不安が多い老後のお金…50歳からでも間に合う5つの理由
2021/08/08
「老後までに貯められる自信がな~い!」という人もご安心を。これからは、年金と仕事を賢く生かすのが、正しい老後プランニング。2人の専門家に教えてもらいました!老後の暮らしを最高に楽しむ準備、始めましょ♪
<教えてくれた人>
・ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士 井戸美枝さん
年金や社会保障問題について、講演やテレビでわかりやすく解説。『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)など著書多数。
・ファイナンシャル・プランナー 長尾義弘さん
日本年金学会会員。年金、保険を得意とし、お金のリテラシーを高める情報を雑誌やWebで発信。最新書籍『定年の教科書』(共著/河出書房新社)が好評。
これからは、長く働いて自分で年金を増やす時代。国も後押ししてくれるから安心を!
「長く働けば、老後資金の問題は一気に片づきます」と話すのは、シニアのお金に詳しい井戸美枝さんと長尾義弘さん。「働いて収入を得れば、年金生活になっても貯蓄を削らなくてすみ、資産が長もち。さらに"働く高齢者は健康"という国のデータもあり、医療・介護費の節約も期待できます」(長尾さん)。国も、働いて年金を増やせる社会へと、制度を改正中です。「パートのかたも厚生年金に加入できる事業所が広がり、繰り下げ受給(下記参照)も拡充。いずれおひとり様になる可能性の高い女性こそ、長く働いて自分の年金を増やす選択を」(井戸さん)。
1 老後資金は60歳までに貯めなきゃいけないわけじゃない
今の時代、何歳になっても仕事はあります。「たくさん稼ぐ必要はなく、夫婦で月2万~5万円も稼げば、年金生活のたしには充分。細く長く働ける計画を50代から準備していくことは、老後資金を貯めるのと同じくらい効果があるのです」(長尾さん)。
まだまだ働いて稼ぐことができる!
自治体の「シルバー人材センター」は、学校の校務員から庭仕事、PC指導など幅広い募集が。「家政婦や保育補助などはなり手が少なく、60代以降も需要あり。派遣会社に登録もできます」(井戸さん)。
2 年金受給を遅らせることで、もらえるお金を増やせる
長く働くことで、年金にもいい効果が!「受給を65歳からではなく、66歳以降に"繰り下げ"ると年金額がアップ。例えば70歳からにすると、65歳からと比べなんと約1.4倍に。長く働き、繰り下げを賢く使えば、人生後半の手堅い安心が手に入ります」(長尾さん)。
「年金の繰り下げ受給」ってどんな制度?
「年金の受給開始は自己申告制。66歳以降にすると、年金額が1カ月につき0.7%増やせます。来年4月からは75歳まで延長でき、最大184%に。平均寿命がより長い妻の分だけでも繰り下げるのがオススメ」(井戸さん)。
3 介護にかかるお金は「介護保険」でまかなえることも!
介護のお金を貯めなきゃ……と過度な心配は無用。「介護に必要なリフォームやケア代は介護認定を受けると介護保険が使え、一部負担するだけです。むやみに自腹を切る必要はありません。"まず地域包括支援センターに相談"と覚えておいて」。(井戸さん)
4 子育てが落ち着いてから家計を小さく見直せば、充分ゆとりは生まれる
子の独立後は教育費や生活費も縮小し、老後資金づくりを加速できます!「まだ収入のある50代のダウンサイジングは宝の山。貯蓄は大きく伸び、年金生活の赤字も防げます」(井戸さん)。「定年後の収支をイメージしてみると、削る部分を相談しやすいはず。夫婦で少しずつ話し合って」(長尾さん)。
5 アラフィフ女子ならではのムダ買いに気をつければ、お金は守れる
更年期は体も心も揺らぎ、不安になりやすいのが落とし穴。「そこでサプリメントや化粧品に頼りだすと、毎月の出費がふくらみ続け、老後資金を減らします。気持ちはわかりますが、甘いCMに気をつけるだけで、残せるお金は多くなりますよ」(井戸さん)。
50歳からやっておくと安心リスト
□固定費の見直し
「保険料と通信費は削りどころ。子の独立後は、多額の死亡保障は不要です。格安スマホなら夫婦で1万円近く下がることも」(長尾さん)。
□分割払いをやめる
「ローンは借金。老後に"借りるクセ"を残すのはNGです。リボ払い、分割払いでよけいな金利を払う買い物もやめましょう」(井戸さん)。
□退職金(夫と妻)の確認
「退職金の受け取りは一括か年金かで税金が変わり、手取りも変化。会社の規定を確認し、どう使うかも検討しておくこと」(井戸さん)。
□持ち物を減らす
「最終的に介護施設に入るときは、1部屋分の荷物しか持てません。本当に必要な物を意識すると、支出が変わりますよ」(井戸さん)。
□「副業」を意識する
「会社の肩書がなくても働ける自分になると、定年後は強い!50代のうちに個人で勝負できるスキルやキャリアを磨いて」(長尾さん)。
参照:『サンキュ!』2021年8月号「別冊:50歳からでも間に合う」より。掲載している情報は2021年6月現在のものです。撮影/林ひろし 構成/竹下美穂子 編集/サンキュ!編集部