【管理栄養士監修】「ふきのとう」の主な栄養素とカロリーまとめ!おすすめな調理方法は?
2020/12/14
山菜として知られるふきのとうですが、あまり馴染みがないという人もいるのではないでしょうか。この記事ではふきのとうの栄養や、その効能についてご紹介しています。簡単につくれるおいしいレシピや、下処理の方法、選ぶ際の注意点も紹介していきます。
ふきのとうの種類
ふきのとうはふきの小さなつぼみがいくつも集まった花芽の部分です。生えている場所や形、色によって「ヤマブキ」「サワブキ」「アカブキ」「アオブキ」などと区別することがあります。
ふきのとうには特有の香りとほろ苦さがあり、春の訪れを告げる季節の風物詩とされています。苦みは、つぼみが開くにつれて強くなるといわれます。
ふきのとうのカロリーと栄養素
生のふきのとう100gあたりのカロリーは43kcalで ビタミンB1、ビタミンK、カリウム、葉酸、食物繊維などの栄養素を多く含んでいます。
文部科学省が公開しているふきのとうの栄養成分表によると、生のふきのとう100gあたりに、ビタミンB1が0.10mg 、ビタミンKが92μg、カリウムが740mg、葉酸が160μg、食物繊維が6.4gなどが含まれています。
疲労回復や骨を丈夫にする働きのある栄養素が含まれているので、健康に役立つ食材といえます。
ふきのとうの栄養素
・カリウム
・葉酸
・ビタミンK
・食物繊維
・ビタミンB1
ふきのとうの栄養素1:カリウム
カリウムは細胞内に多く含まれ、細胞外に多く存在するナトリウムとバランスをとって、浸透圧を維持したり、水分を保持する働きがあり、生命維持において必要不可欠な栄養素の一つです。
カリウムはナトリウムを体外へ排出することで、高血圧の予防やむくみの改善に効果があると言われています。
ふきのとうの栄養素2:葉酸
ふきのとうに含まれる葉酸は、体内での細胞の分裂や成長に影響し、胎児が正常に発育するための重要な栄養素で、とくに妊娠を望んでいる人や妊娠・授乳中の人に必要量が増加します。
また、葉酸には、ビタミンB12とともに赤血球の形成を助ける造血作用もあるので、「造血のビタミン」とも呼ばれます。
十分に葉酸をとることで、貧血や動脈硬化の予防に役立ちます。
ふきのとうの栄養素3:ビタミンK
ビタミンKには、血液を固める因子を活性化させる働きがあります。
また、骨に含まれるタンパク質を活性化させて骨の形成を促進させるため、骨粗しょう症の治療薬としても利用されています。ほかにも、動脈の石灰化を抑える働きがあり、骨や血管の健康維持に役立ちます。
ふきのとうの栄養素4:食物繊維
食物繊維とは人間の消化酵素で消化することのできない栄養素で、現在では「第六の栄養素」として重要視されています。食物繊維には成熟した野菜などに含まれる、水に溶けない不溶性のものと、大麦、海藻などに含まれる水溶性のものがあります。
十分な食物繊維をとることで、悪玉菌や腸内の有害物質を減らし、腸内細菌のバランスを整えて腸内環境を改善します。
ふきのとうの栄養素5:ビタミンB1
ふきのとうに含まれるビタミンB1は、疲労回復に効果があるビタミンで、不足すると身体がだるくなったり疲れが取れなくなります。
ビタミンB1は水に溶けやすく身体の中に溜めておくことができないので、一度に大量にとるのではなく日常的に摂取していくことが望まれます。また、糖質をエネルギーに変えるときに必要な栄養素で、脳や神経系が正常に働くようにするという重要な役割を持っています。
ふきのとうはダイエットに効果がある?
ふきのとうには、食物繊維が多く含まれます。食物繊維が水分を吸って胃腸内をゆっくりと移動するため、満腹感を得やすくなり、ダイエットに役立つことが期待できます。
また、食物繊維が多く含まれる食べ物はよく噛んで食べる必要があり、食事に時間がかかることで食べすぎも防いでくれるでしょう。さらに、大腸内で食物繊維が発酵、分解されることによって腸内環境が整い、便秘の改善や糖質の吸収を抑える効果もあります。
ふきのとうは、佃煮やふき味噌などに調理することで、ふだんの食事にも取り入れやすくなるでしょう。
ふきのとうを使ったおすすめのレシピ
ふきのとうのおすすめレシピを3つご紹介します。
定番のメニューから珍しい使い方まであるので、レシピを参考にして、ふきのとうを使った料理にチャレンジしてみてください。
ふきのとうのおすすめレシピ1:ふきのとうの天ぷらのレシピ
ふきのとうの天ぷらは、ふきのとうの定番の調理方法です。
ふきのとう特有の苦みは、油で調理することによって抑えられるので、苦みが苦手なかたにも天ぷらは食べやすい料理といえます。天ぷらといえば、塩や天つゆで食べるのが一般的ですが、味噌だれと合わせた食べ方もおすすめです。
赤味噌を使った味噌だれのコクと、ふきのとうのほんのりとした苦味が相性抜群の一品ですので、ぜひ試してみてください。
ふきのとうのおすすめレシピ2:フキノトウのみそクリームパスタ
ふきのとうのみそクリームパスタは、ふきのとうを使って洋風にアレンジしたレシピです。
味噌味ベースのクリームのとろみが、ふきのとうの苦味をまろやかにし、パスタともよくからむので相性抜群です。ふきのとう料理のアレンジに困ったとき、つくってみてください。
ふきのとうのおすすめレシピ3:フキノトウ炒め
ふきのとう炒めは、下ゆでなしで素材本来の味と香りを楽しめるシンプルなレシピです。
調理方法はとても簡単で、少ない材料でつくることができ、ふきのとうの苦味を生かした料理に仕上がります。使っている食材がシンプルなので、玉ねぎやしめじを加えたり、自己流のアレンジを加えてみるのもいいでしょう。
ふきのとうをおいしく食べよう!
ふきのとうをおいしく食べるには、良質なものを選び、正しい下処理や保存を行う必要があります。
つぼみが固く閉じていて黒ずんでいない、できるだけ小ぶりなものを選ぶと、新鮮で苦みが少ないと言われています。
ふきのとうは、収穫後の風味の低下が早く変色しやすいので、できるだけすぐに調理や下ゆでをし、冷蔵や冷凍しておくといいでしょう。
ふきのとうは天ぷらのイメージが強いですが、その苦みを生かしてさまざまな料理にアレンジすることができます。旬の新鮮なふきのとうを食べて春を感じてください。
監修者ミニコラム:「ふき」VS「ふきのとう」栄養価はどっちが多い?香りや苦味成分の持つ効果とは?
ふき=葉柄、ふきのとう=花芽、旬は違いますが、どちらも食用とされています。
花を咲かせて子孫を残す花芽のほうが、エネルギーが多く必要なので栄養価が高く、ふきのとうのほうがほぼすべてのミネラルやビタミンを多く含み、15倍以上差がある栄養素も!
そして、どちらも特有な香りがあり、その成分には消化液の分泌を促進して胃腸の働きを高める効果があるのだとか。「春の皿には苦味を盛れ」ということわざがあることから、春が旬のふきやふきのとうには苦味のあるポリフェノールも含まれ、抗酸化作用や免疫アップなども期待できます。
冬眠から目覚めた熊がふきのとうを最初に食べると言われているように、活動的な春へ体を切り替えるときに苦みを取り入れてみては?