「チョコレート」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいチョコレートのメリット&デメリット
2024/01/30
チョコレートの食べすぎはよくない……とはよく聞く話ですが、なぜよくないのか理由をご存知でしょうか?
チョコレートに含まれる成分には、役立つ作用を多く持つ反面、とり方を間違えてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、チョコレートの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安やおすすめの食べるタイミングについて紹介してもらいます。
健康増進や美容に!チョコレートを食べる「メリット」
チョコレート(※)とは、カカオ豆の一部を発酵、乾燥、焙煎、磨砕させてつくられたカカオマスに、砂糖、ココアバター、粉乳などを混ぜて合わせて固めたお菓子のことです。
ココアバター由来の脂質が多く含まれているためカロリーは高いのですが、カカオプロテインやカカオポリフェノールといった有効成分も含まれています。
カカオプロテインには、次のような作用があります。
・便のかさを増やす
・腸内細菌のえさとなって腸内環境を整える
これらによって、食物繊維と似たような便通改善効果が期待できます。
また、カカオポリフェノールには、次のような作用があります。
・強い抗酸化作用で動脈硬化を防ぐ
・活性酸素によるシミやシワなどの肌トラブルを防ぐ
・血管を広げて血圧を低下させる
・認知機能を高める
このように、健康や美容に気をつかう人にとって、いくつもの優れた働きを持っているのです。
※……ホワイトチョコレートと呼ばれる白いチョコレートについては、カカオの有効成分を多く含んだカカオマスが使われていないため、この記事内では触れていません。
不眠や頭痛も?チョコレートを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるチョコレートですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
太りやすくなる
チョコレート(※)のおよそ1/3は、脂質で占められています。そのため、チョコレート1枚(50g)当たりのエネルギーは275kcalとなっており、一般的な間食の目安量(200kcal)を超えてしまいます。
間食の目安を超えてしまうと通常の食事と合わせた場合、カロリーの取り過ぎになりやすく体重増加につながりやすくなるのです。
また、カロリー以外に、糖質が多く含まれることも肥満に影響を与えます。
糖質は炭水化物から食物繊維を引いたものであり、大量に摂取することで急激な血糖値の上昇を招き、脂肪の蓄積を促します。チョコレート1枚(50g)の糖質量は25.9gとなっており、1日2,000kcal摂取する場合は炭水化物の1日の摂取目標量の10%を占めることになります。
また、肥満にとどまらず、血糖値の大きな変動が長期的に続いてしまうと、糖尿病などの生活習慣病になるつながる可能性も……。
※……日本食品標準成分表2020年版(八訂)における、ミルクチョコレートを参照。
ニキビなどの肌荒れを起こしやすくなる
チョコレートに多く含まれる脂質と糖質ですが、肥満以外にも悪影響を及ぼすことも……。
脂質のとりすぎは、皮膚の保護に役立つ皮脂の分泌量を増やします。過剰に分泌された皮脂は、酸化したり毛穴を詰まらせることによって炎症を起こし、ニキビの原因となるのです。
また、脂質や糖質を体内で利用するためにはビタミンB群が消費されます。それらは皮膚の代謝にも関わり、肌細胞の正常な生まれ変わり(ターンオーバー)に役立っていることから、不足することで肌荒れを引き起こしてしまうことに。
そのため、チョコレートの成分が原因なのではなく、脂質と糖質のとり過ぎが肌荒れに関係している、ということができるでしょう。
不眠や頭痛などの原因になることもある
チョコレートには、カフェインやテオブロミンといった苦味成分も含まれています。
カフェインはコーヒーに含まれることでも有名ですが、テオブロミンも似たような性質を持っています。テオブロミンに関しては、適量であればリラックス作用が期待できるのですが、とりすぎるとカフェイン同様に神経興奮作用などがあらわれ、睡眠を妨げることが知られています。
これらの成分は、感度に個人差が大きく、とくに小児や妊婦は控えたほうがいいと言われています。
また、チョコレートにはチラミンという成分が含まれており、血管を収縮させた後に拡張させる作用があります。このときに急激に血流が増えることで、頭痛やじんましんを起こしたり、アレルギーがある場合にはその症状を悪化させることもあるのだとか。
食べ方次第で太りにくくなる可能性も!?チョコレートを楽しむ適切な量とタイミング
上記のとおり、チョコレートに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、チョコレートを楽しむ量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
一般的な1日の間食の目安量(200kcalくらい)から、適量を算出してみましょう。
・チョコレート…… 36g
これはチョコレートだけを間食に食べた場合であり、1枚50gの板チョコであれば3/4枚に相当します。
なお、原材料に占めるカカオの割合が多くなっている高カカオチョコレートなどの場合は、割合に比例してカロリーが高くなる傾向にあります。
そのため、もっと少ない量であっても200kcalを超える可能性が高いため、一般的なミルクチョコレートよりも減らすことをおすすめします。
当然ですが、チョコレート以外にもナッツやドライフルーツなどが含まれる商品についても、さらにカロリーが高くなりやすいため減らすようにしましょう。
いずれもチョコレート以外の間食をとる場合は、その分のカロリーを減らした量にすることをお忘れなく。
これとは別に、テオブロミンの含有量もカカオの割合が増えるほど多くなる傾向があるため、不眠や頭痛などの心配がある場合は高カカオチョコレートであれば摂取量をさらに抑えたほうがよいと言えます。
カフェインについては、高カカオチョコレート25g(およそ1/2枚相当)であってもレギュラーコーヒー1杯の1/5以下とされているため、よほど敏感で影響を受けやすいという人でなければ心配ないでしょう。
就寝前に食べるのは避ける
高カカオチョコレートの場合、一般的なチョコレートよりもさらに脂質が多く含まれていて消化に時間がかかるため、就寝前は避けた方がよいでしょう。
就寝中は消費されるエネルギーが減って食べたものが脂肪として溜め込まれやすくなったり、消化活動に時間がかかって睡眠の質を下げる可能性があるからです。
そうはいっても、欧米での習慣や国内の一部のホテルでは就寝前にチョコレートを少量食べるナイトチョコレートというサービスも存在します。これは、チョコレートに含まれるテオブロミンなどの作用を利用したもので、一般的なチョコレートで先述した1日の適量の1/3程度と少量であればデメリットは少なくなることが期待できます。
食前のチョコレートで太りにくくなる!?
高カカオチョコレートを食べるおすすめのタイミングは、食前30分前。
このタイミングで高カカオチョコレートを食べるとその後の食事による血糖値の急上昇を抑えることが期待できます。これは、カカオ由来の食物繊維が多く含まれていることが理由で、野菜などを食事の最初に食べる「ベジファースト」と同じ原理になっています。
血糖値の急上昇は糖尿病の人にとってだけでなく、そうでない人にとっても太りにくくなるうえで大切なポイントです。急激に血糖値が上がると、インスリンというホルモンの分泌によってその後急激に血糖値が下がりやすくなり、その際に強い空腹感、眠気やだるさなどの不快症状が強くなるとされています。
さらには、血糖値を下げるために脂肪細胞への取り込みが増えたり、脂肪の合成が促進されるという影響も。
そのため、とくに空腹時や糖質の多い食事をする前には、高カカオチョコレートがおすすめと言えるのです。
なお、カカオポリフェノールは食べてから2時間後に血液中での濃度が最大になる性質があることから、一度に多くとるよりも数回に分けてとり入れるほうが効果をより期待することができます。
種類ごとの特徴を知り、食べる量やタイミングを意識すれば、多くのメリットを得ることができるチョコレート。ぜひ、参考にしてみてはいかがでしょうか。