エアコンから出る風が、なんだかちょっと臭うなと思うことはありませんか?ホコリ臭いようなカビ臭いような、そんな臭いがしてきたら、エアコンの送風ファンが汚れている可能性がありますよ。
送風ファンは、吹き出し口を覗き込まなくては見えませんから、普段はあまり気にしていない場所かもしれません。ちょっと臭いがするな?と確認してみて初めて、黒い汚れがビッシリとついていることに気づき、驚くこともあるでしょう。でも、どうやって掃除をしたらいいの?とちょっと考えてしまう場所ですよね。
この記事では、エアコンの送風ファンが汚れてしまう要因や掃除をしなかった場合のリスクを説明。送風ファン掃除のための準備と掃除の仕方や掃除の際の注意点、そして汚れの予防法などを詳しく解説しています。
エアコン送風ファンを正しい方法で掃除して、エアコンを快適に使いましょう。

エアコンについている送風ファンとは?
送風ファンとはエアコンの吹き出し口周辺にあるもので、シロッコファンとも呼ばれています。
シロッコファンと聞くと、キッチンの換気扇を思い出す人も多いでしょう。本来は換気扇などのファンをそう呼びますが、細長い板状の羽根が筒状に繋がっている形が似ているため、エアコンの送風ファンもシロッコファンと呼ばれることが多いのです。
エアコンから出てくる風は、必ずその送風ファンを通ってきます。ファンが汚れていると、エアコンから室内に汚れをふりまくことにもなります。きれいな空気のためには、ファンの掃除も大切ですよ。
エアコンの送風ファンが汚れてしまう3つの要因
キッチンのシロッコファンなら、すぐ下から油を含んだ蒸気が上がりますから、ファンに汚れがつきやすいのもよくわかります。ですが、そんなことのないエアコンの送風ファンに汚れがついてしまうのはなぜでしょうか?ファンが黒く汚れてしまっている場合、主な要因は以下の3つです。
1:ホコリによるもの
2:結露によるカビ
3:タバコの煙によるもの
ひとつだけの要因で汚れているばかりではなく、複数の要因が重なっていることもあります。いずれの場合も、汚れに気づいたら早いうちに掃除をしてしまいましょう。
1:ホコリによるもの
エアコンには、ホコリを防ぐためのフィルターがついていますが、すべてのホコリを完全に防げるわけではありません。
フィルターで防ぎきれなかったホコリはエアコン内部に入り込み、送風ファンに付着してしまいます。また、フィルターにホコリが溜まりすぎたままだと、一部がエアコン内部に侵入してしまうということも起こりえます。
まずはエアコンフィルターのホコリを定期的に取りのぞき、きれいにしておくことが大切ですね。
2:結露によるカビ
エアコンは運転中に、温かい空気を冷たくしたり、冷たい空気を温めたりなどの作業を絶えず行っています。
送風ファンの周りには温かい空気と冷たい空気の両方が通るため、ファン周辺の温度差によって結露が発生したり湿気が溜まりやすくなったりします。
暖かく湿気がある場所は、カビが発生しやすい場所。カビが黒い汚れとしてファンに付着してしまいます。エアコンを使用していなくても、室内の湿度や温度が高ければ、カビは発生してしまいますよ。
3:タバコの煙によるもの
室内で喫煙する人がいる場合、エアコン内部にはタバコの煙も入り込んでしまいます。
タバコの煙には茶色い汚れを発生させる主な原因であるヤニが含まれ、送風ファンが汚れる原因のひとつとなりますよ。
タバコの煙はファンの汚れとなるだけでなく、エアコンに嫌な臭いがつく原因にもなります。定期的に掃除をして、ヤニを取り除くようにしましょう。また、エアコンの近くではタバコを吸わないようにするなどの対策で予防しましょう。
エアコンの送風ファンを掃除しなかった場合のリスク
