【夫婦関係のプロが解説】「趣味>家族」の夫を「趣味<家族」にするにはどうすればいいの?
2023/05/23
「夫が家庭よりも趣味を優先してしまう……」とお悩みの人、意外と多いのではないでしょうか?今回は「趣味>家族」な夫への対応について、恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに教えてもらいました。
夫の趣味に関する妻の悩みは大きくわけて3つ
アニヴェルセル株式会社が20~30代の既婚男女を対象に2019年に行ったアンケート調査によると「夫婦間の絆が深まった共通の趣味は何ですか?(複数回答)」という質問に対する回答のトップ3は「旅行(43.4%)」「外食(36.9%)」「お酒(18.0%)」でした。
趣味は個人の生活を豊かにするだけでなく、夫婦仲をよくする効果もあります。ただその一方で、個人の趣味を家庭よりも優先しすぎることがパートナーの不満を生み、夫婦仲の危機につながるようなケースもあります。
私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」にも「夫の趣味」に関するお悩みが多く寄せられます。その内容は大きく3つに分けられます。
1.夫の趣味が理解できない、やめてほしい
2.夫の趣味の道具やコレクションのグッズが多すぎて困っている
3.夫の趣味に費やすお金や時間が多すぎて許しがたい
1つ目は、夫の趣味そのものが妻として容認しがたいという場合が当てはまります。ギャンブル、アダルトグッズの収集などが多いです。
2つ目は趣味の道具やコレクションのグッズが多すぎて、家の中が片付かない、部屋が狭くなる、妻にとってはガラクタやゴミにしか見えないものがたまっていく場合。
そして3つ目は趣味につぎ込むお金が多すぎる、無駄が多い。また趣味に費やす時間が多いために家事や育児をしない、家にいないというような場合です。また、趣味のためにレンタル倉庫を借りて、その費用が家計にのしかかるという2と3の複合型文句も聞いています。
1つ目のお悩みは、夫の趣味そのものを否定することになるため、解決が難しい場合が少なくありません。しかし、2、3については、夫の趣味そのものの否定ではなく、趣味とのかかわり方を変えればよいので、うまく話し合えば問題解決につなげることができます。
それではどのように解決していくのがスムーズでしょうか。ポイントとなるのは以下の5点です
ポイント1.否定しない
夫の趣味とのかかわり方に不満があると、夫の行動に対して文句を言ったり、責めたりしてしまいがちです。また、趣味そのものを「くだらない」とけなしたり、コレクショングッズを「ゴミ扱い」して、捨てたり壊したりするような方もいます。
しかし、趣味はその人にとって生きがいであったり、辛いことを忘れる手段であったり、その人が輝ける大切な場であったりします。
そんな大きな意味をもつ趣味を否定したり、グッズを壊したりすることは、あなたがパートナーからの信頼や愛情を失うだけで、問題解決にはつながりません。まずは、パートナーの愛する趣味に対して、それを理解し、尊重する姿勢を見せることが第一歩。
ポイント2.現実を感覚ではなく数字で明らかにする
説得し、納得させるには感覚ではなく数字が有効です。
「いくら使ったと思ってるの?」よりも「毎月7万円。1年で84万円が趣味に消えているんだよ」。
「週末もほとんど家にいないじゃない」よりも「今月の土日8回のうち、家にいたのは第2週の土曜だけで、それ以外の7日間は、ほぼ朝10時から夜の8時まで家を空けていたのよ」。
このように、いかに相手が趣味にお金と時間を費やしているかを理論的に説明し、現実を相手に突きつけて改善を迫りましょう。そのためには事前に時間や出費に関するデータをしっかりとっておくことが必要です。
ポイント3.周りを巻き込む
妻1人の意見ではなく子どもたちも、あるいは父母・義父母など周囲も同じように夫の姿勢を問題視している、という状況を作ることは、パートナーに反省を促すのに効果的です。
もちろんお子さんの年齢にもよりますが、可能でしたら上手に状況を伝えて、味方につけておきましょう。妻の言うことには素直になれないが、子どもと義父の言うことには素直に従うようなタイプの夫も結構いるのです。
4.家庭内で夫を頼りにしている感を出す
単に夫に改善を求めるだけでなく、自分自身に改善すべき点がないかどうか、振り返ってください。
例えば、夫が趣味に没頭するのは、家庭が子ども中心に回っており、家の中で自分の居場所がない寂しさからだったとか。あるいは家事をやっても感謝されるどころか、その仕上がりに文句をつけられてやる気を失ってしまっているような例もあります。さらには、妻との会話や一緒に過ごす時間がないので、寂しくて趣味のアイドルにはまってしまった、という例も。
夫自身が頼りにされてない、家での存在感が薄いので趣味の世界で自分を癒すという傾向になっていないか?
夫が趣味にお金や時間をつぎ込んでいる原因の一端が、じつは妻や家庭にあったということは意外と少なくないのです。
夫の行動を責めるだけでなく、自分自身の日々の行動を振り返り、家庭内で夫が「自分は大切にされている」「家族から必要とされている」と感じられるような雰囲気づくりができているかを再確認してみてください。
5.話し合いで基準や上限を決める
ここまで材料をそろえたら、いよいよ夫の趣味とのかかわり方について夫婦で話し合いです。
夫の趣味を認め、尊重しつつ、データでそのかかわり方の問題点を指摘します。妻以外の周囲の人の意見も添え、問題が家族やその周囲にも影響を及ぼしていることを自覚してもらいます。
あわせて、今までの家庭環境、夫婦関係の中で妻自身が反省すべき点があれば素直に謝って、改善を約束しましょう。
そして、趣味にかけるお金や時間についての1か月/1年あたりの基準や上限を設けて、趣味と家庭との両立の方法について2人で話し合うのです。
まるで会社でのプロジェクトのようですが、これくらいメリハリをつけて重要事項として伝えないと、馴れ合いのまま日々を重ねてしまいます。ぼんやりと「あなた、ゲームの時間多すぎるよ。家事もしてよ」とゆるい伝え方をしても「はいはい」で終わってしまいます。
趣味がゼロよりも、あるほうが断然よしと考えよう
本来なら、パートナーが仕事以外に楽しめる趣味をもっているというのはよろこばしい事です。趣味がなくてつまらない会話しかできない夫より、断然よし。
自分の人生を豊かにできる趣味を夫婦それぞれがもち、お互いにその趣味を尊重できるようになれたら最強夫婦です。
「うちの妻、東京マラソンに出られるくらい走れるんすよ。かっこいいでしょ!」
とうれしそうに妻を自慢する夫を私は知っています。これと同様に、夫の趣味を妻が笑顔で語れるのが理想形ですよ。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。