校長先生が毒見?学校給食の知られざる「検食」ルールとは
2024/12/17
学校生活の楽しみのひとつともいえる学校給食。子どもたちの食の安全を保つために、配膳される前に「検食」するというルールがあるのをご存じですか?今回は、検食がどのように実施されているのかを解説していきます。
校長先生が「検食簿」をチェックしている!?
検食は学校給食法において定められた「学校給食衛生管理基準」に基づき、責任者がおこなうものとされています。具体的には、食事に有害物質や異物が混入されていないかを、料理をバラバラにして中身を確認。さらに充分に加熱されているか、異味・異臭がないかなどの食品衛生点検を実施します。
また、1食分の量が適当か、天気・気温・味付け・香り・彩り・子どもたちの嗜好への配慮までもチェックし、検食簿に記入する役割もあります。検食は子どもたちが給食を食べる30分前までにおこなう決まりになっており、意外にも多くの学校で校長先生が担当しているそう。
検食簿には、実施した時間や意見・結果を記載することも義務づけられています。万が一異常が発見された場合は、もちろん給食を中止に。共同調理場の受配校での異常の場合は、共同調理場に連絡して供給をストップするように連絡しなければなりません。
今年4月には宮城県の小中学校で、給食の牛乳を飲んだ児童や生徒約1,000人が嘔吐などの症状を訴えるというケースがありました。この事態を受けて、校長先生のみでおこなわれていた検食が、一時的に教頭先生や栄養教諭を含めた3人態勢で実施することに。メーカー側も風味検査サンプル数を増やして対応する結果となりました。
現在は同様の事案が起きた場合に備え、食品の回収方法や連絡体制を記載したマニュアルの作成がすすめられており、安心安全な給食の提供に努めていくとしています。
子どもたちがなにげなく口にする給食。栄養士や調理士だけでなく、食材を提供する事業所など各機関で多くの人が関わっており、子どもたちの健康を守るという重大な責任を担っています。子どもたちが安心しておいしく食べられる給食を提供するためにも、検食は必要不可欠なものといえるでしょう。
■執筆/マツヤマ剛
ありとあらゆる面白情報を収集する雑食ライター。営業職で「トークのタネ」として雑学を集めていたことをきっかけにトリビアに目覚め、一念発起して編集プロダクションに転職。その後独立し、今に至る。特に、生活に関連するような知識には目がなく、日々情報収集に励んでいる。
編集/サンキュ!編集部