フランスでは一般的な野菜、日本では…?「アーティチョーク」の食べ方

2019/09/21

旬になると道の駅や産直売り場で見かけるけれど、あまりなじみのない「はじめて野菜」。ほとんど使ったことがない野菜だからこそ、ちゃんとプロに使い方を教わってチャレンジしませんか?
今回はアーティチョーク!

とても短い期間しか出回らず、そのうえ一般的なスーパーではほぼ見かけないアーティチョーク。だからこそ、見つけたときは、これはどうやって食べるの?なんて躊躇(ちゅうちょ)せず、すかさずゲットできる人になってみたい。

レシピをひとつ知っているだけで、そんな世界が広がりますよ。

教えてくださるのは、大庭英子さん。

料理編集者やカメラマン、スタイリストなどが、個人的に大好きと語ることの多い凄腕の料理家で、携わった書籍はすでに数えきれないほど。ふだんはなかなかレシピを紹介する機会のないアーティチョークということもあり、いろいろな種類を取り寄せてレシピを紹介してくれました。

まずは、アーティチョークがどんな野菜か知るべく、教えてくださったのは、シンプルにゆでてドレッシングにつけて食べるという料理。

ーーライターK
フランスの家庭料理としては、一般的なんですよね?でもアーティチョークをさわることがほとんどないわれわれには、まったく未知の食べ物です。なにから手をつけていいやら?いったいどこを食べるんだろう?と謎だらけです。

ーー大庭先生
本当ですよね。だれが最初に食べはじめたのか、私も知りたいくらいの野菜です。日本語ではチョウセンアザミと言って、食べずにそのまま育てると紫色の大きな花が咲くんですが、食べるのはつぼみの状態のものです。

ーー大庭先生
まずは、つぼみの頭を切り落とし、茎も切ります。

ーーライターK
すでに、不思議な形状ですね…。意外に硬そうです。


ーー大庭先生
そして大鍋に水を入れ、レモンや、白ワインといっしょにゆでるだけ。レモンを入れるのはアクによるえぐみを消すためです。白ワインは風味づけ。なければ入れなくても大丈夫ですよ。

ーーライターK
わ、なんだか鍋からはみ出す勢いですが…。

ーー大庭先生
最初は浮いていますが、徐々に沈んできます。沸騰したらふたをして、弱火で20分ほどゆでるだけです。大きさによっては、もっと時間がかかることもあります。中心に竹串を挿してみて、すっと通るようになったらOKで、湯から上げます。



ーーライターK
先生!また不思議な状態ですが…?

ーー大庭先生
はい、ゆで上がったら軸側を上にむけて、中の水けをきるような気持ちで、このまま粗熱をとります。この間にドレッシングを用意します。もちろん市販のフレンチドレッシングや、単にマヨネーズだけでもいいんですよ。

ーーライターK
ゆでてドレッシングをつけて食べる。それだけ聞くと、ふつうですね、と思ったら!!!

ーーライターK
先生、これはいったいなにをされているのでしょう?

ーー大庭先生
がくを1枚ずつはずしていって、皿に並べているんです。私が昔、フレンチレストランで食べたときは、こんな風に放射状に並べることが多かったですよ。

ーーライターK
先生、この状態はいったい?

ーー大庭先生
じつは、真ん中の芯の部分がいちばんおいしいんですよ。芯の部分の上側は取り除き、さらに毛のような部分も取り除いて、その下の部分を食べるんです。


ーー大庭先生
↑の写真の、上側の毛の部分は取り除き、下の部分だけを残します。

ーーライターK
思わずため息が出そうなくらい、ちょっぴりですね。
これだけむいて、食べるのはここだけなんでしょうか?

ーー大庭先生
さっきむいたがくも食べられますから、安心してください。
とりあえず、下の写真のように盛り付けたら完成です。

ーーライターK
わ!なんだか不思議な料理です〜。
では、まずがくから、いただきま〜す!

ーー大庭先生
あ、Kさん、気をつけて。がくは全部食べられるわけではないんです。

ーーライターK
先生、さっきから??が頭にいっぱい飛んでます!

ーー大庭先生
まずがくを手にとって、芯に近い側にドレッシングを少しつけます。
下の方はちょっとだけ厚みがありますよね?そこをかじって、上下の歯でしごくようにして、食べるんです。

ーーライターK
先生、なんて不思議な食べ物なんでしょう!

でも、ほろ苦くて、ほの甘くて、ちょっとやみつきになる味ですね。歯でしごいて食べるという繰り返しで、思わず、無言になってしまいます。たけのこのやわらかいバージョンというべきか、くたくたにゆでた栗に例えるべきか。

とくに芯のところは、くたくたな栗を彷彿とさせますね。でも、このほろ苦さは、大人のおいしさです!
それにしても、改めて不思議な食べ物ですね。本当に、最初に食べた人が食べようと思った理由を知りたいです〜。

ーー大庭先生
日本でも作っている生産者はあちこちに増えているみたいですよ。今日のアーティチョークは千葉産と京都産です。

ーーライターK
これは、なんだかおもしろい食べ物でした!夏の短い期間だけ出回る野菜なので、道の駅などで見つけたら、すかさず買ってみます!

ーー大庭先生
イベント的に楽しめるから、年に1回のお楽しみに食べてみるのもいいですよね。

ゆでアーティチョークのサラダ

【材料:作りやすい分量】
アーティチョーク…2~3個
白ワイン…大さじ2
塩…少々
レモンのくず(絞った残りなど)…適量

ドレッシング
・マヨネーズ…大さじ1
・オリーブ油…大さじ3
・塩、こしょう…各少々

【作り方】
1 アーティチョークは軸と、つぼみの上の硬い部分を切り落とす。
2 鍋にアーティチョーク、たっぷりの水、白ワイン、塩、レモンのくずを入れて強めの中火にかける。沸騰したらふたをし、弱火で20分ほど、竹串をさしてすっと通るくらいまでゆでる。取り出してバットに逆さにして置き、水けをきる。
3ボールにドレッシングの材料を入れ、泡立て器で混ぜる。
4アーティチョークのがくをはがして器に並べる。芯の部分を取り出して、花芽の部分や毛のような部分(オシベ)を取り除く。食べやすく切って器に盛り、ドレッシングを添える。
がくは芯に近い側にドレッシングをつけ、かじって歯でしごくようにして食べる。

Have a try!

□今度の週末、道の駅に行ってみる
□地元にアーティチョークを作っている農家がないか、検索してみる

料理・監修/大庭英子 
『サンキュ!』をはじめ、数々の雑誌で料理を紹介している。本当にシンプルで潔い簡単レシピなのに、そのおいしさといったら!いっしょに仕事をするスタッフたちから、絶大なる信頼を集めている。キャリアはすでに約40年。

撮影/安部まゆみ 

構成・文/加藤郷子
出版社にて料理・生活情報誌編集を経てフリーに。得意ジャンルは暮らしまわりいろいろ。趣味は食べること。一部の編集者から、「加藤さんの行った店をチェックしたグーグルマップが欲しい」と熱望されるほどの食べ歩き好き。

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