ニオイが強くなる時期がある!?40代からの女性のニオイ問題
2021/02/16
人のニオイは気になるけど、自分のニオイはよくわからないもの。近ごろは男性だけでなく女性にも加齢臭が出てくるなんていう調査結果もあり、年を重ねるごとに自分の体臭が気になるかたも増えているのではないでしょうか。
今回は、体臭研究の第一人者、東海大学の教授、関根先生に「女性の体臭」についてお話をお聞きしました。
(取材・文/みらいハウス 渡部郁子)
■話を聞いた人・・・関根嘉香(よしか)先生
理学博士。東海大学理学部化学科教授。環境中の臭いの研究を25年前から始め、15年前から体臭の研究を開始。そのころまだ世界的に研究が進んでいなかった皮膚ガスの調査で、人間の体から臭いが出ることを突き止めた「体臭」の専門家。
洗って取れる体臭と取れない体臭の違いは?
改めて考えてみると、そもそも体臭とは何なのでしょうか?どういう原理でニオってしまっているのか、わかるようでわかりませんよね。関根先生は、体臭のことを「皮膚ガス」と表現しています。
「体臭とは体の表面から出てくるガスが、自分や他人の鼻で感知されたもの。だから私は体臭のことを"皮膚ガス"と呼んでいます。皮膚ガスとは総称で、具体的には加齢臭であれば"2-ノネナール"、汗による酸っぱい臭いは「酢酸」、飲みすぎた次の日は"アセトアルデヒド"という成分がガスとして出てきます。
ちなみに、皮膚ガスの出てくる仕組み(放散ルート)は3通り。"表面反応由来"と"皮膚腺由来"と"血液由来"です。前述の加齢臭(2-ノネナール)は表面反応、酒臭(アセトアルデヒド)は血液由来になります。
表面反応由来と皮膚腺由来のものは、皮膚を洗えばニオイが軽減しますが、血液由来のものは洗っても取れないんです。
年齢が原因となる体臭がある!?
いくつかあるニオイのなかでも、40代がとくに気になるものといえば「加齢臭」でしょう。どんな皮膚ガスなのか?より詳しく解説してもらいます。
「加齢臭は“2-ノネナール”というニオイの成分で、皮脂が酸化することで発生するニオイです。だから体を拭いたりシャワーを浴びたりすれば軽減します。年齢が若い人からはほとんど検出されない皮膚ガスで、男性は30代後半から、女性も40代半ばから増加してきます。日本人だけでなく、イギリス人、韓国人も同様の傾向があります。
このほかに、中年男性に特有のニオイ“ジアセチル”は30代から60代の中年男性の放散量が多い皮膚ガスです。この中年男性臭のことを「ミドル脂臭」と名づけています。「ミドル脂臭」は女性でも確認されていますが、男性と比べると放散量がかなり少ないです。
一方で、若い女性特有のニオイもあります。桃の香りの成分である“ラクトン”が、若い女性の放散する皮膚ガスに多いという調査結果を、ロート製薬が発表しています。“γ-ラクトン”の放散量は男性に比べて女性のほうが多く、しかも10代後半から加齢とともに減少します」
女性特有のニオイは排卵期に発せられる?
若い女性から桃の香りがするとは驚きですね。関根先生によれば、女性特有のニオイはほかにもあるそうです。
「女性の体臭をテーマにした海外の研究で面白い調査結果があります。7組の夫婦の夫を対象に、妻の体臭を心地よいと感じる時期を調査したところ、妻の排卵期に、妻の体臭を心地よいと感じていることがわかりました。
皮膚ガスは肌の状態やストレス状況なども影響します。また、女性ホルモンによる直接的な影響を受けることも考えられます。調査人数が少ない研究ではありますが、女性は「排卵期にいい匂いを発している」と考えてよいと思います。」
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若い女性は桃の香り、排卵期はいい匂い、そして女性は40代から加齢臭に注意が必要ということですね。できることならなるべく長い期間、桃の香りを出し続けたいものですね。
◆取材・文/みらいハウス 渡部郁子
東京・足立区にある育児期の女性支援拠点「みらいハウス」のライティングメンバーです。子連れで取材活動に取り組む一児の母。育児と仕事にまつわる社会課題への支援事業や、子育てしやすい地域環境を構築する仕組みづくりを行っています。