【新型コロナ支援情報】個人がもらえる&借りられるお金を専門家が解説
2020/05/18
全国民に一律10万円を給付する「特定定額給付金」の受けつけが、一部の市区町村で始まりました。このような新型コロナウイルス感染症の経済支援は、じつはほかにもいろいろあるのをご存知ですか?
節約アドバイザー・丸山晴美さんに「新型コロナ関連で個人がもらえる&借りられるお金」を教えてもらいました。なお、今回ご紹介する情報はすべて2020年4月末時点の取材情報を元にしています。各制度や措置は、新型コロナ感染拡大の状況によって変更が出る可能性があります。最新の情報は各サイトなどで確認してください。
監修: 節約アドバイザー 丸山晴美
22歳の時に節約に目覚め、1年で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て...
みなさまこんにちは。節約アドバイザーの丸山晴美です。
お金にはトレンドがあって、その情報をキャッチできるか否かで、得する人と損する人に分かれます。でも経済に関するお金の情報は、ちょっとむずかしいですよね。私はみなさまに「お金の旬の情報」を「わかりやすく」お届けしていきたいと思います。今回のテーマは「新型コロナ関連で個人がもらえる&借りられるお金」!
特別定額給付金
日本に住む人に一律10万円を給付する「特定定額給付金」。申請方法は、「郵送申請」とマイナンバーカード所持者向けの「オンライン申請」の2種類があり、前者は市区町村から送られてくる申請書を、後者は政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」を利用します。
受けつけと給付の時期は、各市区町村によって異なり、一部の市区町村ではすでに始まっているところもあります。ここで注意したいのは、申請に「締め切り」があること。期限は郵送申請の受付開始日(※市区町村異なる場合があります)から「3カ月以内」とされているので、必ず期限内に申請しましょう。まずは、お住いの市区町村のホームページなどのチェックを。
問い合わせ先:市区町村
子育て世帯への臨時特別給付金
児童手当を受給する世帯(0歳〜中学生のいる世帯)に対し、児童手当を子ども1人つき1万円上乗せして支給するものです。ただし、月額5,000円の特例給付を受けている高所得世帯は対象外です。
2020年4月分の児童手当を受け取る世帯に、5月以降、市区町村から給付金の案内チラシと希望しない場合の申し出書が発送されます。受け取りたい世帯は手続きをする必要はなく、希望しない世帯が申し出書を返送します。
支給時期は自治体で異なりますが、多くは6月以降になる見込みです。公務員のかたのみ所属庁より申請書が配布されますので、支給対象者であることの証明を受けたうえで居住市町村への申請が必要となります。
問い合わせ先:市区町村
住居確保給付金
休業や失業で家賃が払えなくなった場合に受けられる給付金で、自治体が原則3カ月(最長9カ月)分の家賃を家主に支払ってくれて、返済の必要もないという制度です。
従来は失業したかたのための制度でしたが、新型コロナの感染拡大を受けて厚生労働省が対象を拡大。年齢要件の撤廃や、仕事に就いたままでも受給できるようになりました。
また、令和2年4月30日からはこれまで必要だったハローワークへの求職申し込みの条件も不要となりました。
給付要件や給付額は自治体によって異なりますが、東京都特別区の場合、単身世帯で5万3,700円、3人世帯6万9,800円など(申請から約1カ月)です。事前予約制をとっているところもあるので、確認をしておくとよいでしょう。
問い合わせ先:市区町村の自立支援機関
緊急小口資金
新型コロナにより収入が減少し、生計を維持するための資金が必要になった場合に、無利子でお金を借りることができる制度です。金額は基本的に10万円以内ですが、小学校の休業などの影響を受けた場合には、特例として20万円以内の貸付を受けることができます。
2年以内に返済することが条件ですが、例外として、大きな災害の被災、傷病などやむを得ない事情で返済がむずかしくなった場合は、償還(返済)の猶予や免除を申請することが可能です。
問い合わせ先:市区町村の社会福祉協議会
総合支援資金(生活支援費)
こちらも新型コロナにより、生計を維持するための資金が必要になった場合に、無利子でお金を借りることができる制度ですが、主に失業して生活の立て直しが必要なかたが対象です。
2人以上の世帯では月20万円以内、単身世帯は月15万円以内の貸付を、原則3カ月以内の期間受けることができます。返済期限は10年以内。原則として、生活の立て直しに向けた相談支援(自立相談支援機関による)を利用することが、貸付の要件になっていますが、例外として、大きな災害の被災、傷病などやむを得ない事情で返済が難しくなった場合は、償還(返済)の猶予や免除を申請することが可能です。
問い合わせ先:市区町村の社会福祉協議会
傷病手当金(健康保険)
けがや病気で仕事を、連続3日間を含む4日間以上休んだ人がもらえる手当金です。市区町村によっては、新型コロナが疑われる症状があるかたにも支給する場合があります(※1)。
もらえるお金は平均賃金日額×3分の2で、最長1年6カ月間受給可能。例えば、標準報酬日額8,000円で1カ月間(31日)会社を休んだ場合は以下となります。
8,000円×2/3(5,333円)×(31日-3日間)=14万9,324円(※2)
問い合わせ先:加入している健保組合、協会けんぽ。国民健康保険場合は市町村へ。
休業補償給付(労災保険)
業務中または通勤途中に、ケガや病気をした場合に給付されるものですが、業務を通して新型コロナに感染したと認められ、仕事を休んだ人にも支給されます(※3)。
問い合わせ先:労働基準監督署
家計急変給付奨学金
新型コロナによる休業などで家計が急変した場合に、返済義務のない給付型奨学金を支給するものです。大学などに在学中で一定水準の成績を修めていること、資産が基準以下であることなど、いくつか条件があります。
支給額も状況によって異なり、最大の場合で月額7万5,800円です。
問い合わせ先:日本学生支援機構
母子父子寡婦福祉資金貸付金
未成年を扶養する、配偶者のない男女を対象とした制度です。通常の失業などのほか、新型コロナにより就業環境が変化し、一時的な収入の減少などで日常生活に支障をきたす恐れがある場合に、無利子(または低利子)で自治体からお金を借りることができます。借りられる金額、利子、返済期間などは自治体によって異なります。
問い合わせ先:市区町村の福祉担当窓口
公的制度を上手に利用して自己破産を防いで!
以上はすべて、個人が申請して受け取ることができるもので、ほかに自営業者など事業主が申請する制度も各種あります。
今、生活を守るために先立つのは、やはり「お金」です。とつぜん、収入が激減したり失業してしまうと、誰でも冷静さを保つことがむずかしくなりがちです。優先順位が考えられずパニックになると、キャッシングやリボ払い、延滞など、通常であればしないような借り入れや思考に走りがちです。早く簡単に借りられるお金は、金利の高い借金を増やすことになり、破産へと向かいやすくなるのです。
しかし、高金利のところから無理して借りるより、今回紹介した公的な支援制度を活用して借りたほうが、ずっと返済は楽になります。それにより、家計や家族をも守ることができます。
新型コロナで制度が拡充され、申請もやりやすくなっている今こそ、これらの制度をうまく利用して乗り切りましょう。
※2020年4月末時の取材情報を元にしています。
※各制度や措置は、新型コロナ感染拡大の状況によって変更が出る可能性があります。最新の情報は各サイトなどで確認してください。
取材・文/かきの木のりみ