先人の知恵を家事に活かす!美味しいものを仕込む季節「寒中」
2023/02/06
1月6日の「小寒(しょうかん)」から約1か月が1年で一番寒い期間になります。
昔から日本人はこの厳しい寒さを逆手に取って、うまく利用してきました。
今回は、気象予報士と料理人の2足のわらじを履くサンキュ!STYLEライターの植松愛実が「寒さを活かす知恵」を解説します。
二十四節気の1つ「小寒」
「二十四節気(にじゅうしせっき)」は、かつて中国から日本へ伝わった伝統的な暦で、1年を24分割したもの。
「小寒」のほかに「夏至」や「秋分」なども含まれていて、いわば「ざっくりしたカレンダー」といったイメージです。
1年を24分割ということですから、つまり約2週間に1回のペースで二十四節気がやってきます。
1月6日の「小寒」の次は1月20日の「大寒」、そのさらに次が2月4日の「立春」です。
そして、小寒から立春前日までの約1か月間が、「寒中」または「寒の内」と呼ばれる、1年で最も寒さが厳しい期間となります。
寒中に美味しいものを仕込む!先人の知恵
「寒中」に気温が低くなることを利用して、日本では古くから「寒仕込み」や「寒造り」といって、様々な食品の加工が行われてきました。
たとえば素麺。
通常は細く長く作るために生地に塩を加えますが、気温が十分に低ければ塩を減らしても同じように作れるため、「寒中」に甘みのある素麺を仕込む地域が今も残っています。
また日本酒はかつて「四季醸造」と言って年間通じて造られてきましたが、次第に寒い時季に一番おいしくできるとわかったことと、江戸時代半ばには良い時季に作ったお酒をその後も貯蔵しておく技術ができたことから冬に造られるように。
いわゆる「寒造り」です。
これは、発酵に必要な菌だけが働いてそのほかの雑菌が活動しないためだと考えられています。
現代では空調で温度をコントロールできるため再び年中生産されるようになっていますが、今でも江戸時代の習慣を受け継いで冬に仕込む酒蔵が多く残っています。
家庭でも!寒い時季だからこそのおすすめ
寒さで雑菌が繁殖しにくいことを利用した例を参考に考えてみると、たとえば冷蔵庫の掃除は今が最適ということになります。
冷蔵庫を何分間も開けたままにしたり、中のものを取り出して掃除するのは、できるだけ気温が低い時季の方が適しているというわけです。
もちろん寒い時季に冷たい冷蔵庫の掃除というのは辛いので、本能的に最低限の作業をテキパキと済ますことになり、結果的に家事の時短につながって一石二鳥です。
また、夏であれば生クリームを泡立てるのに氷水に当てたり、直前まで冷凍庫に短時間入れたりと工夫が必要ですが、今の時季なら普通に泡立てるだけで十分。
暖かい季節にスイーツ作りに失敗した記憶のある方は、ぜひ今試してみてください。
そのほか、パン作りの経験がある人にはおなじみですが、クロワッサンを作るなら今!!
夏はもちろん、春や秋でも生地とバターの層を重ねるのに苦労する人が多いクロワッサンですが、今ならそこまで神経質にならなくても作りやすいため、慣れない人は特に今がおすすめです。
◆この記事を書いたのは・・・植松愛実
サンキュ!STYLEライター
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。サンキュ!STYLEでは、身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を中心に発信。
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