スマホやパソコンの長時間利用で、目の乾きから涙が出やすくなるのはよくあること。しかし、こうした身近な症状の中に病気が隠れている場合があるんです。
「涙目になる」「涙があふれる」症状で、病院を受診するタイミングや、予防・改善方法について、くらかず眼科の倉員敏明院長に聞きました。
- Q.「涙目になる」「涙があふれる」症状はどのようにして起こるのでしょうか
- Q.「涙目になる」「涙があふれる」原因にはどのようなものがありますか
- Q.病院を受診する目安を教えてください
- Q.病院ではどのような検査が行われますか
Q.「涙目になる」「涙があふれる」症状はどのようにして起こるのでしょうか
「涙目になる」「涙があふれる」症状を引き起こす仕組みは、大きくふたつあります。
ひとつは「涙がたくさん作られる場合」です。目が乾燥したり、異物で刺激されたりすると、目を守るために涙腺が頑張って涙を増やします。その結果、涙が過剰に作られてあふれることになります。
もうひとつは「涙の排水がうまくいかない場合」です。涙は目頭から鼻へ流れますが、その通り道(涙道)が狭くなったり詰まったりすると、涙が目の表面に留まり、あふれてしまいます。
Q.「涙目になる」「涙があふれる」原因にはどのようなものがありますか
原因には次のようなものがあります。
・加齢・乾燥・アレルギーなど:
目の表面が乾いたり刺激を受けたりすることで、作られる涙の量が増えます。
・ドライアイ(涙の質の低下):
ドライアイというと涙が少ないイメージがありますが、涙の質が低下するタイプでは、涙が増えることがあります。
涙の質が低下すると、涙の量はあっても油分や粘液が不足し、蒸発しやすくなって目の表面が乾きます。その刺激で余分に涙が作られ、涙があふれてしまいます。目のゴロゴロ感や疲れ目を伴うのが特徴です。
・涙道狭窄:
涙の通り道が細くなる・詰まることで、涙が鼻へ流れず目からあふれます。片目だけ症状が出ることも多いです。
・角膜表面トラブル:
角膜に傷や炎症があると、目を守るために涙が増えます。痛みや視力低下を伴う場合は要注意です。
Q.病院を受診する目安を教えてください
・片目だけ涙が止まらない
・痛みや赤み、視力低下を伴う
・膿のような分泌物がある
・症状が長く続く
こうした症状がある場合、涙道の詰まりや角膜の病気の可能性があります。早めに眼科を受診してください。放置すると悪化することもあるので、気になるときは迷わず眼科に相談しましょう。
Q.病院ではどのような検査が行われますか
眼科では、次のような検査が行われます。
・涙道通水検査:涙の通り道に水を流して詰まりを確認する
・蛍光染色検査:角膜の傷やドライアイを調べる
・シルマー試験:涙の量を測る
細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)で目の表面やまぶたも詳しく観察します。痛みの少ない検査がほとんどなので、安心して受けてください。
Q.「涙目になる」「涙があふれる」症状を予防・改善するために自宅でできるケアはありますか。また、避けたほうがいいことはありますか
予防や改善には
・意識して瞬きを増やす
・温かいタオルで目元を温める
・室内の湿度を保つ(加湿器がおすすめ)
などが効果的です。
反対に、
・長時間のスマホやパソコンで瞬きが減る
・エアコンの風を直接目に当てる
・不要な点眼薬を乱用する
などは避けましょう。
このように「涙目になる」「涙があふれる」症状は、ちょっとした工夫で予防したり、悪化を防いだりすることができます。
取材/文:山名美穂
編集:サンキュ!編集部
