「オートミール」は食べすぎても大丈夫?知っておきたいオートミールのメリット&デメリット
2022/08/27
オートミールはダイエットや健康維持に役立つ……とはよく聞く話ですが、オートミールに含まれる食物繊維は、役立つ作用を多く持つ反面、摂り方を間違えてしまうと思わぬデメリットを招くこともあるんだとか。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、オートミールの摂り過ぎによって体にどのような影響が及ぶのかについて紹介してもらいます。
食べ過ぎ防止、腸内環境改善!オートミールの「メリット」
オートミールは燕麦(えんばく)という麦の一種を食べやすく加工したもの。水分を加えて加熱することで主食、スープ、スイーツなどとして食べられている食材です。
オートミールを食べることで、いつもよりお腹が空きにくくなったり、排便の回数が増えてお腹がスッキリとしたりした経験のある人もいるのでは?それらは、オートミールに豊富に含まれている食物繊維の作用なのです。
食物繊維とは消化酵素で分解されない成分で、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」に分けられます。それぞれの食物繊維は、次のような作用があります。
■水溶性食物繊維
・胃腸内をゆっくりと移動することで、空腹を感じにくくなる。
・糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の上昇を抑える。
・コレステロール、糖、ナトリウム(塩分)などを吸着して体外に出す。
・腸内のビフィズス菌などを増やして、腸内環境を整える。
■不溶性食物繊維
・胃や腸でふくらみ、便の量を増やして排便を促す。
・有害物質を吸着し、体外に出す。
・腸内のビフィズス菌などを増やして、腸内環境を整える。
・食材に噛み応えを与え、噛む回数を増やして満腹感を得やすくする。
なお、これらはどちらか一方の食物繊維だけをとればよいというものではなく、バランスよくとることでより効果が期待できるとされています。理想的な比率は、水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2。オートミールには、それぞれが3.2gと6.2g含まれているため、非常にバランスがいいのです。
じつは高カロリー!?オートミールの「デメリット」
日々生活するうえで多くのメリットが得られるオートミールですが、過剰に摂取すると個人の体調などによっては思わぬデメリットが生じることも……。
そのひとつが、便秘、軟便、下痢といった腹部症状が現れること。食物繊維には便の水分やかさを増やす作用がありますが、摂取量が多過ぎるとこれらの不快症状を招く原因になってしまうのです。
また、食物繊維は体に必要なミネラルを吸着する作用も持っています。そのため、摂取量が多くなることでミネラル(カルシウム・鉄・亜鉛・銅など)の体内への吸収を妨げてしまうことも。
そもそも、オートミールは1食あたりの量は少ないですが、決してカロリーが低いわけではない(100gあたりで比較すると、玄米、白米、薄力粉と大差がなく350kcalも含んでいる)ので、食べ過ぎると想像以上のカロリー摂取になる恐れが。
また、甘い味付けをして食べる場合はさらにカロリーや糖質量が高くなるため、ダイエット中などの人はそういった食べ方に注意しましょう。
オートミールは1日にどれくらい食べるのがおすすめ?
上記のとおり、オートミールにはメリットとデメリットの両方があります。ただし、摂取量が適量の範囲であればそれほど心配する必要はありません。
ここからは、オートミールを安心して食べられる量とタイミングについて解説していきます。
健康な成人は1日に何グラムが理想的?
オートミールの健康効果は食物繊維によるものが大きいのですが、前述のとおり摂り過ぎは逆効果。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、男性が18~64歳は21g以上、65歳以上は20g以上、女性が18~64歳は18g以上、65歳以上は17g以上が、1日あたりの食物繊維摂取目標量となっています。
オートミール以外の料理も食べることを考えれば、この目標量の半分くらいが適量といえそうです。計算すると、100gあたり9.4gの食物繊維を含むオートミールは1日100gくらいに収めるのが理想的。
もちろん、これはあくまでも理想的な数値ですので、個人の体質や食べるときの体調に合わせて加減をするのが大切です。また、一度にこの量を摂るのではなく食事や間食で数回に分けたり、徐々に量を増やしたりして様子を見ることもおすすめします。
ちなみに、オートミールのレシピでは1食で30gくらいが目安と紹介されていることが多いです。オートミールを食べた直後は物足りなくても、水分を多く摂りしばらく時間が経つことで満腹感が得やすくなるので、1食分として参考にしてみるといいでしょう。
オートミールを食べるのに最適なタイミングは?
食物繊維の注目すべき作用として、「セカンドミール効果」もあります。これは、食物繊維を多く含む食事をすると、次の食後の血糖値の上昇を抑えるというもの。食べたばかりの食後の血糖値も上げにくくしてくれるので、ダイエット中や血糖値が気になる方には朗報です。
ぜひ取り入れてほしいタイミングは、朝食か昼食。一般的に昼食や夕食は食べる量が多くなったり高カロリーになったりしやすいため、その前の食事でオートミールを取り入れておくことで血糖値とともに、食べ過ぎも抑えてくれることが期待できます。
もちろん、夕食や間食でオートミールを食べてもいいのですが、寝る直前の夕食や夜食は避けた方がいいでしょう。なぜなら、食物繊維が多く含まれることで消化に時間がかかりやすく、睡眠の質を低下させることが考えられるからです。
適量の範囲であれば、メリットが多いオートミール。そうはいっても、オートミールの健康効果を期待するのであれば、ほかの食材もバランスよくとり入れることもお忘れなく。
メリット・デメリットを理解し、上手にオートミールを活用しましょう。