会社を退職して、失業保険を受給しているときは確定申告を自分でするもの?失業保険も課税対象になるの?失業保険と確定申告について、税理士の角田圭子さんに聞きました。
失業保険は課税対象になるの?
勤めていた会社を退職してから再就職するまでの期間は、失業保険を受給することができます。
失業保険は、失業した人の最低限の生活を保障するために支給されるものなので、所得税は非課税と定められています。そのため所得税や住民税などの課税の対象にはなりません。
つまり、失業保険として支給された金額を確定申告する必要はないのです。
失業保険を受給中でも確定申告をしたほうがいいケースもある
だからといって、失業中は確定申告とはまったく関係がないとはいえません。失業保険の支給金額を確定申告する必要はないのですが、失業中でも確定申告が必要なことがあります。
年末調整ができない場合
年の途中で退職、12月の年末調整をする時期にまだ再就職をしていない人は、翌年に確定申告をする必要が出てきます。
年末調整とは、会社側が1年間の給与所得に対しての所得税を計算してくれるもの。毎月の給与をもらうときに所得税が天引きされていますが、年末に1年間の給与の合計が出るタイミングで、1年間の所得税を計算し直し調整を行います。所得税を払いすぎていた場合には、所得税の還付金がもらえます。
会社が年末調整をしてくれる時期に失業している場合、会社でこの年末調整をしてもらえないため、還付金を受け取ることができません。そういう人は、自分で確定申告をすることで還付金を受け取ることになります。
退職した会社から退職後1カ月以内に、給与収入と源泉徴収税額を証明する源泉徴収票がもらえます。確定申告にはこの源泉徴収票が必要です。
アルバイトをして所得税を源泉徴収された場合
失業中で失業保険を受給している間でも、「週20時間未満の勤務」および「31日未満の雇用」などの一定条件を満たしていればアルバイトで収入を得ることも可能です。
注意したいのは、アルバイトの1カ月の収入が8万8000円以上あると、その月に所得税を源泉徴収されている場合があることです。給料の明細書をチェックするとわかります。
もし、源泉徴収されていたら、そのアルバイト先の会社から源泉徴収票をもらい、退職した会社からの源泉徴収票と合わせて確定申告の際に提出しましょう。
年内に再就職をした場合は?
年内に新しい会社に就職した場合は、以前の会社からもらった源泉徴収票を提出すると年末調整をしてくれます。
もし、失業期間中に国民年金や健康保険などの社会保険料を自分で支払っていたら、その金額なども年末調整の書類に記入することを忘れないようにしてください。
記入し忘れた場合は、年末調整を会社でしてもらっていても、自分で確定申告をしてこの分の所得税の還付をしてもらいましょう。この場合、新会社で作成してくれた年末調整済みの源泉徴収票と一緒に提出します。