胃痛に悩む若い女性

「不調がないから大丈夫」ではない…!?自覚症状がないまま進行する危険な「がん」とは

2024/03/30

自覚症状が出にくい「胃がん」。現在はとくに胃に不調はないという方も、注意が必要です。

「胃がん」の原因やなりやすい人の特徴、予防と早期発見のために大切なことなどを、四谷内科・内視鏡クリニック院長の高木謙太郎氏に聞きました。

Q.胃がんとはどのようながんですか

胃がんの90%以上は、胃壁の最も内側の粘膜上皮細胞から発生する「腺がん」です。さらに腺がんは、増殖の仕方の違いから「分化型胃がん」と「未分化型胃がん」に分けられます。

「分化型胃がん」は、がん細胞が腺管構造をつくりながらまとまって増殖するタイプの胃がんです。「未分化型胃がん」はパラパラと広がるように増殖するタイプであり、分化型胃がんに比べて悪性度が高いとされています。

未分化型には、増殖のスピードが速いことで知られる「スキルス胃がん」も含まれます。

Q.胃がんの原因にはどのようなものがありますか

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への感染が、胃がんの一番の原因です。

ピロリ菌は経口感染が主な感染経路だと考えられています。胃酸分泌が十分でない幼少期までに感染することが多く、ピロリ菌に感染している親から、食事などを介して子どもへ移る可能性があります。また、上下水道設備などの衛生環境が整っていない国や地域では感染率が高いともされています。

そのほか、塩分の過剰摂取、喫煙や過度のアルコール摂取も胃がんの原因と考えられます。

Q.胃がんになりやすい人には、どのような特徴がありますか

性別で見た発症数は2:1で男性に多い病気です。スキルス胃がんだけに限定すると、2:3で女性に多い特徴があります。

また、胃がんには家族歴が大きく影響しています。胃がんになった家族がいる人は、そうでない人と比べて男性で1.6倍、女性で2.4倍、胃がんになりやすいと報告されています。

しかし家族歴があっても、胃がんの原因が遺伝であるとは断定できず、ピロリ菌感染の影響や食生活・生活習慣が原因のこともあります。

年齢別死亡率を見ると40歳手前までは0に近いですが、45歳を過ぎたあたりから急激に増加します。これは幼少期に感染したピロリ菌により、長年胃の粘膜に炎症が持続することで45歳過ぎから胃がん(腺がん)を発症するからだと考えられます。スキルス胃がんは20代に発症する方もいます。

Q.胃がんの自覚症状にはどのようなものがありますか

がんができた部位によっては、胃に食べ物が入っていきにくかったり、胃の中に滞ったりすることから、胃の痛みや不快感・胸やけ・吐き気・食欲不振などの症状が現れます。

また進行した胃がんにおいては、出血に伴う貧血症状として、ふらつきやめまい・動悸・息切れなどが起こり得ます。

ただし、胃がんの自覚症状が早い段階で出現することは少ないです。がんが進行した場合でもほとんど症状がみられない場合もあります。

Q.胃がんを早期発見・予防することはできますか

胃がん検診のイメージ
masamasa3/gettyimages

胃がんを早期発見し、予防するためには以下のポイントに注意してください。

1.定期的な検診
とくに40歳以上の方は、年に一度の胃がん検診の受診をおすすめします。早期のがんは症状が出にくいため、検診で発見することが重要です。

2.ピロリ菌感染の対策
ピロリ菌は胃がんのリスクを高める要因のひとつです。感染予防のために、食事においては親子間での口移しの食事などは避けましょう。また、適切な衛生習慣も大切です。

3.食生活の改善
塩分のとり過ぎや加工食品の摂取を控え、バランスの取れた食事をしましょう。食物繊維を豊富に含む野菜や果物の摂取も心がけてください。

4.禁煙と適度な飲酒
喫煙は胃がんのリスクを高めます。禁煙と適量の飲酒を心がけましょう。

5.ストレスの管理
ストレスは免疫力を低下させる要因となります。適切な休息とストレスの軽減をしましょう。

教えてくれたのは・・・

高木 謙太郎院長

2022年5月2日に四谷で「予防医学を世の中に広め、健康寿命を伸ばし社会に貢献する」を理念に新規開業。専門的で高度な医療を提供することは当然のこと、人と人との繋がりを大切にし、心の通った医療を提供することをモットーに地域医療を行っている。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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