出産費用は意外とお金がかからない!?公的助成金を上手に活用しよう

2019/02/16

赤ちゃんの誕生は待ち遠しいけれど、出産にかかるお金に漠然とした不安を抱えている人もいるでしょう。出産費用や妊婦健診にかかるお金と助成制度について、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに詳しく教えていただきました。

出産費用の平均は50万円前後

出産費用は医療機関によって異なります。

国民健康保険中央会の調査(16年度)によると、自然分娩の平均的な費用は、病院なら51万1652円、診療所なら50万1408円、助産所では46万4943円となっています。

無痛分娩だとさらにプラス約10万円。帝王切開だとプラス20万〜25万円程度かかります。人によっては予定外の緊急帝王切開になり、通常の出産より入院期間が長引くことも。

あらかじめ医療機関でだいたいの自己負担額を確認しておくといいでしょう。

出産時には全員42万円がもらえる!

出産費用の平均が約50万円と聞くと、「そんなまとまったお金、出産までに用意できない・・・・・・」と不安に思う人もいるかもしれません。

でもそれほど心配しなくても大丈夫。出産する人全員に、加入している健康保険から「出産育児一時金」として42万円(※)が支給されます。

仮に出産費用が50万円かかったとすると、42万円を差し引いて、残りの8万円が実際に自分で支払う金額。つまり、出産費用の大部分はサポートしてもらえるというわけです。お金がないことを理由に「出産できないかも」と思い込むのは避けましょう。

医療機関などで「直接支払制度」を利用すると42万円を超えた分だけ支払えばいいので、窓口負担を減らすことができます。

※「産科医療補償制度」に加入していない医療機関などで出産した場合は、子ども1人につき40万4000円。 

妊婦健診費の助成制度もある

妊娠してから出産するまでは、医療機関で定期的に妊婦健診を受けることになります。全部で14回前後ありますが、妊婦健診は保険が適用されないため、1回につき3000〜1万円程度の費用がかかります。

これについては「妊婦健診費用助成」として、市区町村が費用の一部を助成してくれます。

助成内容は市区町村によって異なるので、役所の担当窓口やホームページで確認してください。

妊娠中に体調不良で仕事を休んだら?

妊娠中は重いつわりや妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病など、思わぬトラブルで入院を余儀なくされることも少なくありません。

仕事をしている女性がこのような症状で会社を休まなければならなくなった場合、加入している健康保険から「傷病手当金」をもらえる可能性があります。連続3日間休んだあと、4日目以降も長期にわたって会社を休むことになったら、最長で1年6カ月間、給与の3分の2の額が支給されることに。

突然働けなくなると金銭面の不安も感じるかもしれませんが、くれぐれも自分の体とおなかの赤ちゃんのことを優先させてほしいと思います。

まとめ

妊娠・出産にかかるお金に関しては、さまざまな助成制度が整っています。日本国内においては、たとえ経済的に余裕がない人でも、基本的に出産はみんな平等にできるもの。

あまり大きな不安を抱え込みすぎず、健康面を第一に考えて出産に臨んでください。


教えてくれたのは・・・

井戸美枝さん

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、経済エッセイスト。講演やテレビ、ラジオなど多数のメディアを通じて、ライフプランや資産運用についてアドバイスを行う。著書に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと』(東洋経済新報社)など。

取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)

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