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災害から身を守る「捨て方」と「備え方」

2018/12/29【 お金 】

今年も残すところあとわずか。家の大掃除、はかどっていますか?無駄なものを捨て、家の中を整えることは、家をきれいにするだけでなく、災害が起きたときに家族の命を守ることにもつながります。そこで今回は、防災のプロ・山村武彦さんと、被災経験のある漫画家・ゆるりまいさんに、災害から身を守るための”家づくり”について聞いてみました。

「命を捨てるな 物を捨てろ」

編集部(以下:編) :「物が多い家が危険」なのは、なぜなのでしょうか?

山村さん(以下:山) :過去の大地震などでは、多くの人が倒れた家具や落下してきたもので命を落としています。また、散らばったものが出口をふさいで、避難が遅れることもあります。家の中に物が多い=それだけ命の危険も高まるということ。私が常々、「命を捨てるな、物を捨てろ」と言っているのはそのためです。自分と家族の命を守るには、よけいな物を捨て、家の中を安全に整理することが大事なのです。

編:具体的に、何をどう整理すればいいのでしょう?

山:まず、地震が来たときに倒れてきそうな家具はないか、落ちてきそうなものはないか、家の中を点検することです。家具は天井や壁などに2カ所以上を固定してください。冷蔵庫やテレビ、電子レンジも忘れずに。そして、タンスの上になんとなく飾っている花びんや置物があれば、すぐに撤去してほしい。過去の地震では、タンスの上の500円玉貯金の貯金箱が頭に落下して亡くなった人もいるくらいですから。家の中にあふれているもの、とりあえず飾ってあるもの、それらが災害時には「凶器」になるのです。

どうしても物を減らせない場合は、背の高い家具や雑多なものを置く「物置部屋」をつくるなどして、リビングや寝室など生活圏内には、物を極力置かないようにするといいと思います。

被災当時〝必要なもの〞だけがなかった

編:ゆるりさんは、仙台で生まれ育って、2011年の東日本大震災で被災されたのですよね。

ゆるりさん(以下:ゆ):はい。私は今でこそ、「持たない暮らし」をしていますが、以前は物があふれ返った家に住んでいたんです。そんななかで起きた震災。幸い家族は皆無事に避難できましたが、仙台にあった私の家は半壊し、家具は倒れ、物は壊れ……まさにがれきの山と化しました。

しかも、災害への備えをまったくしていなかったので、カセットコンロを使おうとしても、ガスボンベがない。なぜか甘酒は大量にあるのに水がない。物はあふれるほどあるのに、命を守ってくれるものが何一つなかったことに、ぼうぜんとしました。

【災害時に真っ先に売り切れるものを備える】

▲被災生活に必要なもの、災害時に手に入りにくくなるものなどを、頑丈なケースに収納。「充電器のジャックなどは仕様が変更になることもあるので、使える状態か定期的に点検しています」。

【常に持ち歩いて災害に備える】

▲外出先で災害に遭ったときのために、山村さんがいつもカバンに入れて持ち歩いている防災ポーチ。

「明日起こる」 ことは想定していない

山:先日、ある講演会で「巨大地震は起きると思うか」と質問したところ、来場者の9割が「起きると思う」と答えました。ところが、「それは明日起きると思うか」と尋ねるとだれも手を挙げない。巨大地震はいずれは起きる、だけどまさか明日ではないだろう、というのが大半の人の意識なんですね。だから防災対策にも本気で取り組めない。

ゆ:私も、同じように考えていました。だけど実際に被災して、その考えを改めました。それからは、いつ災害が起きてもいいように家の中を整理し、家族も巻き込んで物を捨てることを始めました。

山:(ゆるりさんの家の写真を見て)本当に家具や物がないですね。地震の場合は、就寝中の危険度が高いのですが、ゆるりさんの寝室は理想的です。

ゆるりさん宅の寝室は、ベッドのみ。「大地震では、就寝中に家具の下敷きになって亡くなる人も多いので、これがベストですね。ベッドの高さも低いので、たとえ投げ出されてもケガをする可能性が低い」と山村さんからもお墨付きが!

「命を守れる家」 をめざしています

ゆ:震災時の反省から今は「命を守れる家」を心がけています。災害のときに危険がなく、すぐに逃げられて、必要なものがすぐに取り出せる家ということです。ただし、無駄なものを持たない代わりに防災グッズはきちんと備えています。

ゆ:「捨て魔」の私ですが、防災用のヘルメットはたとえ何年出番がなくても、絶対に捨てません。それに、災害時って、本当にお店から物がまったくなくなるので「お店をストックに」という考え方はせず、日用品のストックは切らさないようにしています。


山:私も防災の第一歩は、安全な家にすること、水や食料の備蓄だと考えます。そして、できれば家の中に「安全ゾーン※」を確保しておいてほしい。家では「玄関」がそれに当たることが多いので、玄関にはよけいなものを置かない、鏡は割れない素材のものに換える、スムーズに避難できるよう〝はきやすい靴〞を家族分並べておく、などの対策をしておくと安心です。ぜひ、年に一度は「防災掃除」として、家の中の片づけと備蓄品の見直しをしてほしいと思います。
※安全ゾーンとは、転倒落下物の危険が少なく、閉じこめられない場所のこと

倒れてきそうな家具はないか、落下しそうなものはないか、玄関までの避難経路に邪魔なものはないか、家中を見直しましょう。水や食料、懐中電灯やラジオなど、防災グッズの備えもあらためて点検を!

<教えてくれた人>
・山村武彦さん(防災・危機管理アドバイザー)
防災システム研究所所長。50年以上にわたり世界中の災害の現地調査を行い、その教訓を講演会やテレビ番組などで伝える。近著に『もしものときに役立つ わが家の防災ハンドブック』(家の光協会)など。

・ゆるりまいさん(漫画家・エッセイスト)
コミックエッセイ『わたしのウチには、なんにもない。』シリーズが大人気。東日本大震災で仙台市内の自宅が倒壊した体験から、「捨て魔」となり、持たない暮らしを実践中。近著に『ゆるりまいにち猫日和』(幻冬舎)がある。

参照:『サンキュ!』1月号「私たちに迷っている時間はない! 捨てるもの・残すもの即決リスト」より。掲載している情報は18年11月現在のものです。撮影/キムアルム 取材・文/妹尾香雪 編集/サンキュ!編集部

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