「パン粉」がないときに代用できる食材は?意外な食材が役立つ&おすすめの使い方も紹介【管理栄養士が解説】

2022/07/30

レシピをチェックしていざ料理をつくろうとしたところ、必要な食材が切れていた……なんてこと、だれしも一度は経験があるでしょう。でもその食材、もしかしたら代用できるかもしれません!

今回ご紹介するのは「パン粉」の代用アイデア。コロッケやフライなどの揚げ物の衣や、ハンバーグのつなぎなどによく使われているパン粉。

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、パン粉の代用アイデアを紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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「パン粉」の原材料は?

一般的な市販のパン粉は、

・小麦粉
・パン酵母(イースト)
・糖類(ブドウ糖など)
・食塩
・油脂(ショートニング、ファットスプレッドなど)

が原材料となっています。これらは、ふっくらとしたパンを焼くために必要な材料で、そのパンを砕いたものがパン粉となります。

商品によってはこれに加えて、

・イーストフード
・増粘剤
・乳化剤
・着色料

などが使われることもあります。

パン粉の代用になる食材は?

代用パン粉の食材は、いくつか考えられます。今回、筆者が用意したものは以下の5つ。

・麩
・食パン
・高野豆腐
・天かす(揚げ玉)
・柿の種(あられ菓子)

おろしたり砕いたりすることでパン粉の形状に近くなると考えたため、これらを代用パン粉として利用してみることにしました。

つくり比べてみた結果……

それぞれの代用食材は次のように加工しました。

【麩】【食パン】【高野豆腐】……おろし金ですりおろす。

【天かす】【柿の種】……すり鉢でつぶす。


【麩】【食パン】【天かす】については、パン粉と同じ小麦粉、【高野豆腐】は大豆、【柿の種】は米が原材料となっています。原材料の異なるこれらを使ってコロッケとハンバーグをつくり、それぞれ検証してみました。

代用パン粉の調理時のポイント

・いずれの食材も、フードプロセッサーにかけて代用パン粉に加工することが可能です。また、硬さのある【高野豆腐】【揚げ玉】【柿の種】については、ミルサーの使用も可能です。

・今回はやわらかい状態の食パン(購入してすぐのもの)を使用しています。扱いやすさを考えると、乾燥させたり冷凍したものを使用することもおすすめです。

・【柿の種】は硬さが気になったため、コロッケ用は粗めに、ハンバーグ用には細めにつぶし使用しています。

A:衣(コロッケ)の利用で比較

コロッケの具にはじゃがいもと塩こしょうのみを使用し、薄力粉、溶き卵をまとわせてから代用パン粉をまぶし、それぞれを揚げました。

パン粉を使用したものと比較したものが、写真の通りです。上段中央から時計回りに、【天かす】【高野豆腐】【食パン】【麩】【柿の種】となっています。

調理時の違いは?

この中では【食パン】がとても焦げやすかったです。パン粉と同じ感覚で揚げると、あっという間に黒っぽくなってしまうので、扱う際は注意が必要でした。次いで、【天かす】が色づきやすくなっていました。

反対に【高野豆腐】は色づきに時間がかかりました。もともとの食材の色が濃い【柿の種】は、思っていたよりも焦げる心配はありませんでした。

食べてみた評価

揚げ物の衣にパン粉を使う理由に、サクッとした食感になることが挙げられます。

この中で一番サクッと感じたものは、【高野豆腐】でした。【麩】【食パン】は、見た目ほどサクッとした食感は得られず、時間が経つとしんなりしていました。

なお、より硬めのザクザクとした食感に仕上がったのは、【天かす】【柿の種】でした。こちらはもともとの食材に硬さがあることが影響していると考えられます。食べごたえが出るので、個人的には好みでした。

また、【高野豆腐】については、粒が細かいため、この食材の中では一番油を吸わずヘルシーに仕上がるメリットがあります。大豆の香りが感じられたので好みが分かれる可能性も。

B:つなぎ(ハンバーグ)の利用で比較

ハンバーグには豚ひき肉、塩こしょう、ナツメグを使用し、代用パン粉に牛乳を加えたものと一緒に、それぞれこねて焼きました。

パン粉を使用したものと比較したのが、写真の通りです。上段中央から時計回りに【高野豆腐】【食パン】【麩】【柿の種】【天かす】を使用したものを並べてみました。

調理時の違いは?

牛乳を加えた際に、吸収率に差が見られました。一番吸い込みが良かったのが【麩】、次いで【高野豆腐】となっていてまとまりやすく感じました。反対に、吸い込みが悪くまとまりにくかったのが【天かす】です。【柿の種】もその次に吸収率が低くなっていました。

また、焼いている際の焼き色の違いにも差がありました。焼き色がつきやすい順に、【柿の種】【天かす】となっていました。これらは、表面だけが色づいて中まで火が通らず生焼けになりやすいため、蓋をして蒸し焼きするなどの工夫があるといいと思います。

食べてみた評価

一番ふんわりとした食感に仕上がったのは【食パン】でした。今回使用したパン粉が乾燥タイプだったため、やわらかく水分の多い食パンを使ったことで生タイプのような仕上がりになったのだと考えられます。

なお、中がしっとりとやわらかく仕上がったのは【天かす】【柿の種】でした。【天かす】の方がよりやわらかく、【柿の種】は食感以外にも表面がカリッとなっていたのが特徴的でした。

【高野豆腐】については、コロッケ同様に大豆の香りが感じられました。もっと香辛料などを利かせたり、ソースをかければ気にならない程度だと思います。

代用パン粉の結論……「柿の種」が優秀!

筆者個人の感想としては【柿の種】が優秀だと感じました。【柿の種】そのままでは、ピリッとした辛みや塩気があるのですが、つぶして代用パン粉として使用すると気にならなくなるのです。

とは言え、いずれの食材も代用パン粉として使うことができると言えます。自分の好みの仕上がりなどに応じて選ぶとよいのではないでしょうか。

今回は開封してすぐの食材を使っていますが、開封して時間が経って湿気てしまったものの有効活用としておすすめできるかもしれません。

代用パン粉のおすすめの楽しみ方

今回の検証で余った代用パン粉。揚げ物や肉料理ばかりに使うのは……ということで、夏野菜を使ったパン粉焼きに利用してみました。

ナス、ズッキーニ、パプリカ、トマトなどを何種類かスライスして耐熱容器に並べ、上から溶けるチーズと少々の油をからめたパン粉を振りかけ、200℃のオーブンで10分ほど焼き色がつくまで加熱してつくることができます。揚げ物よりも油の使用量が少ないのであっさりとした仕上がりになりますが、代用パン粉のカリカリ、ガリガリとした食感が存分に楽しめます。

そのほか、同じように薄力粉を使ってつくるクッキー、ドーナツ、ケーキなどに使うことも可能。パン粉、バナナ、オイルを練り合わせて成型し、トースターで15分ほど焼けば手軽にソフトクッキーをつくることも。


パン粉がないときはもちろん、食材が余ったときにも代用パン粉として活用してみてはいかがでしょうか。

■執筆/監修・・・

管理栄養士・ゆかりさん

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとしても活動。

 
 

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