結婚22年目で夫と別居。59歳にして持った自分の部屋に、生き方を教えてくれた本を並べて

2023/04/11

お家にお邪魔して、見せてもらうのは「棚」と「引き出し」と「冷蔵庫」の中。今回は、50代になってから、著述家・ブロガーとしてデビューした中道あんさんの「自分の部屋」とリビングの収納棚を拝見します。

40代は人生に悩んでいた。アラフィフになって毎日を綴っていたら、トップブロガーに

現在59歳の中道あんさん。著書の出版やコンサルティングの仕事など、毎日忙しく活躍しています。

40歳の頃には人生に悩んでいました。「結婚して3人の子どもに恵まれ、専業主婦として生きてきたのですが、『一生このままで終わっていいのだろうか?』と不安になりました。外でバリバリ働く夫、どんどん育っていく子どもたち、それに比べて自分はただ歳を重ねただけではないかと…」。

「変わらなきゃ、ダメだ」と、パートとして働き出し、その後就職活動をして正社員に。そして結婚22年目に、関係が悪化していた夫との別居も決めました。

「その頃、同世代やシングルマザーの方たちのブログをよく読んでいました。ただ、貧困や不幸自慢のような記事も多くて、「一人でも、もっと楽しく素敵に暮らしている人はいないの?」とブログに向かって文句を言っていたんです」。すると、そばで見ていた息子さんが、「だったら、あんさん(中道さん)がブログを書いてみれば?」とすすめてくれ、その場でブログを開設してくれました。

当時、「アラフィフ」などと年齢を出して発信する女性は少なかったけれど、タイトルを「アラフィフの生き方ブログ|50代を丁寧に生きる、あんさん流」として執筆を開始します。

「幸せって、今の生活とかけ離れたところにあるのではなく、自分の身近なところにある。もっと50代女性に、足元の幸せに気づいてもらいたい」と思ったあんさん。特別なことを書こうとしたわけではありません

「私自身の経験から、働く主婦の時短レシピや、手こねパンやケーキ作り、感情コントロールが出来ない母親との同居生活といった、アラフィフのリアルな気づきをエッセンスにして発信しました!」

そして、とにかく毎日書くことを自分に約束して地道に書き続け、2年後の2016年には「アメブロ公式トップブロガー」となります。

「やりたいことをやってみよう」50代半ばで正社員の仕事を辞めて独立

「アラフィフの生き方なら、あんさん」そんな風に言われるようになった頃、2017年の夏には初の著書も出版されます。これを機に、「ひょっとするともっと自分には可能性があるのかも」、「好きなことを仕事にしてみたい」という好奇心がむくむくと湧いてきました。

その頃は正社員として働いていて、経済的には安定していたしたのにも関わらず、改めて、「私の人生はこのままでいいのだろうか?」と自分に向き会うことになります。

当時、定年まではあと5年でしたが、会社の先行きに期待が持てず、自分の成長も止まったように感じていました。それに対して、「起業したい!」という気持ちは急上昇。会社で8時間、自分に合わない仕事をしている時間を、起業のために使いたい!という気持ちが膨らみます。

出した結論は、「好きなこと、やりたいことを全部やって生きよう」。中道さんは、思い切って仕事を辞めて起業します。

現在は、オンラインシステムを使って、ブログ講座や起業支援を中心に仕事をしており、「自分の自由になるお金があり、好きな時に思い立ったら旅行に行ける」、思い通りの人生を手に入れることができています。

主婦も自分の部屋を持っていい!コロナ禍に決行したリフォーム

そんな中道さんは、現在、息子さんとの二人暮らし。
自宅で起業したため、執務室を兼ねたお部屋があります。「でも、この部屋ができたのはつい最近なんですよ」とのこと。

どんな経緯でお部屋ができたのか、棚の中身や人生を変えた本など、お伺いしました。

母の部屋をリフォームして自分好みの空間に。棚にはお気に入りだけをコーディネート。「基本的にモノはないですね。パソコン一つで仕事ができるようにしています」。机の上にあるのは、小腹が空いた時のためのナッツのみ。

