年収500万ダウン!激動の人生でも子ども2人を大学に行かせた私のやりくり法
2020/03/11
夫の転職で年収が500万円ダウンしても、最終的に子ども2人を無事大学へ。自分に合った疲れないやりくりで、小さな暮らしに変えたら、お金も貯まって生活も安定したAさん。普通のことをしっかり続ける、そのコツを聞きました。
<話を聞いた人>
Aさん(東京都 52歳)
夫(59歳)、長男(23歳)、長女(20歳)の4人家族。義父母から相続した築60年、3LDKの一戸建てに、15年から住む。Aさんは在宅で仕事。長男は今年4月から社会人に。
◎MONEYDATA◎
夫月収(手取り)約10万円
妻月収(手取り)約13万円
ボーナス なし
夫年収(手取り)約120万円
妻年収(手取り)約156万円
月貯蓄額 0~約10万円
総貯蓄額 3150万円
収入の増減を乗り越えられたのは「小さく一定に」暮らし続けたから
20代半ばで結婚し、月35万円の生活費をほぼ使い切っていたAさん。そんなバブリーな生活が9年間続いたある日、突然、夫が会社を辞めて、収入ゼロに。「次の仕事を探すでもなく、ボーッとしている夫を見て、一時は離婚も考えました」とお先真っ暗な状況に。
その後、夫は2回の転職を経て、4年前に自営業に。その間、収入は増減を繰り返しましたが、それに振り回されず、1回目の転職後、収入がいちばん少なかったときの暮らし方をキープ。「年収が500万円も減ったけど、ムダをそぎ落とした小さな暮らしにしたら使いたい放題だったころより、お金を使う満足感が得られるように。コンパクトな暮らしは身軽で快適ですよ。この先も今の暮らしを維持しながら、旅行などのお楽しみにお金を使っていきたいですね」。
Aさんの1カ月の家計表
<収入>
夫月収(手取り) 約10万円
夫は自営業なので月収は月によってバラバラ。0円のときもあり。
妻月収(手取り) 約13万円
<支出>
住居費 0円
義父母の家を相続して住む。自分たちが所有するマンションは、やっと片づけが終わり20年から賃貸に。
水道・光熱費 2万5000円
通信費(携帯電話3台、ネット)1万5000円
保険料(夫の都民共済)3200円
やりくり費(食費、日用品費)5万円
予備費 2万円
やりくり費は週1万円×5週=5万円。予備費はそれ以外の衣料費、医療費、本代、猫の餌代など。
夫小遣い 1万円
妻小遣い(デパート積み立て)5000円
<貯蓄>
残し貯め 10万1800円
Aさんの波瀾万丈なやりくりヒストリー
・年収800万円の夫とバブリー婚
生活費として夫から渡される35万円はほぼ使い切っていたが、年収が多かったので何も考えなくても貯まっていた。
〈'93・26歳〉
夫月収(手取り)45万円以上
妻月収(手取り)7万円
【総貯蓄額300万円】
・長男誕生。夫バリバリ稼ぐ
夫の仕事が絶好調に。「夫の稼ぎがよかったので、湯水のようにお金を使っても全然困りませんでした」。
〈'96・29歳〉
夫月収(手取り)45万円以上
妻月収(手取り)2万~5万円
【総貯蓄額600万円】
《何もやりくりしなくても勝手に貯まってた》
・長女誕生。A家の景気、最高潮時代
A家のバブル景気がピークに。妻は買い物ざんまい、夫は車、飲み会、家族旅行にバンバンお金を使いまくる。
《子ども服はほとんどブランド物》
〈'99・32歳〉
夫月収(手取り)45万円以上
妻月収(手取り)2万~5万円
【総貯蓄額1200万円】
《A家のバブルがついにはじける》
・夫、突然の退職&転職で年収が500万円もダウン
退職後、半年間、次の仕事が見つからず夫が無収入に。住宅ローン負担を軽くするための繰り上げ返済と生活費の補塡で貯蓄が激減。
ボーナスもゼロに!
