「キャベツ」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいキャベツのメリット&デメリット
2024/03/02
サラダに使われたり、千切りにして揚げ物に添えられるキャベツは、ヘルシーなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
そんなキャベツに含まれる栄養素には、役立つ作用がある反面、とりすぎてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、キャベツの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。
消化促進やアンチエイジングに!キャベツを食べる「メリット」
キャベツの種類は、一般的に出回っている表面が緑~黄緑色をしたのものから、表面が紫色をした「レッドキャベツ」(紫キャベツ)、ピンポン玉くらいの大きさの脇芽を食べる「芽キャベツ」などに大きく分けられます。
いずれも葉が巻くように重なっていて、ビタミンK、ビタミンC、葉酸、食物繊維などの栄養素を多く含むという特徴があります。これらには、骨や歯を丈夫にしたり、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強め、腸内環境を整えるなどの働きが期待できます。
それ以外にも、ビタミンU、イソチオシアネート、ジアスターゼといった特有の成分も含まれています。ビタミンUは、「キャベジン」とも呼ばれて胃薬の成分に使われることもあり、以下のような働きが期待できます。
・胃腸粘膜の新陳代謝を活発にし、胃や十二指腸の潰瘍を予防・治癒する
・胃もたれ、胸やけを予防する
また、イソチオシアネートは、アブラナ科の植物に含まれる成分(グルコシノレート)から生成され、以下のような働きが期待できます。
・消化を促進する
・強力な抗酸化作用によって活性酸素から細胞を守る
・発がん物質を解毒する酵素の活性を高める
さらに、ジアスターゼは、大根おろしにも含まれている酵素で、次のような働きが期待できます。
・でんぷんを分解し、消化を促進する
・胃酸過多、胃もたれ、胸やけを予防する
古代ギリシャやローマの時代から薬用として食べられていたとされるほど、健康効果が豊富なキャベツ。上手にとり入れることで、生活習慣病を予防したり、美容に役立てることができるでしょう。
おならや甲状腺機能に悪影響も?キャベツを食べすぎる「デメリット」
多くのメリットが得られるキャベツですが、過剰に摂取したり体質によっては思わぬデメリットが生じることもあります……。
下痢や便秘などの不快な症状を招く
腸内環境を整え、便秘解消に役立つ食物繊維ですが、とりすぎによっては逆効果を生むことも。
食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と溶けにくい不溶性食物繊維があります。そのうち、キャベツには不溶性食物繊維のほうが多く含まれています。
不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸に刺激を与える作用がありますが、水溶性食物繊維が不足していたり不溶性食物繊維の割合が高すぎてしまうと、便の水分が少なくなって硬くなり便秘や腹痛などの原因となることがあるのです…。
また、食物繊維は消化に時間がかかるため、体調や体質によっては消化不良を起こします。すると、下痢や胃もたれなどの症状が現れることも。
いくら消化を助ける成分がキャベツには含まれているとしても、食べすぎてしまうと逆効果になる点に注意しましょう。
おならが臭くなりやすい
キャベツから生成されるイソチオシアネートは健康効果の高さで注目されていますが、おならのにおいの元となる硫黄(いおう)を含んでいます。
そのため、キャベツそのものは臭わなくても、腸内で分解されたときににおいを発生させて、おならのにおいを強くするといわれているのです。また、先述したように便秘を引き起こすことによっても、腸内環境が悪化してにおいが強くなる傾向があります。
一般的には、動物性たんぱく質を多くとったときににおいが強くなりやすいですが、キャベツを多く食べた後にも注意しましょう。
甲状腺機能を低下させる
キャベツなどのアブラナ科野菜を多量に摂取すると、甲状腺機能が低下する可能性があります。
キャベツに含まれるグルコシノレート(イソチオシアネートに変化する成分)は、甲状腺ホルモンの生成に必要な栄養素であるヨウ素の吸収を邪魔するといわれているからです。
甲状腺機能が著しく低下すると、むくみ、全身のだるさ、無気力、疲労感、寒がり、体重増加、ひどい物忘れなどの症状がみられ、日常生活に大きく支障をきたします。
キャベツを楽しむ量とタイミングは?