「よく考えたら、ずっと自分の部屋ってなかったんですよね」。
明るい光が射し、すっきりと整えられた部屋で、中道さんはしみじみ語ります。

「主婦って、台所しか居場所がなかったりするでしょ。リビングのソファだって、家族が占領しているし」。
それに気がついたのは、コロナ禍に発熱して、自身を自主隔離していたときのことでした。すでに他界した母の部屋で一人で過ごしたところ、「自分だけの空間があるって、なんて快適なのだろう!」と気づいてしまったのだそう。
母がいた頃のままにしていた部屋を片付け、自分の部屋にすることを思い立ちます。

「暮らし関連の本が好きで、ずっと北欧風インテリアに憧れていたことも思い出しました。リフォームを決意して、好みの壁紙とドアに替え、家具はG-Planという北欧風イギリス家具を選びました。

この棚は、オンラインでコンサルティングの仕事をしているときの”映え”も意識して、飾って見せることを前提につくり付けたもの。好きな本や自分の著作を並べたり、小物を飾って演出しています」。

あくまでもおしゃれに飾りたかった棚には、メルカリで購入したという洋書をコーディネート。「状態のいいものが手に入って大満足です」。

起業したコンサルのお仕事では、迷えるアラフィフ女性の相談を受けることも多いといいます。

「私たちの世代って、就職して5年以内に社内結婚して寿退社…というのが当たり前に推奨されていました。レールに乗って結婚・出産したけれど、気がついたら自分は空っぽで何もないと感じている人が多いんです。

時々『私の実績は子育てです』とおっしゃる方がいるのですが、『それは子どもの努力であって、自分のキャリアではないよ』とお伝えしています。もっと自分の得意なことがあるはずなんです。自分にフォーカスした自己分析をしてもらい、才能に気づいてもらうのが私の仕事です」。

結婚22年目にして夫と別居。働き始めて、自由な女性の生き方を知る

かくいう中道さんも、転機はアラフィフになった頃でした。結婚22年目にして夫と別居。医療関係の職場で働き始め、医師や薬剤師といった自立した働き方・生き方をしている女性に出会い、大きく人生が変わりました。

「男女平等、夫婦平等、60歳定年でもなく、自由に生きているある女性薬剤師さんが、私の憧れになりました。歴史や文化に詳しく、何処へでも一人で旅に出て、自分の都合に合わせて仕事をしている。その姿に、ああなりたい!という気持ちを強くしました」。

「毎日必ず何かしら読む」という本からも影響を受けました。金美玲さんの『凛とした生き方-自分の人生自分で決める-』を読んでからは、「凛としているかどうか」が、何かを決めるときの基準になったそう。

他にも、向田邦子さん、林真理子さん、下重暁子さんといった、正直で飾らない先輩女性の考えや生き方にも、勇気づけられてきたと言います。

リビングの収納棚には、ビジネス書から文芸書まで幅広い本が並びます。関心のある話題については数冊目を通して理解するようにしているそう。

これからの豊かな人生のために、自分の場所を確保しよう

アラフィフになって、改めて、自分と向き合って自分を解放することは、その先の人生を考えると必要なプロセスにも思えます。

とはいえ、自分の部屋を持ったり、ひとり旅に出るのはなかなかハードルが高いことも…。
「例えば、自分の部屋は無理でも、自分用の椅子を一脚持ってみてはいかがでしょうか? そこから豊かな人生が始まるかもしれませんよ」。

中道さんは、まだ部屋を持っていなかった頃に、一人掛けのソファを購入したのだそう。
「家族には、これはお母さん専用!と宣言して、私の空間を確保しました」。

家族に「お母さん専用!」と宣言して買った一人掛けソファ。今は自分の部屋でリラックスしたい時に使っている。

子育てが終わる50代60代、自分の時間、自分の空間を少しづつでも増やしていくことで、次の人生の扉を開くことができるのかもしれません。

中道あんさんPROFILE
著述家、アメブロ公式トップブロガー。1963年、大阪府生まれ。26歳で結婚し、2男1女を授かる。結婚22年で夫と別居。2019年、正社員から「自分らしく生きたい女性のための発信塾」を起業。現在は長男とコッカースパニエルとの3人暮らし。ブログ「女性の生き方ブログ! 50代を丁寧に生きる、あんさん流」主宰。著書に『昨日とは違う明日を生きるための 新しい幸せの始め方』(KADOKAWA刊)他がある。
23年3月、新刊『「誰かのために」を手放して生きる』(自由国民社)を上梓。

撮影/林ひろし 取材・構成・文/尾崎真佐子

 
 

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