送風ファンは、普段から見える場所ではないため汚れに気づかず、掃除をしなくても気にならないことも多いですよね。汚れが見えなくても、エアコンの風が臭うなと感じることはありませんか?それは、エアコン内部のカビやホコリの臭いです。
エアコンの送風ファンを掃除しなかった場合、汚れが溜まってきてしまいます。汚れが溜まると不衛生というだけでなく、思わぬトラブルを引き起こすこともありますよ。そのリスクは以下の3つです。
・故障による修理代がかさむ
・電気代が高くなる可能性がある
・カビによる健康被害のリスク
それぞれを解説していきます。
故障による修理代がかさむ
送風ファンについた汚れをそのまま放置しておけば汚れが溜まり続け、モーターに負荷がかかるなどエアコンに負担をかけます。
また、ホコリの蓄積はエアコンだけでなく、すべての電化製品の故障原因のひとつです。ホコリが動作の抵抗となり、必要以上に熱が発生するなどトラブルの原因になるのです。
エアコンが故障すれば、修理代などの費用がかさみます。故障してから「掃除をしておくんだった」と後悔しないように、定期的な掃除が大切ですね。
電気代が高くなる可能性がある
送風ファンに汚れが溜まっている状態では、風の通りが悪くなってしまいます。そうすると、空気の熱交換が非効率的になり、結果として電気代が高くなる可能性がありますよ。
エアコンの使い方は変わっていないのに、以前より電気代が上がったと感じるなら、汚れが溜まっているのかもしれません。
なお、電気代が上がる原因には、外の気温や冷却装置が弱っているなどの状況による場合もありますので確認が必要です。
カビによる健康被害のリスク
送風ファンにカビが付着していると、エアコンの風に乗ったカビが部屋の中に広がることになります。
それを放置していると、大量のカビの胞子を吸ってしまいます。人間の体に害を与えるカビの場合は、健康に影響を及ぼしてしまうことにも。
特に、お年寄りや小さな子ども、アレルギー体質の人などは気をつけるに越したことはありません。健康な人であっても、カビの混じった空気を吸い続けるのは嫌ですよね。掃除をしてカビを取り除きましょう。
エアコン送風ファンの掃除前に準備したいこと
送風ファンが汚れていることによるリスクを知ってしまうと、すぐにでも汚れを取り除きたくなってきます。
送風ファンの掃除を始める前には、きちんと下準備をしておきましょう。エアコンは比較的電力をたくさん使う家電ですから、電源が入ったまま作業をすると、感電など大きなトラブルを起こすこともありますよ。
また、エアコンは高い場所にありますから、洗剤や汚れが下へ垂れてくる可能性もあります。どちらも途中で慌てないように、しっかりと対策をしてから掃除へ取りかかりましょう。
送風ファンを掃除する前にしておく準備を説明していきますよ。
コンセントを抜いておく
掃除の前には、必ずエアコンの電源を切りましょう。リモコンでのオフでは、途中何かの拍子に電源が入ってしまうこともあります。そういった間違いが起こらないように、電源を切ったうえでコンセントも抜いておくのが安全です。
エアコンは大きな電力を使いますから、感電する危険性もあります。そんなことにならないように、掃除の前にはコンセントを必ず抜いておきましょう。
エアコン周りの養生を行う
エアコンに洗剤を吹きかける際、その洗剤が下に垂れたり周りに飛び散ったりすることがあります。せっかくエアコンがきれいになっても、周りが汚れてしまっては台なしですよね。エアコン周りの養生も大切な準備です。
まずは、吹き出し口の養生を行います。ゴミ袋を用意して、ゴミ袋を切り、切った部分を左右に広げ、その後ガムテープでクーラーに固定します。
床に洗剤が垂れてしまったときのために、レジャーシートなども敷いておきましょう。
エアコンの送風ファンを掃除する手順
