「出産手当」でいくらもらえる?計算方法&申請方法を簡単解説!

2019/01/05

最近は、妊娠がわかってからも仕事を続け、産休・育休を取得して復帰するママが増えています。赤ちゃんの誕生は楽しみだけど、仕事を休むことで収入がダウンするのは不安・・・・・・という人も多いのでは?
産休中にもらえる「出産手当金」について、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに詳しく教えていただきました。

「出産手当金」とはどんな制度?

産前42日・産後56日の休みを「産前産後休業(産休)」といいます。
産休中はほとんどの場合、会社から給料は出ないため、その間の収入ダウンをカバーするために、加入している健康保険からもらえるお金が「出産手当金」です。

「出産育児一時金」とは違うの?

「出産手当金」と混同されやすいのが「出産育児一時金」。どちらも出産する女性を援助するためのものですが、その目的や支給額は異なります。
「出産育児一時金」とは、出産にかかる費用をサポートするもので、子ども1人につき42万円がもらえる制度。国民健康保険に入っている人も、勤務先の健康保険に入っている人も、共通してもらえるお金です。
一方、「出産手当金」は、勤務先の健康保険に加入している人だけがもらえるお金。産休中で収入が減ってしまうママが受け取ることができます。

いくらもらえるの?

「出産手当金」の計算方法 

「出産手当金」の計算方法は下記のとおりです。
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[標準報酬月額]÷ 30日 = [標準報酬日額(支給日額)]
[支給日額]× 2/3 × 98日 = 支給総額
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標準報酬月額とは、毎年4月、5月、6月の3カ月の平均月収をもとに健康保険の等級表に当てはめて計算された金額のこと。標準報酬月額を30日で割ると、1日当たりの支給額が算出されます。
そして、支給日額の3分の2×産休の日数(98日)が、手当の支給総額となります。

標準報酬月額20万円のAさんはいくらもらえる?

Aさんの標準報酬月額が20万円の場合、「出産手当金」はいくらもらえるのでしょう。先ほどの計算式に当てはめると、このようになります。
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20万円÷30日=約6670円
約6670円×2/3×98日=約43万5800円
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「98日」というのは、予定日どおりに生まれた場合の産休の日数です。
出産が予定日より遅れた場合は、「出産手当金」が支給される日数が多くなり、反対に予定日より早まった場合は、支給される日数が少なくなります(出産当日は、産前にカウントされます)。

支給の対象になるのはどんな人?

「出産手当金」は、会社員や公務員など、勤務先の健康保険に加入しているママがもらえるお金。正社員だけでなく、契約社員やパート、アルバイトでも、勤務先の健康保険に加入していれば対象となります。
専業主婦、自営業、パート、アルバイトなどで国民健康保険に加入している人はもらえません。
また、退職した場合でも、次の条件を満たせば支給の対象となります。
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① 退職の前日までに1年以上の健康保険加入期間がある
② 退職日に出勤していない
③ 退職時に「出産手当金」を受給している(※)
※出産予定日より43日以上前に退職した場合は、支給対象外。
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いつどのように申請すればいい?

「出産手当金」の申請は、本人だけでなく医師や勤務先にも記入してもらう必要があります。出産後はバタバタしがちですが、忘れずに記入してもらい、提出しましょう。手続きの流れは下記のとおりです。

1. 「出産手当金」の申請書を用意する

出産予定日がわかったら、産休に入る前に「「出産手当金」支給申請書」を用意しましょう。勤務先もしくは、勤務先が加入する協会けんぽや健保組合で手に入れることができます。

2. 出産後(入院中)、医師に記入してもらう

出産したら、産院で担当医師に必要事項を記入してもらいましょう。

3. 出産後、勤務先に書類を提出する

出産後57日以降に、勤務先の健康保険担当者に書類を提出しましょう(その後、勤務先が必要事項を記入して、協会けんぽや健保組合へ書類を提出します)。

手続きは複雑なように思えますが、実際は勤務先と医療機関に必要事項を書いてもらうだけなので、それほど手間はかかりません。
内容が認められれば、申請して1〜2カ月後に指定口座に「出産手当金」が振り込まれます。

まとめ

仕事を続けるママが産休中にもらえるお金、「出産手当金」について解説しました。
出産の前後はどうしてもバタバタしてしまいがちなので、申請手続きの際に戸惑うことがないよう、妊娠中からしっかり理解をしておきましょう!

教えてくれたのは・・・

井戸美枝さん

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、経済エッセイスト。講演やテレビ、ラジオなど多数のメディアを通じて、ライフプランや資産運用についてアドバイスを行う。著書に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと』(東洋経済新報社)など。

大図解 届け出だけでもらえるお金

取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)

 
 

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