【総貯蓄額300万円にダウン】
〈'02・35歳〉
夫月収(手取り)18万円
妻月収(手取り)5万円
【総貯蓄額300万円】
〈'08・41歳〉
夫月収(手取り)23万円
妻月収(手取り)7万円
【総貯蓄額300万円】
・月15万円の住宅ローンを返すため、死ぬ気でやりくり(涙)
低金利の住宅ローンに借り換えたが、月の返済額は変えずに完済を急ぐ。毎月のローン返済がきつく、自分の収入を増やして必死に乗り切る日々。
〈'09・42歳〉
夫月収(手取り)23万円
妻月収(手取り)13万円
【総貯蓄額300万円】
・苦しかった住宅ローンをなんとか完済
借り換えと繰り上げ返済を頑張ったおかげで、ついに住宅ローンを完済。「これでなんとかなると肩の荷が下りましたね」。
《'10 義父母の介護スタート》
・夫、二度目の転職
夫が再転職して月収が上がり、夫婦で月30万円稼げるようになったが、油断せずに家計を引き締めて少しずつ貯蓄。
・ローン完済後、ミニマムな暮らしをキープして一気に貯まる暮らしへ
ローン返済に充てていた15万円はそのまま貯蓄。子どもは2人とも公立高校に進学したので教育費がかからず、月々の貯蓄額もグンとアップ。年330万円貯められるように。
・長男の高校卒業時点で3560万円貯める
長男の中・高校在学中の6年間、年330万円の貯蓄をキープ。その中から株を買い、投資をスタート。ビギナーズラックで株の売却益500万円、保険の満期金と解約返戻金で780万円。合計3260万円分貯蓄が殖える。
〈'15・48歳〉
夫月収(手取り)23万円
妻月収(手取り)13万円
【総貯蓄額3560万円】
・夫、突然の脱サラ!&長男大学入学
養父母の介護が終わり夫が脱サラして自営業になるが、夫の収入は当てにしないで、自分の収入でやりくり。貯蓄から長男の大学進学費用を捻出。
〈'16・49歳〉
夫月収(手取り)約20万円
妻月収(手取り)約13万円
【総貯蓄額3460万円】
・夫、のんびり働くことを選択&長女大学入学
長女の大学進学費用で貯蓄が若干減る。長男の授業料は、貯蓄と大学の給付型奨学金でまかなう。
〈'18・51歳〉
夫月収(手取り)約10万円
妻月収(手取り)約13万円
【総貯蓄額3360万円】
〈'19・52歳〉
夫月収(手取り)約10万円
妻月収(手取り)約13万円
【総貯蓄額3150万円】
《NOW》
・今は家族4人、安定した暮らしを継続中
夫は自営業を続け、4月から長男は社会人、長女は大学3年生、妻の仕事も順調。いろいろあったけど、今はお金の不安はなし。
《猫を飼い始めました》
どんなに収入が下がってもこれだけは守りました
1.家計簿はシンプルに1日1行(費目も最低限)
ノートの左端に1日1行で日付を書き、横を食費、日用品費、子ども費、その他の費目に分けてその日の支出を明記。1日が1行、1カ月分が1ページに収まります。週1回まとめて記入。
2.週1万円やりくりでゆる~く管理
やりくり費は週1万円予算で、5週分の5万円を確保。毎週月曜日に財布に1万円を入れて、食費と日用品費が週1万円で収まればOK。右の家計簿には店名と金額だけを書きます。
3.反省タイムは月1回だけ
家計簿は月1回、月末に見直し。その時点で日用品のストックが余っていたら、ストックの買いすぎと判断して、翌月は買い控えます。とにかく赤字にならなければ合格。
大切なのは、こんな普通のことでした
夫が転職して年収が半分以下に。動揺したAさんを支えてくれたのは、日々の小さなことの繰り返しでした。人生、何があっても、どんなに激動でも、普通のことを続けることがきっと大切なんです。
自分に向いていない節約はさっさとやめる
年収が500万円も減った当初は、聞きかじった節約を手当たりしだいに実行。でも疲れるだけで、お金が貯まらない節約はやめました。
【Aさんがやめた疲れる節約】
・献立を考える
・1週間分の食材まとめ買い
・スーパーをハシゴする
・肉を冷凍保存する
献立に合わせて、必死にまとめ買いして食材を冷凍するより、冷蔵で食べ切れる分を買ったほうがラクだし、食品ロスが出ないことが判明。
夕飯は考えずに作れる物だけにしたら、疲れず食費も安定
夕飯は肉か魚、野菜、卵、汁もの、あとは豆腐か納豆でよし!と割り切ったら、献立を考える苦痛と作る面倒から解放されました。「定番の物しか買わないから、食費キープもラクですよ」。