上記のとおり、キャベツに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。
そこでここからは、日本人の食事摂取基準(2020年版)の数値を参考に、キャベツを楽しむ量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?
まずは、1日に必要とされる食物繊維の量から、キャベツの適量について検証してみましょう。
18~64歳における一日あたりの食物繊維の目標量は、男性で21g以上、女性で18g以上と設定されています。
一般的な生のキャベツに含まれている食物繊維は、100gあたり1.8g。そのため、仮にキャベツだけで男女平均のおよそ20gを満たす量を求めると、キャベツおよそ1,100gという計算になります。これは、1玉分に相当する量です。
一方で、おならのにおいを強くしたり、甲状腺機能に影響が心配されるグルコシノレートやイソチオシアネートといった硫黄を含む成分についても検証してみます。
どれだけの量がにおいに影響するかを調べたデータが見つからなかったため、そちらは言及できませんが、甲状腺機能に影響を与える量については、数カ月間、毎日生のキャベツを1玉食べ続けるようなケースで起こったと報告されています。
ただし、こういった量以外にも考えてほしいのが、実際に1kgほどのキャベツを食べると体感としてどうなるかということ。キャベツには食物繊維が多く歯応えがあってよく噛まないと飲み込みにくく、あごが疲れやすくなることが予想できます(加熱よりも生食で顕著)。また、水分を吸って食物繊維が胃腸内で膨らみ、かなりの満腹感が得やすくなるということも考えられるでしょう。
つまり、キャベツを1玉も食べてしまうとほかの食品を取り入れにくくなり、食事全体の栄養バランスが大きく偏る可能性があるのです。
キャベツ1玉で食物繊維は1日分補えたとしても、ビタミンAやビタミンEなどのビタミン類や、鉄、亜鉛などのミネラルなどがとくに不足してしまうことに…。
野菜の適量については、国民の健康増進を目的として定められた「健康日本21(第2次)」の中で、成人1日あたり350g以上が目標とされ、そのうち緑黄色野菜が120g以上を占めるのが望ましいと示されています。このなかで、キャベツは緑黄色野菜には該当しないため、1日に230g(キャベツおよそ1/4玉分)食べることで目標を満たすことに。
これくらいの量に収めておけば、主食、主菜などから炭水化物やたんぱく質も必要量とることができ、栄養バランスを整えやすくすることができるでしょう。
どのタイミングで食べるのがいい?
キャベツには、食後の血糖値上昇をゆるやかにする働きのある水溶性食物繊維も含まれています。
そのため、食べるタイミングとしておすすめなのが、食事の最初。
このタイミングでキャベツをよく噛んで食べると、満腹中枢が刺激されやすくなり空腹感を和らげることが期待できます。それと同時に、いっしょに食べるほかの料理の食べすぎを抑えることができるでしょう。
また、食物繊維によって食後の血糖値の上昇とともに、次の食事の血糖値上昇も抑えることに役立ちます。
これは「セカンドミール効果」と呼ばれるもので、腸内細菌によって食物繊維が分解されることでインスリンの働きを強めてくれる成分が生成されることが影響していると考えられています。
朝食に多くとれば昼食、昼食に多くとれば夕食、といった具合に次の食事の急激な血糖値上昇を抑え、糖尿病の予防だけでなく脂肪の蓄積を抑えて肥満の予防にもにつながるでしょう。
あまり現実的ではありませんが、キャベツを間食に食べることも次の食事に好影響を与えることが期待できるといわれています。
なお、キャベツのメリットをできるだけ得たいのであれば、加熱によって失われやすい成分が多いため生食を。なるべくかさを減らして一度に多く食べることを優先するのであれば、さっと加熱して食べるようにしてはいかがでしょうか。
正しい量が把握できていれば、キャベツはメリットが多い食品です。キャベツのメリット・デメッリトを理解し、上手にとり入れていきましょう。