近年、日本でも人気が高まっている「ドイツパン」。その代表格の「ライ麦パン」は独特の風味や味、重量感が特徴的。クセになる特徴に魅力を感じてファンが増えており、専門店ができたりスーパーなどでも取り扱うようになってきていますが、まだまだ認知度は低いのも事実なのです。
今回はドイツパンの特徴や種類、食べ方や簡単に作れるレシピを紹介します。
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ドイツパンとは?
ドイツパンは地域性や食文化と密接にかかわっておりドイツの象徴ともいえます。
ライ麦からできた重たく硬いパン
ドイツはヨーロッパ中部の寒冷地にあり、小麦が育たない代わりに寒さに強いライ麦を栽培しパンを作っています。ライ麦にはパンをふくらませる役割のグルテンが含まれていないのが特徴で、目の詰まった重さのあるパンに仕上がります。生地の密度が高く、噛むほどに味わい深くなります。また、ライ麦は小麦と比べて色が濃く、黒っぽいのも特徴。小麦粉で作られたパンを白パンというのに対し、ライ麦で作るドイツパンは「黒パン」と呼ばれています。
ドイツパンは栄養豊富で腹もちもよい
ライ麦は小麦や米と比べて食物繊維やビタミンB1、ミネラルを多く含み、栄養面に優れているのが特徴です。噛みごたえがあるため咀嚼する回数が多くなり、腹もちもよいことから少量で満腹になります。
また、ドイツパンにはゴマやケシの実、カボチャやヒマワリの種といった栄養価の高い具材を豊富にトッピングします。香ばしさが加わった豊かな風味と、しっかりとした食感になります。ハムや野菜をはさんだサンドウィッチは栄養バランスがよくなります。
ドイツパンは酸味がある
酸味を感じるのもドイツパンの特徴です。小麦を使ったパンは発酵の際にイースト菌を使いますが、ライ麦パンではライ麦の天然酵母「サワー種」が使われています。発酵する力が強く酸味があるのが特徴で、独特の香りと酸味が残ります。
酸味のあるドイツパンはワインやチーズとの相性はバッチリ!おつまみで食べられることが多く、ベーコンのような塩気のあるものやジャムのような甘いものなど、さまざまは具材をトッピングして楽しんでいます。
ドイツパンの5つの種類
ドイツには1500種類以上ものパンがあるといわれるパン大国です。その中でも代表格の5種類をご紹介します。
ミッシュブロート
小麦粉とライ麦粉の配合が50%ずつの割合で作られたパンが「ミッシュブロート」。小麦のやさしい風味とライ麦独特のコクが相まって、ドイツ国内では食事パンとしてよく食べられているポピュラーなパンです。ライ麦がもつ特有の風味が苦手なかたでも食べやすいのが特徴で、ライ麦パンを初めて食べるかたにもおすすめです。
ヴィアイツェンミッシュブロート
ライ麦粉の配合が10%以上50%未満で作られたパンが「ヴィアイツェンミッシュブロート」。ライ麦の配合される量が小麦粉より少なくなると、酸味が穏やかになり、生地のきめが粗くなりボリュームがでてきます。さらにライ麦の配合量が少ないものを「ヴァイツェンブロート」と呼ばれています。酸味が少なくしっかりとした食感が残っているため、シチューやポトフなどのスープと一緒に食べるのがおすすめです。
ロッゲンブロート
ライ麦粉の配合が90%以上で作られたパンが「ロッゲンブロート」。ライ麦の酸味をしっかりと感じられ、きめがこまかく重量感があり色が濃いのが特徴です。生地がしっとりとしているため、そのまま食べるのがおすすめ。コクのあるチーズをのせてライ麦の強い風味が抑えられたり、ドライフルーツをのせて酸味をやわらげたり。苦手なかたでもトッピングしだいで楽しめます。
プレッツェル
ドイツの国民パンとして親しまれる「プレッツェル」。ラテン語の「腕」が名前の由来とされており、腕を組んだような独特の形をしています。また、焼く前にラウゲン液に漬けるため、赤褐色をしているのも特徴です。表面には粗削りの岩塩が散りばめられており、ちょうどよい塩気がビールに合うとおつまみとしても愛されています。
カイザーゼンメル
オーストリア発祥でドイツでは日常的に食べられる「カイザーゼンメル」。カイザーはドイツ語で「皇帝」の意味で、表面の特徴的な模様が王冠に見えることから名前がついた小型パン。プレーンタイプだけでなくゴマやケシの実をまぶしたものなど種類も豊富。横半分に切ってチーズやハムをはさんでサンドウィッチにするのが一般的食べ方です。