1円単位を削るより、暮らしそのものを小さくしたほうが貯まる
夫の退職で収入が激減したとき、生活費を最低限に抑えることで危機を脱したAさん。その後、収入が増えてもその「小さな暮らし」を意地でもキープすることで貯め続けることに成功しました。
〝お得〞を追いかけすぎない
やみくもに節約していたころは、必死で「安さ」や「お得」を追い求めクタクタに。情報に振り回されるのをやめたら、かえってムダが減りました。
少しの得のために、時間と手間暇をかけるのはやめることに
「〝ポイ活〞にトライしたこともありますが、ポイントサイトの情報を集めたり、ポイントのお得な使い方を調べるのも大変で」。手間がかかる割にはメリットが少ないので、疲れてまでお得を追うのはやめました。
100円を「安い」と思う感覚を見直した
「前は安い=お得だと思っていたから、100円なら飛びついて買っていました。でもすぐに飽きたりして、100円がむしろ割高だったりすることも」。今は値段より本当に必要かどうかで判断します。
チラシを見ないようにしたら衝動買いが自然と減った
以前は、チラシをチェックして、曜日ごとの特売品を買うために毎日のようにスーパーへ。「特売だからと買っていたら、家にソースが10本もたまって(笑)」。今はストック用の調味料は買いません。
人の家と自分の家を比べない
隣の芝生は青く見えるものですが、よそと比べても仕方ありません。わが家に合ったやりくりを見つけることが大事です。
「ボーナスがない!」なら自分で積み立てればいい
やりくり費が余ったり、臨時収入があったときは、一部を封筒に入れて保管。何があってもここからは出さず、ボーナス時期までお楽しみに。「家族みんなで、気持ちよく使います」。
「みんなやってる」でも子どもの習い事は1人1つまでに
家計が苦しいときでも、子どもの習い事は継続。ただし1人1つまで。「好きなこと1つに集中できるし、時間もお金も有効に使えます」と習い事もわが家基準で。
不平不満を言う前に、自分が働いたほうが心は穏やかに
夫が転職して年収がガクンと減ったときは、夫に当たることも。「いくら文句を言っても、お金は入ってこないんですよね。自分が働いて稼ぐほうが、私には向いていると思い、自分の仕事量を増やしました」。
たまにはよい物を買ったほうが貯まる
節約のために安い物ばかりを買っていると、心が疲れてしまうことも。本当に欲しい物を手にして、やりくりエネルギーをチャージ。
ニセモノより本物を買ったほうが結局、満足度は高い
「欲しい指輪が高かったので、似たような安物を買って後悔したことがあります」。安い〝代用品〞を買うより、高くても本物を買ったほうが、モトがとれるお金の使い方に。
自分用のコスメはデパート積み立てでブランド品を購入
デパートの友の会で積み立てたお金で、前から欲しかったブランドコスメを購入。「友の会特典の割引があってお得だし、たまにはテンションの上がる買い物をするのもいいなと思っています」。
1人で抱え込まず、頼れるものには頼る
1人で悩んでいても、ぐるぐるから回りしがち。公共機関などの相談窓口を訪ねることで、解決の糸口が見つかることも。塾代や予備校代などにもサポートがあることがわかりました。
子どもの教育費は、助成金や給付金をしっかりチェック
給食費や修学旅行費の支払いが苦しかったときは役所に相談して、都の就学援助制度を利用。また大学進学時にも給付型奨学金を利用しました。「相談すれば、どこからか必ず救いの手が差し伸べられるものですね」。
苦しい住宅ローンも銀行にまめに相談すればなんとか返せる
住宅ローンの返済に行き詰まったときも、銀行に相談。低金利のキャンペーンローンを実施していることがわかり借り換えました。「おかげで返済のメドがつき、ものすごくホッとしました」。
Have a try!
□夕飯の献立を考えるのをやめてみる
□人の家と自分の家を比べるのをやめてみる
□たまにはよい物を買ってみる
参照:『サンキュ!』2020年3月号「疲れない節約、貯まる新常識」より。
撮影/キムアルム 編集/サンキュ!編集部
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