SNSなどで最近よく目にする「丁寧な暮らし」。なんとなくイメージできる気がしますが、具体的にはどんな暮らしなのかよくわからない場合も。また、なんだかハードルが高い気がしますよね。この記事では、丁寧な暮らしについての解説と実践するための具体的な方法をご紹介しています。
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丁寧な暮らしとはどんな生活?
料理や掃除などの家事に、時間や手間を惜しまずかけるようなイメージがある丁寧な暮らし。いそがしい人には無理な気がしてきますよね。
コロナ禍以降、家で暮らす時間や過ごし方が見直されるようになりました。そんななか、丁寧な暮らしを発信しているインフルエンサーの投稿などを目にすると、自分と比べてしまったり、ときには「うざい」なんて思ってしまったり。
「丁寧な暮らし」という言葉が一般的に知られるようになったのは、「丁寧」をキーワードにした本を数多く出版されている松浦弥太郎さんが元ネタだといわれています。松浦さんいわく、丁寧とは一瞬一瞬をよく味わうこと。
時間と手間をかけることだけが丁寧な暮らしなわけではなく、心を込めて日々のできごとに向き合う姿勢がその根底にはあります。自分や家族、周りの環境と向き合いながら日々の暮らしを楽しみ、一瞬一瞬を大切にすることが、丁寧な暮らしの本質といえるでしょう。
丁寧な暮らしをしている人の特徴
丁寧な暮らしをしている人の主な特徴は、以下の6つです。
・無理せずストレスをためすぎない
・ものを長持ちさせる
・自然と調和した生活を送っている
・趣味の時間を大切にしている
・健康的である
・前向きに物事を考えている
それぞれについてを解説していきます。
無理せずストレスをためすぎない
丁寧に暮らすことを重要視するあまり、無理をして苦しくなってしまっては本末転倒です。丁寧さにこだわりすぎて、それがストレスになると、続けていくのがたいへんですよね。
自分のできる範囲でマイペースにできるからこそ、毎日続けられるというもの。丁寧な暮らしをしている人は、無理せずストレスをためすぎないように暮らしています。自分のこだわりたいところは大切にしながら、それ以外では時短ワザや外注などもうまく取り入れているようですよ。
ものを長持ちさせる
ものを使い捨てず、大切に使い続けることで、ものに愛着が湧いてきます。手入れが必要なものなら、その手入れ自体を楽しむことも。
ものを大切にすることを通して暮らしに丁寧さが加わり、長く愛用する楽しさも味わえます。また、それを続けると、最初から長持ちするものを購入しようとするため、質のよいものを見極める目も育ってくることに。
安易にものを買ったり捨てたりも減るため、さらに丁寧な暮らしになってゆくよい循環が発生していきますね。
自然と調和した生活を送っている
丁寧な暮らしを意識している人は、季節を大切にしたり、年中行事を楽しんだりなど、暮らしに自然を取り入れています。部屋に季節のグリーンを飾る、庭やベランダでガーデニングをして季節の花を楽しむなど。
また、春にはお花見、秋にはお月見など、家族で簡単にできて四季を感じられる行事を家庭でも積極的に行っています。毎日いそがしく暮らしていると、いつのまにか季節が変わっているように感じることもあります。自然や行事を大切にすると、四季をじっくり感じながら丁寧に過ごすことができますね。
趣味の時間を大切にしている
丁寧な暮らしをしている人は、日々の生活をじっくり味わい、心地よく過ごすことを大切にしています。そのなかで、趣味の時間を大切にすることは、心を豊かにし、自分らしさを育むための大切な習慣といえるでしょう。
丁寧な暮らしを意識する人にとって、趣味は娯楽ではなく、自分自身を見つめ直し、リフレッシュするための大切な時間。たとえば、本を読んだり、好きな洋画を観つつ英語の勉強をしてみたりなど、いそがしい日常から少し距離を置き、自分自身と向き合う時間を作ります。
健康的である
仕事も遊びも趣味も、健康な体があってこそ楽しめるもの。丁寧な暮らしをしている人は、まずは健康に気をつけて、すこやかに暮らすことを重要視している傾向にあります。
朝起きたら、まずは白湯を飲む、寝る前にはセルフマッサージとストレッチをかかさないなど、自分が簡単にできて続けられる健康対策を実践しています。また、その習慣そのものを楽しもうとしているのが、丁寧な暮らしをしている人でしょう。