エアコンの送風ファンを掃除するのにも、手順があります。汚れている個所を見ると、そこへいきなり洗剤をかけてすぐにでも汚れを取ってしまいたい気持ちになりますが、手順を踏んで行っていった方が効果的です。以下の通りの順番で掃除をしていきましょう。
1.必要な道具を用意する
2.掃除機でホコリを除去する
3.ファンに洗浄剤をつける
4.ファンをゆっくり回転させる
5.数十分放置する
6.ブラシで掃除する
7.洗剤及びリンス剤を垂らす
8.十分に乾燥させる
それぞれを詳しく解説していきますよ。
必要な道具を用意する
まずは必要な道具を用意しましょう。掃除を始めてから「あ!アレがない!」と中断するのは嫌ですよね。しっかり準備をしてから掃除を始めるのがおすすめです。
・脚立
・ゴミ袋
・ハサミ
・雑巾
・ガムテープ及び養生テープ
・ファン掃除用スプレー
・ゴム手袋
・霧吹き
・掃除機
・古くなった歯ブラシ
以上を用意してから掃除を始めましょう。
掃除機でホコリを除去する
カビなど、ファンについている汚れを確認しやすくするため、掃除機で取れるホコリを先にある程度吸い取っておきます。
また、ホコリがついたまま洗剤をつけるよりも、先にホコリを取っておいた方が効果的ですよ。
ファンに洗浄剤をつける
吹き出し口を取り外し、スプレー式の洗浄剤のノズルを差し込んだら、均一にファンに洗浄剤を吹きかけます。
ファンをゆっくり回転させる
ファンはぐるりと一周ありますから、ゆっくり回すようにファンを5〜6回程度回転させて裏側にも洗浄剤を密着させます。
スプレーノズルが届かなかったところにも、洗浄剤を密着させることができますよ。
数十分放置する
20分から30分ほど、そのまま放置しておきます。その際、待っている間にも時々ファンを回転させましょう。汚れが落ちやすくなりますよ。
ブラシで掃除する
汚れが浮いてきたら、ここで古くなった歯ブラシで掃除を始めます。歯ブラシ以外にも、隙間用ブラシなどのブラシもおすすめです。100均などでも入手が可能ですよ。
あまり力を入れてこすってしまうとエアコンが傷つきますから、力を入れすぎないように注意して行いましょう。
水及びリンス剤で流す
汚れをこすり落としたら、水で洗剤を流すか、リンス剤がついている洗浄剤はリンス剤で流します。
リンス剤が付属していない場合は、霧吹きに水を入れて洗剤を流していきます。汚れが取り切れていなかった場合は、再度ブラシでこすって汚れを落としましょう。
洗剤を流し終わったら、雑巾で水分を拭き取ります。
十分に乾燥させる
せっかく掃除をしても、水分が残っていては、それがまたカビの原因になってしまいます。掃除をした後は、しっかりと乾燥させることを忘れずに。
1時間ほど送風運転をすれば、十分乾燥させることができますよ。
エアコンの送風ファンを掃除するときの注意点
エアコンの送風ファンを掃除する際、注意して行わなければいけないことがあります。
まずは、無理に分解しないこと。簡単に分解できそうな気もしますが、これはやめておいた方がいいでしょう。そして、直接洗剤には触らないこと。なんとなく面倒で素手でもいいかな?と思いますが、これもやめておいた方が無難です。
最後は、どうしても自分で掃除するのに不安なときは業者に依頼することです。専門の業者に頼めば分解掃除もしてもらえるでしょうし、安心ですよね。
それぞれの注意点を詳しく解説していきますよ。
無理に分解しない
どうせ掃除をするなら徹底的にと、パーツを分解して隅々まで掃除をしたくなります。しかし、知識がない状態でエアコンを分解すると、元に戻せなくなる可能性がありますよ。
分解して徹底的に掃除をしたいのであれば、専門の業者に依頼するのが確実です。自分で分解するのはやめておくのが安全と言えますね。
