滞が長期化すると、返還残額と利子に加え、延滞金(年3%)が全額一括で返還請求されます。給与が差し押さえられたり、連帯保証人に対しても法的手続きが取られ、最終的に強制執行に至る場合もあるのです(竹下さん)。
Q6 繰り上げ返還はするべきですか?
●繰り上げ返還をすれば返還総額が抑えられる
通常、奨学金は毎月一定の額を返していきますが、あるタイミングで全額、もしくは一部をまとめて返すことも可能。第二種は早く返すほど利子の負担が少なくなる、つまり「返還総額を減らせる」メリットがあります(竹下さん)。
●繰り上げ返還はせず、資金運用に回しています
貯金があるので繰り上げ返還もできるのですが、あえてしていません。理由は、奨学金の利率は低いから(私の場合1%)。運用に回して得られる利益のほうが大きいと判断しています(Tさん)。
Q7 結婚相手にどう相談しましたか?
●交際中に今後のプランを含めて話した
夫には結婚前に奨学金を返していること、今後も自分の収入で返すことを話し、理解を得ました。もともとは「結婚までに返す」ことを目標にしていましたが、私の場合は運用に回しました(Tさん)。
Q8 奨学金があるとローンが組めないの?
●安定した収入があれば問題ありません
奨学金は借金なので住宅ローンの審査にも影響しますが、金融機関が重視するのは、安定した収入です。いずれも問題なく返せると判断されれば、住宅ローンを組むことはできるでしょう(竹下さん)。
Q9 奨学金の審査に落ちたら進学をあきらめるべき?
●JASSO以外の奨学金もあるので、 とことんリサーチを
JASSOの第一種は「成績の平均値が3.5以上」という条件がありますが、第二種の審査は比較的通りやすいといわれています。ちなみに3人家族の場合、給与所得が1009万円以下であれば審査の対象に。万が一落ちてもいろいろな奨学金があるので、リサーチしましょう(竹下さん)。
Q10 自分の子どもにも奨学金を使いますか?
●親子ローンという形も含め、奨学金も視野に
自分の学費を払うことは、勉強意欲の向上にもつながるので、いいことだと思っています。親が利子なしで学費分を子どもに貸す"親子ローン"か学費が高ければ奨学金を利用することも検討中(Tさん)。
<教えてくれた人>
・ファイナンシャル・プランナー 竹下さくらさん
「なごみFP事務所」にて個人のコンサルティングを主軸に、講演・執筆活動を行う。2児の母。教育費関連の著書も多く、新刊に『奨学金 上手な借り方新常識』(青春出版社)。
・広川あおいさん〈仮名〉(58歳)
夫(60歳)、長女(29歳)、長男(26歳)、二女(19歳)の5人家族。新潟在住で、理学療法士としてフルタイム勤務。塾代や仕送り、家のリフォーム費など想像以上の出費が発生し、長男と二女が奨学金を利用。
◎奨学金DATA◎
□世帯年収(手取り) 約800万円
□利用した奨学金と金額 JASSOの第一種(204万円)と大学(160万円無利子)の奨学金
□返還プラン 月2万円×約15年
*すべて長男の場合
・Tさん(33歳)
夫(32歳)、長女(5歳)の3人家族。都内在住で、薬剤師としてフルタイム勤務。住まいは分譲マンション。投資やポイ活など、お金の殖やし方を発信しているインスタグラムが人気。
◎奨学金DATA◎
□年収(手取り) 約530万円
□利用した奨学金と金額 JASSOの第二種(576万円)
□返還プラン 月2万5000円×約20年
参照:『サンキュ!』2021年9月号「教育費に不安のあるすべての人へ!奨学金ってありですか?」より。掲載している情報は2021年7月現在のものです。監修/竹下さくら 構成・文/草野舞友 編集/サンキュ!編集部