子どもがまだ0歳。転職したいけれど今すぐ動けない。そんなときにやるべきことは?
2023/12/29
2年後に40歳になる相談者のまさみさん。パートから正社員に転職してバリバリ働きたいけれど、2人目の子どもはまだ0歳。「いつ転職活動を始めたら?」「仕事はある?」とモヤモヤしていましたが、キャリアコンサルタントの田中美和さんに「自分の強みや仕事経験を棚卸しながら、今後どう働きたいか、改めて考えてみて」とアドバイスされました。1カ月後、まさみさんの気持ちに変化はあったでしょうか?
子どもが小さくて転職活動ができない状況を受け入れて、今できることをがんばろうという気持ちになれました
編集部:まさみさん、1カ月前は「どうしたらいいのか、気持ちばかり焦る」と迷っていましたが、田中さんのアドバイスを受けて何か変わりましたか?
まさみ:はい。子どもが小さいと動きづらいということは、自分も頭ではわかったていたんですが、専門家の田中さんから同じように言われたことで「やっぱりそうだよね。焦ってもしょうがないよね」って腹落ちしました。おかげでこれからは落ち着いて行動できそうです。
田中:よかったです!
編集部:「子どもが小さいとか言ってないで、早く転職活動しなきゃ」と焦るのがつらかったんですね。
まさみ:はい、ものすごく。独身で38歳なら今すぐ動けるんでしょうけど、子どもが生まれたばかりで動きたくても動けないのが現状なので、焦る気持ちに見切りをつけて、甘んじて受け入れようと。そして今は自分に向き合いながら興味があることを勉強していこうって思いました。
田中:ご自身のお仕事経験や強みの棚卸しはしてみましたか?
まさみ:はい。ライフラインチャートを書いてみたら、プライベートより仕事のほうがよく出てくるんです。「やっぱり仕事が好きなんだ」と再確認しました。
田中:うんうん。どんなときに人生の満足度の上がり・下がりが生じます?
まさみ:トラブルがあったときとか、自分のペースをくずされたときに下がってますね。
田中:そっかあ。前回、自分は子育てより仕事のほうが向いているとおっしゃっていたけど、子育てってペースを乱されますよね(笑)。逆に気分が上がるのはどんなとき?
まさみ:仕事とか何かにのめり込んでるときです。前職で1人で何でもできるようになったときがチャートの最高値でした。
田中:やっぱり仕事が好きで、没頭できる環境にあると人生満足度も上がるんですね。
編集部:この先の人生でもう1回ぐらい、そういうピークを体験したいですよね。
まさみ:ええ。むしろピークをキープしたいですね(笑)。
田中:ライフラインチャートを書いて改めて3~5年後を考えたとき、どうなっていたいですか?
まさみ:子育てをしながら、ある程度自分の時間を持ちつつ、仕事にも力を注げるようになっていたいです。
田中:そのためには今どうしたらいいと思います?
まさみ:子どもが小さくて今すぐ転職活動はできないので、継続して勉強しようかなと。今は色彩検定の勉強をしようと思っているところです。
編集部:また新たな資格にチャレンジするんですね!
まさみ:はい。お年寄りの目にはこの配色が見やすい・見づらいとかあるそうで、おもしろいなと思って。
田中:まさみさん、学び続ける力が本当にすごいですね。
まさみ:何かしてないと不安になるんです(笑)。
田中:「何かしなきゃって思うんです」というかたはたくさんいらっしゃるけど、行動を起こせる人は少数派で。素晴らしいです。
まさみ:ありがとうございます。でも私の場合は、今の仕事に活かすっていうより、自分の興味だけで勉強してるので。
田中:3年後にこういう仕事がしたいから今こういうことを学ぶというやり方もいいと思いますし、ご自身が本当に学びたいこと、興味があることを学んで新たな仕事を提案していく方法もアリだと思うので、どっちもあっていい気がしますね。
仕事復帰して半年後を目安に転職活動をスタートする予定。状況をみて柔軟に動くつもりです
編集部:まさみさん、できれば正社員になってバリバリ働きたいっておっしゃっていましたが、いつぐらいに動こうとか、何か決めましたか?