前向きに物事を考えている
ときにはうまくいかないことがあったり、悲しいできごとが起きることもあります。「どうして私ばっかり…」とか「どうせ私はうまくいかない」なんて思考になってしまうことも、あるあるですよね。
しかし、丁寧な暮らしをしている人はそんなとき、前向きにものごとを考えるように心がけています。
一見よくないと思うようなことのなかにも、「でも、あのできごとがあったから今があるよね」と思えることもあります。前向きに物事をとらえ、どんなこともこれからに活かしていこうと考える人が多いようです。
丁寧な暮らしを実践するための家の準備をしよう
丁寧な暮らしを実践するための家の準備は、以下の5つです。
・いらないものを捨てよう
・リビングをすっきりさせよう
・ものを取り出しやすいキッチンにしよう
・リラックスできる寝室にしよう
・水まわりの掃除をしよう
それぞれを解説していきます。
いらないものを捨てよう
いらないものを捨てることは、丁寧な暮らしを実現するはじめの一歩ともいえます。なぜそうするのかというと、不要なものが多いと、ものの管理で時間や体力をむだに消耗させることになるから。
本当に必要なものや、大切にしたいものだけを残せば、空間が整うだけでなく、気持ちも軽やかになります。まずは、テーブルの上や引き出し一つからでも、いらないものを捨てていくと、気持ちがスッキリしますよ。
身の回りがシンプルになると、自然と暮らしがスムーズになり、それが丁寧が暮らしへと繋がっていくことでしょう。丁寧なくらしの土台作りは、まずはいらないものを捨てることからはじまると言っても過言ではありません。
リビングをすっきりさせよう
毎日多くの時間を過ごす場所であるリビングをスッキリさせることは、丁寧な暮らしを実現するための重要なステップ。家族みんなが集まる場所が整っていると、とても心地よく感じます。リビングがごちゃごちゃしていると、落ち着けず、イライラしてしまうこともありますよね。
リモコンなどの小物類は、置き場所を固定しておき、使ったらそこへ戻すことを徹底します。その際、生活の同線を考え、家族みんなが戻しやすい場所にすることも大切です。
また、家具の配置を見直したり、必要最低限に減らすなどして、余裕のある空間にするのもおすすめ。リビングがスッキリすると気持ちにも余裕が生まれ、リラックスできる雰囲気が漂います。整った空間は心も整えてくれ、丁寧な暮らしの基盤となってくれますよ。
ものを取り出しやすいキッチンにしよう
キッチンは、ほとんどの人が毎日使う場所。効率的で心地よい環境を整えることは大切なことです。ものを取り出しやすく考え、整えることで、料理がはかどり楽しくなりますよ。
まず、使う頻度が高い食器や調理器具を取り出しやすい場所に配置します。フライパンは、シンクの下ではなくガス台の下にしまえば、取り出してすぐに使えます。
鍋もフライパンと同じところにしまいたくなりますが、水を入れてから使うことが多いため、シンクの下に置くほうが使いやすいはず。家事同線を考えて、取り出してから使うまでのアクションを少なくすると、使いやすいキッチンになります。
さらに、ものの数を見直し、本当に必要なアイテムだけにすることも大切。同じ用途のアイテムが複数ある場合や代用できるものがある場合は、本当に使っているものだけを残し、あとは処分する勇気も必要です。
リラックスできる寝室にしよう
「寝室は寝るだけの空間だから」と思いがちですが、一日の疲れを癒し、心と体を休める大切な場所です。快適な寝室で良質な睡眠が得られれば、毎日が心地よい始まりに。
寝室もまた、ものは多くないほうがおすすめです。目に入ってくるものの数が多いだけで視覚的なノイズになり、落ち着くことができません。なるべくスッキリとシンプルな寝室にしましょう。
寝具には、清潔で肌触りのいいものを選び、季節に合った素材で心地よさを追求します。照明は蛍光灯よりも暖色系の間接照明が落ち着きます。
また、好きな香りのアロマを香らせたり、リラックスできる音楽を流すなどもおすすめ。寝室では、自分がここちよく安らげる雰囲気を重要視しましょう。
水まわりの掃除をしよう
