【管理栄養士監修】「数の子」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2020/12/13
おせち料理に入っている数の子は、カロリーが低く、健康によい効果のあるさまざまな栄養素を含んでいます。今回は、数の子の種類や主な栄養素について解説します。紹介する数の子のアレンジレシピを参考に、おいしく食べましょう。
数の子の種類
数の子は、ニシンという魚の卵です。コリコリ、プチプチした食感が特徴で、子孫繫栄の縁起物としておせちなどで食べられています。雌のおなかから取り出した塊の状態を塩で漬けたものが一般的に流通しています。
塩漬け(塩蔵品)以外には干し数の子と生数の子があります。干し数の子は名前のとおり数の子を天日干ししたもので、希少な高級品です。生数の子はニシンの産卵期の3月~5月しか手に入らない、やはり希少なものです。
数の子のカロリーと栄養素
数の子100gあたりのカロリーは、生の数の子が162kcal、塩蔵を水もどしした数の子が89kcalです。手に入りやすく食卓によく並ぶのは塩蔵の数の子ですが、生の数の子のほうがより多くの栄養を含みます。
数の子には、体によいとされている栄養素がたくさん含まれています。
数の子の栄養素
・たんぱく質
・EPA・DHA
・カリウム
・葉酸
・ビタミンB2
数の子の栄養素1:たんぱく質
たんぱく質は体内で筋肉や臓器、皮膚や髪、血液や酵素などの材料となって、健康を維持してくれる栄養素です。また、体の組織を構成するだけでなく、免疫物質やホルモンをつくって、体中へ運ぶ働きがあります。
たんぱく質が不足すると成長障害や免疫機能の低下を引き起こす可能性があり、生きていくうえで欠かせない栄養素です。
近年ではダイエットをする際のたんぱく質摂取の重要性が唱えられており、カロリー制限などで食事量が減ることで不足しがちな栄養素であるため、意識をして摂取する必要があります。
数の子の栄養素2:EPA・DHA
EPAやDHAは、不飽和脂肪酸と呼ばれる脂質の構成要素です。不飽和脂肪酸は魚介類や植物性食品に多く含まれています。EPAやDHAは体内でほとんど生成できないため、食品から摂取する必要があり、必須脂肪酸とも呼ばれます。
EPAやDHAには、血栓ができるのを防いで血液の流れを改善する効果や、中性脂肪やコレステロールを下げる効果などがあるとされています。
数の子の栄養素3:カリウム
カリウムは、体液の浸透圧を正常に保つ効果のあるミネラルです。塩分のとりすぎで血中のナトリウム濃度が高くなるとカリウムが働き、余分なナトリウムを体外に排出します。そのため、カリウムには高血圧を防ぐ役割や、むくみを解消する役割があるといわれています。
また、カリウムはカルシウムを骨に蓄積する効果を高めてくれるともいわれているため、骨粗しょう症の予防効果も期待できます。
数の子の栄養素4:葉酸
葉酸は、体内での細胞の分裂や成長に影響し、とくに妊娠を望んでいる人や妊娠・授乳中の人は必要量が増加する栄養素です。胎児が正常に発育するために、重要な働きをするといわれています。
また葉酸には、ビタミンB12とともに赤血球の形成を助ける造血作用もあるため、造血のビタミンとも呼ばれます。貧血や動脈硬化の予防効果があるともいわれています。
数の子の栄養素5:ビタミンB2
ビタミンB2は、糖質、脂質、たんぱく質を体内でエネルギーに変える働きをする、代謝に関わる重要な栄養素です。また、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生にも関わるため、不足すると口内炎や皮膚炎の原因になる可能性があります。
また、ビタミンB2は「発育のビタミン」とも呼ばれ、成長をうながします。成長期の子どもはとくにしっかり摂取することをすすめられています。
また、アスリートや、スポーツを楽しむかた、アクティブなお仕事をしているかたなど、エネルギー消費が多い人にも積極的に取り入れて欲しい栄養素といえるでしょう。
数の子はダイエットに効果がある?
数の子は比較的カロリーが低く、ダイエット中でも食べやすい食材でしょう。また、代謝を維持するために必要なたんぱく質、ビタミンB2を始めとしたビタミンB群が含まれています。
ほかにも、数の子に含まれるEPA・DHAには、中性脂肪やコレステロールを下げる効果や、肝臓での脂肪の分解促進や合成を抑える作用が期待できることから、数の子はダイエットに役立つ食材といえるでしょう。
数の子を使ったおすすめのレシピ
そのまま食べることが多い数の子ですが、調理してもおいしく食べられます。洋食にも意外と合うのが特徴です。
塩味の数の子に飽きてしまったときは、ぜひ参考にしてみてください。余ったおせちの数の子のアレンジにも使えます。
数の子のおすすめレシピ1:数の子のタルタル
ちぎった数の子を、クリームチーズや香辛料と和えた大人好みの一品です。包丁も使わず混ぜるだけで手軽にできるので、ちょっとしたおつまみが欲しいときに重宝します。
数の子の塩気がクリームチーズと相性抜群で、クラッカーにのせてカナッペにすれば、おもてなしにもぴったりです。また、バゲットやサラダにのせてもおいしく食べられます。
数の子のおすすめレシピ2:おせちの数の子の味付け
塩数の子は塩抜きをしてそのまま食べることもできますが、漬けだれできちんと味つけをすればワンランク上のお料理になります。
1日程度漬け込むことで、味がなじんでおいしく仕上がります。上品な味の漬けだれで、お正月のお客さまのおもてなしにもぴったりです。
漬けたものは冷蔵庫で3~4日保存できるため、おいしい数の子をゆっくり楽しめるでしょう。
数の子のおすすめレシピ3:数の子入りクリームパスタ
数の子はパスタとも相性がよいです。クリーム味のパスタなので、お正月料理に飽きたお子さんにも喜ばれる一品です。
数の子の食感を生かすため、ザックリと刻むのがポイントです。数の子を仕上げに加えることでプチプチ食感を残し、濃厚なクリームとともに風味が楽しめます。
数の子をおいしく食べよう!
数の子は、卵がぎっしりと連なる様子から、子孫繁栄の縁起物として祝いごとに用いられてきた歴史のある食材です。おせちを食べる人は減りつつあるといわれますが、日本ならではの風習は継承していきたいものです。
数の子は食感が楽しいだけでなく、体によい成分もたくさん含まれています。食べ飽きてしまった場合は、アレンジしておいしく食べてみましょう。
監修者ミニコラム:数の子の苦みの元は〇〇〇だった!塩抜きで塩水を使う理由も関係?
数の子は、にしんの卵なので、稚魚が孵化して育つための栄養が凝縮されています。遠洋で獲れ、日持ちを延ばすために塩漬けにされることが多く、食べる前に塩抜きが欠かせません。そのとき、上手に塩抜きしないと、苦味を強く感じることに……。
苦味の原因は、数の子に含まれている塩化ナトリウム(にがりの成分)とアミノ酸。アミノ酸には苦みを持つものがあり、数の子には約70%含まれているのだとか。
ほどよい塩味が残っていると苦みがカバーされるのですが、塩を抜きすぎると苦みが前面に出てきます。また、間違って真水に浸してしまうと、タンパク質が分解されて苦みのあるアミノ酸に変わるので、塩抜きには塩水を使うべき理由の1つとなっています。