スマホを見る女性

スマホの使いすぎが招く危険な目のトラブルとは!?最悪手術が必要になるケースも

2023/11/23

便利な反面、使い過ぎによる目への影響が気になるスマホ。目の疲れや老眼のような症状を感じている方もいらっしゃいますよね。「スマホ老眼」という言葉も目にしますが、スマホ使用によって起こる眼の健康トラブルにはどんなものがあるのでしょうか。

医療法人社団久視会いわみ眼科の理事長である岩見久司氏に、詳しいお話を聞きました。

Q.「スマホ老眼」とはどのようなものですか

最近「スマホ老眼」という言葉が多く見受けられますが、必ずしも確立された概念ではありません。

通常の老眼は、ピント調節を司(つかさど)る目の中の水晶体というレンズが、固くなることで生じます。老眼になるとピントを寄せることが難しくなる他、一旦寄せたピントが戻りにくくなることもあります。

スマホの長時間使用によってピントを寄せる筋肉が固まって動きづらくなり、見かけ上、老眼のような症状が起こることがあります。医学的には「調節緊張」と呼ばれる状態ですが、これが「スマホ老眼」と呼ばれるものです。

また近視の人がメガネを外して近くのスマホを見続けると、同じピントの距離ばかり見ることになり、ピントの調節力が一時的に低下する「調節衰弱(ちょうせつすいじゃく)」に至ることもあります。

調節緊張はピントを寄せる筋肉が固まっていることが原因です。対策としては、ストレッチとしてこまめに遠くを見る「20-20-20ルール」がおすすめです。

これは「20分スマホを触ったら、20秒でいいので20フィート(6m先)を眺める」方法で、アメリカ検眼協会が提唱したものです。調節衰弱は、適切なメガネをかけてスマホを扱い、使っている間は「20-20-20ルール」のように休憩を挟むとよくなっていきます。

Q.「スマホ」が目によくないとされる理由はなんですか

極端に近いところでじっとものを見続けることが、目の負担になってきます。スマホだけでなく、読書やテレビゲームでも同じようになることがあります。

スマホは非常に気持ちを引きつける道具であり、手で持っていれば容易に触り続けてしまいます。スマホが我々の生活に欠かすことのできない便利な道具だからこそ、やりすぎで目に問題が生じやすいと言えるでしょう。

Q.「スマホ老眼」の他に、スマホの使いすぎで起きる目のトラブルはありますか

深刻な考えるスマートの顔に自信を持って式にレンガ壁表示スマート フォン上の若い中国の女性
AaronAmat/gettyimages

「スマホ斜視(しゃし)」というものがあります。「スマホ老眼」同様に確立された概念ではありませんが、ここでは便宜上このように呼ばせてもらいます。

近いところを見ようとすると、両目の間に見るものが近づいてきますので、寄り目に近い状態になります。寄り目の状態が続くと、目が内側に寄ったまま戻らない「急性内斜視(きゅうせいないしゃし)」になることがあります。初めて報告されたスマホ内斜視には、1日6時間以上のスマホ使用の背景がありました。

また、時々目が外を向く「間欠性外斜視(かんけつせいがいしゃし)」を持っている方も、スマホを近づけすぎると外斜視が悪化することがあります。

Q.「スマホ斜視」にならないために、どんな対策が必要ですか

スマホ使用中に適度に休憩を挟むことと、スマホの画面から顔を離して見ることです。スマホの画面が近ければ近いほど目は寄り目の状態になりますし、スマホ外斜視にもなりやすいです。少なくとも30cm以上はスマホの画面を離しての使用をおすすめします。

Q.「スマホ斜視」になってしまった場合、治すことは可能ですか

まだはっきりした治療方法は確立されていませんが、目の位置がおかしい・二重に見えると感じたら、まずは過度のスマホ使用を避けつつ眼科を受診することが必要です。

スマホの使用を減らしても治らないのであれば、斜視用の眼鏡の使用や、目を内に寄せる筋肉の働きを弱めるボツリヌス毒素の注射、手術が選択肢になってきます。

いずれにしてもスマホ斜視にならないようにするのがベストです。節度あるスマホ使用を心がけましょう。

教えてくれたのは・・・

岩見久司さん

医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長。1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁に行っている。加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医として、現在急増している網膜の病気に繋がる可能性がある小児の近視治療にも積極的に取り組んでいる。令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動を展開している。大阪市立大学医学部卒、眼科専門医、医学博士、兵庫医科大学非常勤講師。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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