丁寧な暮らしを心がけるなら、水まわりの掃除は外せません。キッチンや洗面所、浴室などの水まわりは、家の中でとくに汚れやすい場所。掃除をすることで清潔さを保つだけでなく、快適さがアップします。
定期的に掃除をすることも大切ですが、まずは、汚さないようにすること、汚れを溜めないことが大切です。たとえば、洗面台を使ったあとに毎回サッと拭くなど、軽く掃除をする習慣をつけると、わざわざ大がかりな掃除をする必要がなくなります。
水まわりが汚れていると、使うたびに「汚いな」「ああ、掃除をしないと…」など、ちょっとしたストレスに。使ったあとにサッと掃除をして、水まわりに汚れが溜まらないようにしておけば、自然と快適な毎日になりますよ。
丁寧な暮らしを実践する具体的な方法
丁寧な暮らしを実践する具体的な方法は、以下の8つです。
・花を育ててみる
・こだわりのある料理を作ってみる
・アロマなどで香りを楽しむ
・食器類を手作りしてみる
・ネットから離れる時間を作る
・生活に運動を取り入れてみる
・インテリアを楽しむ
・瞑想などを実践してみる
それぞれを解説していきます。
花を育ててみる
暮らしに草花を取り入れると、それだけで四季を感じる暮らしができるようになります。また、育てた花を摘んでブーケをつくる、それをドライフラワーにするなどの楽しみ方も。
自分で育てた花をリビングに活けるなどすると、部屋の中でも季節を感じられますよ。生活のなかに花があるだけで、気持ちに余裕が生まれ、「私って丁寧に暮らせているな」と感じられるようになるのもいいところです。
こだわりのある料理を作ってみる
いつもと違う、こだわりのある料理をつくることは、少しだけ手間をかけて食事を楽しむ工夫になります。たとえば、旬の食材を使ってみる、いつもよりも凝った盛りつけにしてみるなど。
むずかしいことをしなくても、自分や家族のためだけに「ちょっとだけ特別」を演出してみましょう。市販のソースで作ったパスタに、ハーブや香辛料を加えてみるだけでも、「いつもと違う特別感」が感じられますよ。
無理をせず、自分のできる範囲で少しこだわってみると、ちょっと豊かな気持ちになれるはずです。
アロマなどで香りを楽しむ
香りは、簡単に気持ちをリラックスさせてくれる効果があります。お気に入りのアロマオイルやキャンドルを使って部屋に心地よい香りを漂わせましょう。
たとえば朝は、目覚めをスッキリさせてくれる効果のあるミントや柑橘系などのさわやかな香りを。夜はラベンダーやカモミールなど、気持ちを落ち着けてくれる香りがおすすめです。
また、ハンカチに少し香りをしみ込ませて持ち歩けば、外出先でも香りが楽しめます。自分が心地よいと感じる香りを取り入れるだけでリフレッシュでき、心に少し余裕が生まれますよ。
食器類を手作りしてみる
少しハードルが高い行為に感じるかもしれませんが、食器類を手作りすると、食事をより楽しめるようになります。陶芸教室に通うのもおすすめ。また、最近は家で簡単にできる陶芸キットなどもあります。インターネットでも入手でき、家で気軽に陶芸気分を味わえますよ。
自分で作った器は愛着も湧き、使うたびにほっこりとした気持ちになれるはず。「どんな料理を盛りつけようか?」と考えながら作るのも楽しいものです。食器を手作りすることは、暮らしに小さな達成感や楽しさを与えてくれますよ。
ネットから離れる時間を作る
スマホやパソコンなど、インターネットから少し距離を置いてみましょう。スマホを見ていると、いつの間にか時間が経っていて、「私はいったい何をしていたの…」なんて自己嫌悪に陥ることも多いもの。
デジタル機器から距離を置き、スマホなどを使わない時間を作ることで、なんとなく過ごすのではなく今の自分に集中できます。
たとえば、スマホを見ながらコーヒーを飲むのではなく、コーヒーに集中して味わってみると、それだけで豊かな気持ちになれます。一日のなかで少しでも「ネットの休み時間」を設けると、心と体に心地よい変化が生まれますよ。
生活に運動を取り入れてみる
運動は身体にいいだけでなく、よけいなことを考えず体の動きに集中することが、心のリフレッシュにもなります。むずかしい運動をしなくても、散歩ついでのウォーキングやラジオ体操などでもOK。
簡単な運動でも習慣化することで、毎日にメリハリが出てきます。また、小さな達成感を感じられ、自己肯定感があがることにもつながります。生活に運動を取り入れることは、思っている以上に暮らしにいい効果をもたらしてくれますよ。