まさみ:仕事復帰して半年後を目安に求人を見てみようと思っています。今は保育園に預ける前なので、どうなるか読めない部分もあるんですが。
田中:復帰してみて、お子さんたちの様子を見つつっていう感じですね。
まさみ:はい。2人目の子の慣らし保育が終わるころかな。それでダメそうなら動く時期を延ばせばいいし、逆に前倒しで動けそうならそうしようかなと。
田中:うん、すごくいいと思います!キャリアの考え方に「漂う」っていう考え方があるんです。「キャリアプランニング」っていうと未来を見つめながら進むことをイメージしがちですが、そのときの状況に合わせて柔軟に漂うように対応していくのも大事という考え方もあるので、両方の視点を持つと動きやすいのかなと思いました。
自分の強みは仕事と結びつけてアピールするのが正解。数字を盛り込み、実績やできることを具体的に伝えよう
編集部:前回「自分の強みを整理してみて」というアドバイスもありましたが、それについてはいかがですか?田中さんから、高齢者への寄り添い力や協力体制をつくる力などはまさみさんの強み、とご指摘がありましたね。
まさみ:そういう力は自分にあると何となく思っていましたが、第三者から「そこは強み」と言われたことで「そうなんや」って少し自信になりました。それと、前に進むためには「強みなんてない」とか不安がるだけじゃなくて、自信を持たなきゃいけないなって思いましたね。
田中:うんうん。
編集部:田中さん、転職活動では自分の強みをどうアピールしたらいいですか?前回まさみさんから「これが自分の強み」とアピールするのは気が引けるというお話もありましたが…。
田中:面接や履歴書などでは応募した仕事に対して「自分はこんなことができます」と、仕事と強みを結びつけて自己PRするのが大前提です。ですので、自分の強みや経験を棚卸して、応募したい仕事に合致するものをピックアップしましょう。なかには「これも強みです」「これもできます」と話が長くなってしまうかたもいますので、整理して伝えることを心がけるといいと思います。
編集部:ふむふむ。
田中:そのとき2つのことを意識してみてください。まず、なるべく数字を盛り込むこと。例えば「経理としておよそ10年の経験があります。直近ではチームメンバー2名と協力しながら月次決算、年次決算、税務申告などの業務を担当してきました」というように、数字を組み合わせてコミュニケーション力などの強みをアピールするとかですね。
編集部:なるほど。
田中:もう1点は、自分ができること、成し遂げたことを具体的に伝えること。「会社で新しく会計システムを導入することになり、システム部や営業部などの関係する部署の担当者たちと協力しながら導入を進めました」など、実績をしっかり伝えると理想的です。
編集部:強みをアピールするのに抵抗感がある人も、「これまでやってきたことを整理して素直に伝える」ととらえると伝えやすいかもしれませんね。
田中:はい。ちなみに「努力してきました」とか「学んでまいりました」という謙虚な伝え方だと、「結果や実績には結びついてないのかな?」ととられかねないので注意したいところです。
まさみ:わかりました。
田中:それと、年齢を重ねるとに求められるものがやはり増えてきます。40歳前後だとゆくゆくは現場の取りまとめやリーダーをやってほしいという要望が多いので、そういう経験があるとか、それに役立つ強みがあるといったアピールができると有利ですし、企業側のそういう期待を知っておくといいのかなと思います。
編集部:働くことが大好きで学ぶ力も高いまさみさんなら、資格を活かして新しい業務やサービスを開発したり、年齢の壁を突破するなど、きっと道がひらけると思います。
田中:子育てで毎日おいそがしいと思いますが、体に気をつけてがんばってくださいね。応援しています!
まさみ:はい、がんばります。ありがとうございました!
イラスト/髙栁浩太郎 取材・文/神坐陽子 企画/サンキュ!コメつぶ編集部