「風光る・風薫る」はどう使う? よく使う日本語の正しい使い方と間違った使い方を解説

2022/06/24

日常生活やビジネスで使う日本語、正しく使えているか不安なことってありませんか?よく調べないまま使っていると、間違った使い方をしているかもしれません。

多くの人が意味をよく理解せずに使っている言葉がけっこうあるので、注意が必要です。

意味を間違えやすい日本語の言葉や言い回しについて、国語科教員免許を持つ ライターのdanngoさんが解説します。

国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの主婦でライター。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です...

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「風光る・風薫る」の意味とは?

「風光る・風薫る」という言葉は、時候の挨拶に使う言葉です。
古くは俳句の季語として用いられてきた言葉でした。

「風光る」は「春の陽光の中を風が吹きわたる様子」をしめし、春の光の中を風が吹いて風景がまばゆく感じられることを表現しています。

「風薫る」は「初夏の涼しい風がゆるやかに吹く様子」をあらわし、緑の中で香りを運びながら風が吹くことをイメージさせます。

つまり「風光る」は春の季語、「風薫る」は夏の季語で、実際に俳句の中で使われている言い回しです。

「風光る・風薫る」の正しい使い方、例文は?

明確な空の風景
kokoroyuki/gettyimages

「風光る・風薫る」という言葉は、現在では時候の挨拶として、手紙やメールの冒頭に用いられます。「風光る」は4月全般、「風薫る」は5月を通して使える表現だと考えていいです。

具体的には、こんなふうに使うといいでしょう。

・風光る清明の季節となりました。お変わりございませんか。
・早いもので風薫る五月となりましたが、皆様におかれましてはご健勝のことと存じます。

目上の人に使ってもいい?だめ?

「風光る・風薫る」は時候のあいさつなので、目上・目下関係なく使えます。
直接会った時ではなく、手紙やメールなどで挨拶する時に使うのが一般的です。

間違いやすい「風光る・風薫る」の誤った使い方

「風光る・風薫る」の表現でやりがちな間違いは、使う季節を間違えることです。
以下のような使い方は誤りなので注意しましょう。

・風光る五月となりました。お元気でお過ごしでしょうか。
・風薫る清明の頃、皆様にはご清祥のことと存じます。

上の例文では4月に使うべき「風光る」を5月に使ってしまっています。下の例文は間違いがないように感じられますが、実は誤りがあります。

「風薫る」は5月をあらわす表現、「清明」は二十四節気の一つで4月5日頃。違う季節をあらわす表現が入ってしまっているので、間違いになってしまうのです。

とはいえこの2つの表現は似ていてややこしいですよね。間違いやすいから使わないというのも手ですが、1つ覚え方があります。

それが『源氏物語』の主人公で考えるやり方。

『源氏物語』では最初「光源氏」が主人公ですが、源氏の死後に「薫大将」が主人公となります。年度初めの4月は最初の主人公の「光源氏」から「光る」、次の5月は「薫大将」の「薫る」と覚えてしまえば早いです。

みなさんは「風光る・風薫る」という言葉を正しく使えていましたか?

世代間で理解度に差があることも多いので、年の離れた人に対して使う時は特に気をつけましょう。

ただ、間違って使われているうちに言葉の意味が少しずつ変わっていく可能性もあります。

正しい意味を理解したうえで、相手が間違って使っている時は柔軟に受け入れるのが大人の対応かもしれませんね。

◆記事を書いたのは・・・ danngo
国語科教員免許と漢検準一級を持つ、アラフォーの 主婦。二児の母で、子育て関連の記事を書くのが得意です。本を読むのが大好きですが、一度読み始めると家事がおろそかになってしまうのが悩み。子どもの遊び相手をすると本気になりすぎて怒られ、家事は手抜きになる一方です。甘いもの、日本の古いものをこよなく愛しています。

 
 

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