インテリアを楽しむ
ものを減らしたスッキリとした部屋の中に、自分のお気に入りのインテリアを置いていくことは、とても楽しくワクワクする作業です。
「どんな部屋にしようか?」と考えるところからを楽しみ、ひとつひとつのインテリアを吟味しながらじっくり選んでいくことで、自分の理想の暮らしがどんどん具体的になっていくはず。
お気に入りに囲まれた暮らしは、ゆっくりじっくりと毎日を楽しみたい気持ちにさせてくれるでしょう。
瞑想などを実践してみる
いそがしく毎日を過ごしていると、「今」を感じることが少ないようです。人は、まだ来ぬ未来の心配か、過去の後悔などを考えてしまうことが多く、「今ここ」に集中することが少ないのだとか。
今に集中できる習慣が、瞑想です。呼吸に意識を向けて、今だけに集中する瞑想をすると、心がスッキリしてストレスも減るといわれています。心を落ち着かせ、丁寧に暮らすために、瞑想を実践してみるのもおすすめですよ。
丁寧な暮らしを続けていくコツ
丁寧な暮らしを続けていくコツは以下の2つです。
・「ちょっとずつ」を意識しよう
・自分のペースで実践しよう
それぞれを詳しく説明していきます。
「ちょっとずつ」を意識しよう
丁寧な暮らしを続けるコツは、「ちょっとずつを意識する」ことです。いっぺんにガラッと暮らしを変えるのではなく、小さなことを少しずつ取り入れていきましょう。そうすれば、無理なく習慣化ができますよ。
たとえば、朝5分だけ早起きをして、窓を開けて新鮮な空気を吸ってみるなど、最初は簡単なことからはじめるのがおすすめです。完璧をめざすと辛くなってしまいます。少しの工夫で気持ちがラクになり、今の自分に集中できることをしてみましょう。
自分のペースで実践しよう
素敵な暮らしをしている人たちはたくさんいて、つい自分と比べてしまうこともありますよね。丁寧な暮らしを実践するのに、人と比べる必要はありません。自分ができる範囲で、自分のペースで実践していきましょう。
自分が心地いいと感じることを試してみて、ダメならやめればいいし、いいと思ったら続けてみたらいいのです。トライ&エラーを繰り返しながら、自分に合うと思ったものを残していきましょう。そして、その過程も楽しめると、よりよい循環になりますね。
丁寧な暮らしの参考になる媒体
丁寧な暮らしの参考になる媒体は以下の4つです。
・SNS
・ユーチューバー
・ブログ
・本・雑誌
それぞれを解説していきます。
SNS
SNSには、丁寧な暮らしを発信しているインフルエンサーがたくさんいます。特に、InstagramやPinterestなどは、整った部屋の写真などをアップしている人が多く、眺めているだけで自分も丁寧な暮らしをしているかのような気持ちになれることも。気に入った人をフォローして参考にしてみましょう。
ユーチューバー
YouTubeなら、丁寧な暮らしを動画で見ることができます。古民家や団地を自分でリフォームして、こだわりの暮らしをしている人や、北欧インテリアでまとめた丁寧な暮らしを実践している人など。その人の「好き」が伝わってくるため見て楽しく、おすすめです。
ブログ
写真や動画ではなく、文章も読みたいという人には、ブログもおすすめ。日々の暮らしを日記のように綴ってくれているので親しみがわき、毎日読む楽しみもあります。読んでいるうちに、「自分もブログを書いてみようかな?」と思えてくるかもしれません。
本・雑誌
丁寧な暮らしに関する本は、意外と多く出版されています。ライフスタイルやインテリアだけでなく、片づけや掃除、ガーデニングについての本や雑誌なども丁寧な暮らしの参考になります。
また、丁寧な暮らしをしているブロガーやインフルエンサーなどが、本を出版している場合もありますよ。
まとめ
丁寧な暮らしと聞くと、「自分にはできない」とか、「意識が高い人たちのやることでしょ?」なんて思ってしまいがちです。しかし、時間や手間をかけるだけでなく、今の自分の集中し、日々のできごとをしっかり実感しながら暮らしていくことこそが、丁寧な暮らし。
無理せず少しずつ取り入れていくことで、なんとなく過ぎていた毎日が、特別なものになっていくはずです。自分のペースで丁寧な暮らしを実践していきましょう。