【管理栄養士監修】「芹(せり)」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2020/12/13
日本原産の野菜「芹(せり)」について紹介しています。せりに含まれる主な栄養素の特徴や、あまりふだん使い慣れてないかたにもおすすめのレシピ、ダイエットに期待できる効果などをまとめました。
せりの種類
せりは春の七草にも数えられ、日本では古くから食べられてきた野菜です。春の七草にも含まれていて、数少ない日本原産の野菜のひとつでもあります。仙台で有名な「せり鍋」や、秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」には欠かせない野菜として知られています。
せり自体に種類はなく、区分としては天然物と栽培物があります。栽培物では「仙台せり」と「三関(みつせき)せり」などのブランドが有名です。
せりのカロリーと栄養素
生のせり100gあたりのカロリーは17kcalです。
生のせり100gには、β-カロテンが1900μg、ビタミンKが160μg、葉酸が110μg、カリウムが410mg、食物繊維が2.5gなどの身体によいとされる栄養素が豊富に含まれています。
次の項目からは、せりに含まれる主な栄養素について特徴や効果などを1つずつ紹介していきます。
せりの栄養素
・β-カロテン
・ビタミンK
・葉酸
・カリウム
・食物繊維
せりの栄養素1:β-カロテン
β-カロテンは抗酸化作用があるため、老化や生活習慣病の原因とされる活性酸素の害から細胞を守ったり、免疫機能を整えます。また、必要に応じて体内でビタミンAへ変換され、皮膚や粘膜を健康な状態に保つはたらきもあります。
β-カロテンの吸収をよくするためには、加熱したり、油を使ったりした調理が適していると言われています。
せりの栄養素2:ビタミンK
ビタミンKは、 血液を凝固させ止血する効能があることから、止血のビタミンとも呼ばれています。
また、骨にカルシウムが沈着するのを助け、骨からのカルシウムの流出を防ぐはたらきもあるため、丈夫な骨を維持するためにも欠かせない栄養素です。
せりの栄養素3:葉酸
葉酸は、水溶性ビタミンという水に溶けやすい性質を持つビタミンのひとつです。
葉酸は、たんぱく質や細胞をつくるときに必要なDNAなどの核酸を合成するはたらきがあり、胎児の細胞分裂がさかんな妊娠初期などにとくに重要な栄養素です。また、ビタミンB12と一緒に赤血球をつくる造血作用があります。
貧血の予防や、動脈硬化を抑えて卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防ぐはたらきも期待できます。
せりの栄養素4:カリウム
カリウムは無機質といわれるミネラルのひとつで、からだの細胞内に存在するものの総称である「細胞内液」の中に多く存在しています。
カリウムは細胞の状態を正常に保つはたらきをします。細胞外液に存在するナトリウムとバランスをとり、浸透圧を調整したり、水分を保持します。また、ナトリウムを体外へ排出することで血圧を下げるはたらきもあるので、高血圧やむくみの予防に役立ちます。
せりの栄養素5:食物繊維
食物繊維はヒトの持つ消化酵素では消化することができないのが特徴で、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。
善玉菌を増やして腸内環境を整えたり、糖の吸収を抑えたり、コレステロールを吸着して体外へ排出するはたらきがあります。
また、食物繊維をバランスよく十分にとることで、便の量を増やしたり、排便を促して便秘を防ぐ効能もあります。
せりはダイエットに効果がある?
せりをダイエットに取り入れるなら、β-カロテンと食物繊維が効果を高めてくれるかもしれません。またカロリーも低いため量を気にせず食べることができます。
ダイエットで栄養が偏ると肌にも悪影響が出ることがありますが、抗酸化作用を持ち、ビタミンAに変換されるβ-カロテンをとることで、美肌の維持に役立ちます。
また、ダイエットの敵でもある便秘に対して効果的な食物繊維が含まれているので、腸内環境を整えて代謝のよい状態にしてくれることが期待できます。
せりを使ったおすすめのレシピ
せりの持つみずみずしい香りとシャキシャキの食感が好きなかたもいるのではないでしょうか。
せりの香り(精油成分)にはリラックス効果も期待できるので、気持ちをリフレッシュしたいときにもぴったりです。
せりを使ったおすすめのレシピを3つ紹介するので、ふだんせりを食べる機会が少ないという人も、ぜひ参考にしてみてください。
せりのおすすめレシピ1:せりのお浸し
まずはシンプルに、せりの風味を楽しめる定番の「お浸し」の紹介です。
調理工程も少ないのでササっと副菜をつくりたいときにも覚えておきたいレシピになっています。
和風だしでさっぱりした味つけなので、どんな料理にも合わせやすいででしょう。献立に品数や緑がたりないと困ったときにも便利です。
ゆですぎないようにすることで、せりの香りやシャキシャキとした食感が楽しめます。
せりのおすすめレシピ2:セリの和風スクランブルエッグ
セリの和風スクランブルエッグはトロトロたまごに、セリの香りが華やかさを添えてくれる、朝食にもおすすめの一品です。湯煎をしてつくるので焦がすこともなく、絶妙な半熟加減も簡単につくることができます。
少ない材料でできるので、いそがしい朝でも簡単につくれるのがうれしいポイントです。ごはんとパンのどちらに合わせて食べてもおいしいでしょう。ホットドッグ用のパンにはさんだり、ホットサンドの具にしたりとアレンジしてもいいかもしれません。
せりのおすすめレシピ3:セリたっぷりみそ豚鍋
せりは鍋料理でも活躍してくれます。寒い冬だけでなく、野菜をたくさん食べたいというときにもおすすめな、味噌ベースの鍋です。
鍋料理なので、具材を切れば準備完了するところもうれしいポイントです。レシピの具材以外にも冷蔵庫にある野菜やきのこを入れることができるので、使い切りたい食材があるときにもぴったりです。
せりをおいしく食べよう!
ここまでせりの特徴や栄養素、おすすめのせりを使ったレシピについて紹介してきました。
せりは健康に欠かせない栄養素が豊富で、香りや食感も楽しめるおすすめの食材です。今まであまり馴染みがなかった人も、ぜひいろんなレシピでふだんの食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
天然物のせりの旬は春とされていますが、ハウス栽培されたものは通年スーパーで見かけることもできます。鍋にはもちろん、いろんな料理で活躍してくれること間違いありません。
監修者ミニコラム:せりは根っこも食べるべし!注意点&その魅力とは?
せりは、鮮度維持のために、根つきで流通していることもあります。とくに、地域ブランドのせりには根が長いものもあり、根から旨味や香りが得られることから余さず食べられています。
仙台名物の「せり鍋」では、根つきのまま豪快にせりを入れて、独特のほろ苦さや強い香りを堪能するのだとか。選ぶときには、根がたくさんついていて、根と茎の境がはっきりしているものがポイント!
天然物に比べると、栽培物はアクが弱めですが、金属製の包丁を使うとアクが出やすいので、手でちぎるかほかの素材の包丁を使うと◎。
あまり煮込んでしまうと、せっかくの香りや食感、熱に弱い栄養素が失われてしまうので、鍋に加えたら早めに食べるようにしてくださいね!