朝晩の冷え込みが増すこの季節。体が重く感じたり、なんとなく疲れやすくなったりしていませんか?
「食欲の秋」と言われる一方で、この時期は胃腸が冷えたり、代謝が落ちたりしやすい季節でもあります。そんな秋バテ気味の体を立て直してくれるのが、身近な食材「かぼちゃ」です。
今回は、かぼちゃの持つ健康パワーと、効果を引き出す食べ合わせについて、看護師で薬膳師の薬膳ナースけいこがお伝えします。
かぼちゃが持つ健康パワー
薬膳では、かぼちゃは体をじんわりと温めエネルギーのもととなる「氣(き)」と血の元気を補ってくれる働きがあると考えます。胃腸をやさしく温め、消化を助けてくれる頼もしい存在です。さらに「血」を補う作用もあるため、貧血ぎみの方や冷え性、月経時の不調が気になる方にもぴったり。心あたりのある方には、積極的に献立に取り入れていただきたい食材です。
栄養学的にも、かぼちゃはまさに“自然のサプリ”。オレンジ色の果肉には、抗酸化作用のあるβカロテンが豊富で、免疫力を高めて風邪や感染症を予防する効果が期待できます。ビタミンEもたっぷり含まれており、血行を促進して手足の冷えやむくみを改善。皮にはポリフェノール、ワタや種には亜鉛や鉄分も多く、捨ててしまうのがもったいないほど栄養の宝庫です。種は市販されておりナッツ感覚で楽しむことができますし、さらに食物繊維が多いので腸内環境を整え、便秘解消や美肌づくりにも効果的。まさに「中からきれいになる秋の美容食材」です。
かぼちゃの効果UPの食べ合わせ
体を温めたいとき
体を温めたいときは、しょうが、シナモン、ねぎ、玉ねぎなどと合わせるのがオススメです。
かぼちゃの「温めるエネルギーを補う」力と、上記食材の「体を温める力」の相乗効果が得られます。
かぼちゃの煮つけをするときに、しょうがやシナモンを加えたり、かぼちゃの入ったおみそ汁にねぎや玉ねぎを入れたもの朝食に食べれば、ぽかぽか温まってエネルギッシュに1日をスタートできますね。
疲れが強いとき
疲れが強いときは、「鶏肉」や「小豆」と一緒に煮ると、エネルギーや血の元気度を補う効果がUPします。
薬膳では疲れたときに鶏肉を使うことが多いです。鶏肉は胃腸を温めて消化吸収を助け、エネルギーや血の元気を補う滋養強壮に優れた食材。かぼちゃを掛け合わせることで、エネルギーを吸収するために大切な胃のコンディションを整えつつ体に力を与えます。
また、かぼちゃと小豆を合わせた煮物は「いとこ煮」と呼ばれますが、この組み合わせもおススメです。小豆の老廃物を出しやすくする力や血行を良くする力が疲れを癒します。
乾燥対策に
「はちみつ」や「豆乳」でデザート風に楽しめるのもかぼちゃの魅力です。かぼちゃのプリン、タルト、スープなどこの季節になると不思議と食べたくなりませんか?
実は、はちみつや豆乳は健康美容の敵、「乾燥」対策になります。体内の乾燥は疲れや便秘、小じわの原因になりますがはちみつや豆乳には体を潤す力があるんです。
ただし、かぼちゃは糖質が高め。じゃがいもより少し多い程度なので、1日100g(小鉢1杯分)を目安に食べると安心です。特にダイエット中の方は、主食と合わせて摂る量を調整しましょう。また、冷めたまま食べると温める力が弱まるため、スープや煮ものなど温かい状態で食べるのが薬膳的にもおすすめです。
やさしい甘みとほくほくの食感が心まで温めてくれる、かぼちゃ。
冷えや疲れを感じやすい秋こそ、食卓に取り入れてエネルギーをしっかり満たし、冬に負けない体づくりを始めてみませんか?
■執筆/薬膳ナースけいこ
大人女子が疲れにくい体と心で生きていくために東洋医学、西洋医学、脳と心の仕組みを使った暮らしに溶け込む健康習慣を発信。看護師、薬膳師として25年以上の実践経験を持つ令和元年生まれの息子を子育て中のママでもある。
Instagramは@keiko89zen
編集/サンキュ!編集部