直接洗剤に触らないようにする
洗剤を使用するときは、直接触らないように注意しましょう。カビも落とすような刺激の強い成分が入っていますから、かぶれなど肌に影響を与える可能性があります。
スプレータイプなら直接触れないから大丈夫と思うかもしれませんが、飛び散る可能性もあるので必ず手袋をしてから掃除をするようにしましょう。
どうしても自分で掃除するのに不安なときは業者に依頼する
掃除の仕方はだいたいわかったけれど、これで本当に大丈夫かな?と不安に感じることもありますよね。また、自分の掃除でエアコンが故障してしまったらどうしようと心配になってくることもあります。
掃除による故障が気になるときや、掃除をしても汚れが落ちないときは、専門の業者に依頼するのがおすすめです。自分でする送風ファンの掃除に不安を感じるなら、プロに任せてしまいましょう。
エアコンの送風ファンの汚れを防止する方法
これまでエアコンの送風ファンの掃除方法を説明してきました。定期的に掃除を行うことは大切なことですが、頻繁に掃除をするのはなかなか大変なものです。
こまめに掃除をしなくてはいけなくならないように、汚れがつきにくくなるような予防もしていきましょう。普段から予防をしておけば、掃除の間隔を長くすることができますよね。
送風ファンの汚れを防止する方法は以下の3つです。
・室内の湿度を下げる
・冷房使用後は送風運転を行う
・フィルターを定期的に掃除する
それぞれを詳しく説明していきましょう。
室内の湿度を下げる
エアコンは室内の空気を吸い込んで、温めたり冷やしたりしてから、その空気を部屋へ吹き出します。室内の湿度が高ければ、その空気を吸い込んだエアコン内部の湿度も高くなってしまい、カビが生えやすい状況になってしまうのです。エアコン内だけでなく、室内そのものを除湿することが重要ですよ。
換気扇や扇風機を回したり、除湿器を使うなどして、室内の湿度はできるだけ下げるようにしましょう。
冷房使用後は送風運転を行う
エアコンの冷房機能を使うと、エアコンの内部の湿度が高くなり、カビができやすくなってしまいます。
エアコン使用後はすぐに電源を切ってしまわずに、送風運転をするようにしましょう。1時間ほど送風運転をすれば、エアコン内部の湿度が下がりカビを防ぐことができますよ。
内部クリーン機能があるエアコンなら、それを使えば同じ効果があります。リモコンにある内部クリーンのボタンを押し、設定をしておきましょう。
フィルターを定期的に掃除する
フィルターがホコリでいっぱいだと、ファンにもほこりが侵入します。また、汚れたフィルターから流れる空気は送風ファンを汚すことにも。
フィルターを定期的に掃除することは、ファンの汚れを防止することにも繋がりますよ。エアコンフィルターは簡単に取り外しができるため、まめに掃除をするのもそう大変ではありません。
フィルターを水洗いした後は、必ずよく乾かしてからもとに戻すことを忘れないようにしてくださいね。
エアコンの送風ファンは正しく掃除しましょう
エアコンの吹き出し口である送風ファンが汚れていると、エアコンから出る空気も汚染され、健康にも影響を及ぼすなど様々なリスクがあります。送風ファンは定期的に掃除をして、カビやホコリなどの汚れは取り除くようにしましょう。
掃除が大変だったり不安だったりする場合は、プロの業者に頼んでしまうのもひとつの手です。また、掃除の間隔を空けたい場合は、汚れ防止方法も併用するのがいいですね。
エアコンの送風ファンは正しく掃除して、汚れを放置することがないようにしたいですね。
■執筆/マミさん…以前家政婦として活動していた知識と20年超えの主婦業で培った経験を生かした、簡単な掃除や料理アイデアが人気の家事クリエイター。インスタグラムは@m.a.m.i.a
編集/サンキュ!編集部