悲しいと思慮深い女性の夫がベッドで眠っている間目がさめています。

「セックスレス」が原因で離婚はありえるのか?回避するには

2019/06/18

夫婦が離婚に至る理由はさまざまですが、その原因のひとつに「セックスレス」がある、と話すのは「恋人・夫婦仲相談所」の所長として、数多くの夫婦にセックスレス改善についてアドバイスをしている三松真由美さん。夫婦の営みがないだけで離婚までする?と思われるかたもいるかもしれませんが、意外と根深い理由があるようです…。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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「セックスがない」で離婚する背景にあるものとは?

離婚の原因は夫婦によって千差万別ですが、「原因はセックスレスです」と断言できる夫婦はそう多くありません。生活のこと、子どものことなどを考えれば、離婚という壁は富士山よりも高し。「セックスがない」という理由だけで、その高すぎる壁を飛び越えるというのは、思い切った決断と言えます。しかし、事実として「セックスレス」が原因で離婚に至る夫婦はいます。

今回は、筆者の夫婦相談所を訪れた実例の紹介を通じて、「セックスレス」が原因で離婚に至る背景について考えてみます。なお、人物の名前・年齢・勤務先などはすべて仮のものです。

事例:1年半の「セックスレス」の末に訪れた離婚危機

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fizkes/gettyimages

カズキさん(35歳)は保険会社勤務。職場恋愛で結婚した妻のアカネさん(32歳)と「セックスレス」が原因で離婚になりそうだと相談に来られました。

アカネさんの実家は不動産会社。お父さんに甘えてマンションを用意してもらいました。新婚生活を送るにはいささか豪華すぎる家です。なんともうらやましい環境ですが、義理の父はカズキさんの稼ぎが少ないことを、ことあるごとに責めたそうです。カズキさんは義父に認めてもらおうと仕事に精を出しました。

結婚半年くらいまでは週に1回の頻度で夜の営みもありましたが、残業や出張が増えたことで、回数は激減。妻から誘われても「眠い」の連発です。妻も妻で不満を募らせながらも、激務で疲れて帰宅する夫に無理は言えないと我慢しました。

こうして始まった「セックスレス」。アカネさんはほかのことで発散しようと、宅建とインテリア関係の資格を取り、個人事務所をつくって働き始めます。すると今度はアカネさんもいそがしくなり、夜の営みどころか、2人で過ごす時間すらなくなってしまいました。家事もズサンになり、夫婦のあいだには冷めた空気が流れます。「セックスレス」の状態が1年半ほど続き、さすがにこれはマズいと焦ったカズキさんは、夜の営みを再開して子づくりしようと提案しました。

するとアカネさんは激怒。

「あなたの自分勝手な人生に振り回されるのはもういや。父の後ろ盾がなかったら、ローンでキュウキュウの生活だったはず。1年以上私の誘いを断って、いまさら子どもをつくろうなんて勝手すぎ」

そして、「この家から出てって」と冷たく言い放ったのです。

◇◇◇◇

この流れで夫婦相談所を訪れたカズキさん。相談内容は「セックスレスで離婚したいと言われた」でしたが、果たしてこの離婚危機は本当にセックスレス“だけ”が原因なのでしょうか?

「セックスレス」だけにフォーカスしていい問題ではない

こういった相談を受けたとき、筆者はいつも「ほんとうに夜の営みがないことだけが離婚を考えた原因ですか?」と問います。なぜ「抱きたい」「抱かれたい」気持ちになれないかを系統立てて探らなければ本質は見えません。

カズキさん夫婦の場合、「セックスレス」が離婚の大きな原因であることは間違いありませんが、そこだけにフォーカスしていいわけでもありません。「セックスレス」が起点となり、さまざまな夫婦の問題が積みあがっていった、と考えるべきでしょう。

<夫側の問題点>
・義父にいいところを見せたくて仕事過剰
・妻の気持ちを考える余裕なし
・妻の仕事スタイルを話し合う機会を持たない
・「セックスレス」に関して気づかない
・子づくりのことを思いつきのように提案した

<妻側の問題点>
・男性のプライドを考慮していない
・夜の誘いを諦めてしまい、話し合いをしていない
・自分の働き方を1人で決めた
・子づくりについて将来像を描いていない
・悲しい気持ち、つらい気持ちを吐露していない
・父と夫を無意識に比較していた  

「セックスレス」の状況において、お互いに誤った行動を取ってしまい、それが「愛し合いたい」という気持ちを失わせることになったのです。

「セックスレス」以外の問題点を整理すれば改善の余地は見つかるかも

最初に述べたとおり、離婚の原因は千差万別。「セックスレス」が原因の離婚は、もちろんあるでしょう。しかし、今回のケースのように、それが真の理由かどうか、疑わしいこともあります。

たとえば、今回の事例から妻側が学ぶとすれば「夫のプライドを傷つけては致命的」ということです。男性は比較されることを嫌います。女性はマウンティングでもっときれいになってやるとか、もっと仕事で認められてやると奮起するタイプが多いのですが、男性はデリケートで傷つきやすいもの。とくに父親や会社の同僚と比べてけなすような態度を絶対にとってはいけません。

「セックスレスで離婚したい・離婚されそう」というときは、一旦冷静になって、そこに付随する問題点を整理してみましょう。離婚を回避する、改善の余地が見つかるかもしれません。


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

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