食パンとフランスパン、太りやすいのはどっち?同じパンでもじつは太りやすさがぜんぜん違うんです!
2024/03/04
「食パン」と、バゲットやバタールなどと呼ばれる「フランスパン」、どちらも同じパンですが、じつは太りやすさに違いがあるんだとか。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、食パンとフランスパン、どちらが太りやすいのかについて解説してもらいます。
炭水化物(糖質)の割合が多いのはフランスパンだけど……
ともにパンを代表する種類である「食パン」と「フランスパン」。どちらも同じく小麦粉を主原料として発酵させて焼いたものですが、原材料や水分量などに違いがあります。
日本では食パンの材料として牛乳、脱脂粉乳、バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂を含む食材を加えてつくられることが多くなっています。これらを加えることによって、ソフトな食感を生み出し、水分を多く含んでしっとりとした仕上がりになるのが特徴。
一方、フランスパンは小麦粉・パン酵母・塩・水だけでつくられているため、脂質の含有量が食パンよりも30%以上も少なくなっています。それに加え、噛み応えのあるハードな食感が生まれるのです。
ただし、同じ重量で比較した場合、カロリーはフランスパンのほうが高くなっています。理由としては、水分含有量が少ない分、フランスパンは炭水化物(糖質)の割合が多くなっているから。
太りやすさを左右する要素は“見た目”にあり!?
以上のことから、糖質を減らした食事を心がけている人にとっては食パンのほうが有利といえます。しかし、食べ物の太りやすさを左右するのは、成分上の数値だけではありません。食べる量も重要になります。
同じ重量で見た目を比較した場合、水分量が1.3倍ほど多い食パンのほうが体積が小さくて済み、水分量が少ないフランスパンは大きくなります。つまり、フランスパンのほうが見た目の満足感がいくらか高くなると言えるのです。
食パン6枚切り1枚が約60gに対し、フランスパンを2cm幅でカットしたもの2枚は約50g。これは、一般的な1食当たりの量とされていますが、総重量が軽いフランスパンはこの量でも見た目、食べ応えともに十分に感じられます。
ちなみに、1食当たりの重量に相当するカロリーは、食パンが156kcalなのに対し、フランスパンは140kcalとなるため、満足感が高いうえにカロリーを抑えることもフランスパンであれば可能になるのです(※)。
※……同じ測定法で比較するため、「日本食品標準成分表2015(七訂)」の数値を参照しています。
満腹感の得やすさにも差が出る?
そのほかにも「太りやすさ」に大きく関わってくるのは、両者の食感の違い。
食パンは型に入れて焼き上げ、ふんわりとやわらかい食感が特徴です。さらに、トースターなどをつかって表面をカリっと焼き上げて食べられることはありますが、中はやわらかい食感が残っていたり、硬くても食べやすいことが多いです。
それに対し、フランスパンは食パンと比べて水分量が少なく、そのまま食べても表面にバリっとした食感があり、中はもっちりとして弾力を強く感じます。
通常、人が満腹感を得るためには、時間をかけて食べる必要があります。よく噛むことによって、満腹中枢を刺激するヒスタミンというホルモンの分泌量が少しずつ体内で増加していくからです。一般的には20~30分ほどかかるとされているため、食べるのに時間がかかるほど食べすぎを防げるということに。
ふんわりと食べ進めやすい食パンの場合、1枚を食べ終える時間は短時間で済ますことができます。反対に、噛み応えがあり1切れを食べるだけであごをよく動かすフランスパンの場合は、同じ時間内に同じ量を食べることはむずかしくなっています。
実際にそれぞれを食べたときの噛む回数を比較したデータでは、食パンより1.7倍以上噛む必要があることが示されています。これは、普段食べ慣れていない人にとっては「あごが疲れる」と感じる要因にもなっています。
食パンを「太りにくく」食べるコツは?
とは言え、「食パンをやめてフランスパンを食べればいい!」というのは極端すぎるし、現実的ではありません。
そこで筆者が提案したいのが、太りにくくするひと工夫。
たとえば、できるだけ一口に含む量を減らす――具体的に言えば、厚切りの食パンを口いっぱいにかぶりつくのではなく、薄切りの食パンを選んで500円硬貨くらいの大きさにちぎって少しずつ食べることで、相対的に噛む回数を多くすることができ、結果として少ない量の食パンでも満腹感を得やすくなるのです。
それに加えて、
・ライ麦の粒やくるみ、雑穀、ごま入りの種類を選ぶ
・細く切ってカリカリに焼く
などの工夫もすれば、噛み応えが増してより健康的に食パンを楽しむことができるでしょう。そのまま食パンを焼くよりも、細く切るなどして表面積を増やしてから焼くことで食パンの水分量が減りやすくなり、フランスパンに近い硬めの食感に近づけることが期待できます。
「フランスパン」なら全部OK!というわけではありません
なお、誤解してほしくないのが、「フランスパン」であればどんな食べ方でも大丈夫というわけではないということ。
食パンにも言えることですが、バターやジャムなどをトッピングして食べてしまうと、脂質や糖分の摂りすぎで一気に太りやすい食べ物に変わってしまいます。
また、時間が経って硬くなったフランスパンをフレンチトーストにして食べる人もいますが、これも太りやすい食べ方なので要注意。硬くなったフランスパンの処理に困ったときは、クルトンにつくり変えることをおすすめします。
クルトンのつくり方は、フランスパンをサイコロ状に切り、テフロン加工のフライパンへ入れて弱~中火で熱しながらカリッとするまで炒るだけ。お好みでオリーブオイル、にんにく、バジルなどを加えることもできますが、フレンチトーストを焼くときほど油を使わないのでカロリーを抑えることが可能になります。
ぜひ、紹介した内容を参考に、太りにくい食べ方を取り入れてみてはいかがでしょうか。