ドイツパンのおすすめの食べ方
日本人には少しなじみの薄いドイツパン。食べ方のポイントを知ることで食べやすくなりますのでご紹介します。
チーズやバターを塗る
油分があまり含まれていないドイツパン。乳製品と組み合わせることで酸味が和らぎます。チーズやバターに含まれる脂肪分が酸味を抑える役目を果たし、バランスのよい味わいになります。バターを塗る際はパンが真っ白になるまで塗るのがドイツ流。また、チーズはどの種類とも相性がよいため、さまざまなタイプのものを塗って楽しむことができます。
薄切りにする
ドイツパンのライ麦配合割合が高いものは酸味が強く生地が固いため、食べやすくするために薄くスライスするのが一般的。ライ麦を多く含むものほど薄くするというように、スライスする厚さを変えることがおいしく食べるための秘訣となっています。ドイツでは朝食にスライスしたパンの上に具をのせたオープンサンドを食べるのが定番となっています。
ハムやトマトなどをのせる
スライスしたドイツパンに好きな具材をのせるオープンサンドスタイルが好まれます。ハムは塩気が強いため、ライ麦を多く含むものと組み合わせると酸味が抑えられます。トマトなどの野菜をのせる際はパンにバターを塗ったり、野菜の水分をしっかりと切るひと手間を加えることで、ドイツパン本来の食感を失うことなく食べられます。
気軽に作れるドイツパンのおすすめレシピ5選
作るのがたいへんそうなイメージのドイツパンですが、気軽に作れるレシピもありますのでご紹介します。挑戦してみてはいかがでしょうか。
ライ麦70%のHBおまかせ食パン レシピ・作り方
ふだんからパンを焼くかたでもライ麦粉を使うのはハードルが高いです。しかし、ホームベーカリーを使えば手軽に焼くことができますよ。ドイツでは発酵させるためにサワー種を使いますが、イーストとヨーグルトで代用することができ、食べ慣れた酸味になります。ライ麦を70%も配合しているので香りも楽しみながら食べてください。
HBでノアレザン☆入れっぱなしver. レシピ・作り方
ノアレザンはライ麦粉と全粒粉を配合した生地にくるみとレーズンを詰め込んで焼き上げるドイツパンのひとつ。くるみやレーズンがアクセントになった食感が人気ですが、作るのはかなりたいへん。生地作りから焼きあげまでホームベーカリーに任せるとハードルが下がり、焼きたても楽しめます。そのまま食べるだけでなく、オープンサンドにしてもおいしいです。
おうちで焼けるドイツパン♪もちもちプレッツェル by湊 愛さん
形がかわいらしいプレッツェル。強力粉のもちもちとした食感とはちみつを使った甘めの仕上がりはおやつにもぴったり!特徴的な形に成形するのも簡単ですので親子で楽しみながら作ることができますね。また、独特の焼き色は重曹を使うことで簡単に出せます。発酵時間が短いレシピですので、思い立ったら作れてドイツの味にふれられます。
ドイツのパン♪カイザーゼンメル レシピ・作り方
カイザーゼンメルはライ麦を使わないため手軽に作れます。焼き上がりが白く、モチモチとしていてさっぱりとした食感です。そのまま食べてもいいですし、ジャムやチーズを塗るのもおすすめ。食べやすい大きさに成形して焼くと、ハムや野菜などをはさんだサンドウィッチも作りやすく朝食にぴったり。自由自在な食べ方ができます。
ベルリーナー
ベルリーナーとはドイツの首都ベルリン発祥の揚げパン。国民的なおやつとして人気がありカーニバルの時期や大みそかに食べることが多いそうです。中にはジャムが入っているのが特徴で、定番のベリー系のほかにカスタードクリームやチョコレートを入れることもあります。まわりにチョコレートや粉砂糖、アイシングでかわいらしく飾りつけをして楽しめます。
まとめ
知れば知るほど興味深いドイツパン。種類や食べ方を工夫することで日本にいながらドイツの気分が味わえます。さらにパンは食事のイメージが強いですが、ビールやフェスが有名なドイツならではの食習慣に取り入れられた食べ方は私たち日本人にもまねができるものばかりですね。日本人が敬遠しがちな風味や食感もパンの選び方しだいで食べやすくなることから、さっそく買いに行ってさまざまな食べ方でドイツパンをもっと身近なものにしてください。