男と女を喧嘩します。

よくも悪くも「空気のような存在」になった夫を再びドキドキするためには?

2021/03/16

夫婦で長年いっしょに暮らしていると、相手のことがよくも悪くも「空気のような存在」になってしまうことって、ありますよね。でもこの状態、そのままでいいんでしょうか?恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいました。

本当にそれでいいのか?「空気のような存在」

「夫のことは好きです。空気みたいな存在でじゃまにならなりませんから」
「もちろんセックスレスです。家族歴12年、空気みたいな人といまさらそんなことできませんよ」

夫婦仲相談所を運営するなかで、長年耳にし続けている言葉「空気のような存在」。たしかに、毎日いっしょにいる相手に対して、毎日発情したり、求め合ったり、嫉妬したり、喧嘩したりすると疲れてしまいますから、理に適った夫婦関係とも言えます。

一方で、本当にそれでいいのか?ずっとレスな関係のままでいいのか?という問題意識も、夫婦仲の専門家として提起したいところ。そこで今回は夫婦仲における“空気のような存在”問題について、考えていきたいと思います。

脳内物質に左右される男女関係のドキドキ

愛はなぜ終わるのか―結婚・不倫・離婚の自然史

アメリカの人類学者、ヘレン・E・フィッシャーさんの著書『「運命の人」は脳内ホルモンで決まる!』(2009年/講談社)や『愛はなぜ終わるのか―結婚・不倫・離婚の自然史』(1993年/草思社)によれば、男女の関係を刺激する脳内物質は大きくわけて4つあるそうです。

・ドーパミン:情熱的な恋のホルモン。珍しいもの、冒険に憧れる。報酬獲得衝動を起こす。
・セロトニン:幸せを感じる。慎重、落ち着きをもたらす。低下するとうつっぽくなる。
・エストロゲン:女性ホルモン。感情表現がゆたか。情け深い。
・テストステロン:男性ホルモンの一種だが女性にもある。決断力。大胆。冒険的。上を狙う。性欲にも関連。

ドーパミン優位の人は、同じタイプの人を求め、セロトニン優位の人も同じ。一方で、テストステロン優位のひとは逆のエストロゲン優位を求め、エストロゲン優位もまた同じ。

つまり、情熱的な人と慎重な人は同じタイプを求め、決断力があるワイルド系の人と、情け深い人は正反対のタイプを求める傾向がある、というわけです。

また、情熱ホルモンのドーパミンは半年くらいしか大量に出ないそうなので、始まりは情熱的でもしばらく経つと穏やかな愛情に以降するそうです。

一方で、性欲の波というのはある日突然訪れるもの。「穏やかな愛情」=「空気のような存在」に納得していた日々が、いつ終わるかは誰にもわかりません。

「夫と昔みたいにイチャイチャしてみたい」
「3年もセックスレスです。このまま更年期になって閉経するなんて寂しすぎます」

と感じたとき、どうやって「空気」から「夫(あるいは妻)」に戻せばいいのでしょうか。

参考になるかもしれない、実例をご紹介しましょう。

【事例】スイートテンダイヤモンドのために自分に試練を与えた妻

Julia Kuznetsova/gettyimages

奈美枝さん(仮名41歳)は、恋愛マンガやドラマが大好きです。小学校のママ友とも、いつもマンガやドラマの話題で盛り上がっています。また記念日を大事にしていて、なにかにつけて記念日の小さなお祝いをする幸せ体質でもあります。「今日は息子の水泳大会優勝記念日」「今日は夫の昇進記念日」といった具合に。

しかし、夫婦仲はどうかと言えば完全に「空気系」。夫は妻に対して「家を守る仲間」という位置づけで接しています。対する奈美枝さんは、そういった扱いに不満を抱いていました。

いまさら情熱的に愛してほしいとは思いませんが、イベントごとのときくらいはマンガやドラマのヒロインような扱いをしてほしい……。

そんななか結婚10年目を記念して、ホームパーティーを開催することになった奈美枝さん。夫には数カ月前から「スイートテンよ!」と告知していたので、当然ジュエリーをプレゼントしてもらえると期待していました。空気系夫婦とは言え、形だけでもスイートテンは欲しかったのです。

そして当日、夫からのプレゼントは……とらやの羊羹。

「なんで?」
「ケーキは君が用意すると思ったから、サプライズで和菓子にしてみた。デパ地下まで買いに行ったんだぞ」
「ネックレスは?」
「その体型なんとかしないと似合わないよ」

たしかに、2Lサイズの洋服を着ている奈美枝さん。結婚記念日なのにとても落ち込み、その夜はお風呂で咽び泣いたそうです。

そして「1年後に夫からスイートテンを贈られるのにふさわしい妻になる」の一念でストイックな生活に変えました。ラブコメで似たような境遇の主人公が、きれいになって恋が成就する作品を読んでいたので、我が身を重ねることができたと言います。

水泳教室に通い、毎日6km歩き、毎晩YouTubeの筋トレ動画でトレーニング。スイーツと炭水化物も絶つことに。

そして1年後、10kg以上の減量に成功した奈美枝さんは、頬がシュッとしてロングヘアが似合う女性になっていました。しかし、夫が惹かれたのは見た目はもちろん、ダイエットを決断したこと、続けたこと、(スイーツの誘惑などを)断ること、といった毅然とした姿に惹かれたと言います。

もちろん夫は1年遅れで、スイートテンのネックレスをプレゼントしてくれました。

空気系夫婦に陥らないためにやるべきこととは?

手をつなぐ若い男女の裏図
west/gettyimages

馴れ合いで関係性がマンネリになったり、相手への敬意が失われるのはしかたない……ことはない!

前述のとおり、男女のドキドキは脳内物質に左右されます。であれば、ドーパミンやセロトニンが出る行動に夫婦どちらかが挑戦すればいいのです。どんな行動?これは夫婦によってまったく違います。

奈美枝さんの場合は、元々ラブコメ好きのハッピー体質でしたので恋愛に関する気持ちが人一倍強く、がむしゃらにがんばることで状況を変えました。もちろん、これはあくまで一例であり「そこまでできない」と思ってもいいですし、自分だけががんばる必要もないと筆者は考えます。

まずは自分とパートナーの性格を深く知るところが第1歩。これまで多くの夫婦相談をサポートしてわかってきたのは、「相手をワクワクさせよう」より「自分が先にワクワクする」マインドの妻のほうが空気系夫婦を脱出する可能性が高いこと。

奈美枝さんのように好きな趣味に浸ったり、小さなことをフューチャリングしてよろこんだりするかたは比較的早く脱出できます。

私は「マンネリ改善の荒治療」と呼んでいますが、個々の夫婦にマッチした戦略をたてなければ無駄振りに終わります。

空気系夫婦で過ごしたくないと思ったら、自分がワクワクする方法を生み出し、相手に伝播させましょう。そして、脳内物資について学習しておいて損はナシですよ!


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND