「コーンスターチ」がないときの代用レシピを検証!おすすめの組み合わせも紹介【管理栄養士が解説】
2022/12/07
レシピをチェックしていざ料理をつくろうとしたところ、必要な調味料が切れていた……なんてこと、だれしも一度は経験があるでしょう。でもその調味料、もしかしたら代用できるかもしれません!
今回ご紹介するのは「コーンスターチ」の代用アイデア。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、コーンスターチの代用アイデアをレシピつきで紹介してもらいます。
「コーンスターチ」の原材料は?
コーンスターチとは、とうもろこしのでんぷんを精製して粉末にした食材です。原材料のとうもろこしは、よく知られているスイートコーン(甘味種)や ポップコーン(爆裂種)といった品種ではなく、デントコーン(馬歯種)やワキシーコーン(もち種)といった品種が使われています。
おもに洋風料理に使われることが多く、カスタードクリームやソースなどのなめらかなとろみを付ける以外にも、焼き菓子や揚げ物(衣)にサクサクとしたもろい食感を加えるのに役立ちます。そのほかには、餅、マシュマロ、板ガムなどのくっつきを防ぐための打ち粉として使われることもあります。
実際に、筆者の手元にあったコーンスターチの原材料を確認してみると、
・とうもろこしでんぷん
が主に使われていることがわかります。
「コーンスターチ」の代用になる食材は?
コーンスターチを料理に使った際になめらかさやサクサクとした食感を加えてくれるのは、でんぷんの作用によるものです。
もし、コーンスターチがない場合であっても、でんぷんを含む食材であれば代用できる可能性があるといえます。
代用食材の候補はいくつもあるのですが、筆者の自宅にあった食材のなかでコーンスターチの代用となりそうなものは、以下のとおりです。
・片栗粉
・米粉
・薄力粉
・強力粉
これらをつかって、どれがいちばんコーンスターチとしておすすめできるのかを検証してみました。
【検証1】「カスタードクリーム」で代用食材を比較
コーンスターチは、水分を加えて加熱するとトロリとした滑らかな食感が生まれます。
まずは、コーンスターチの使い道として一般的であるカスタードクリームを使い、代用食材と比較することにしました。
粉類1g、砂糖2g、卵3g、牛乳11gを混ぜ合わせ、電子レンジで加熱した結果は次のとおり。
【コーンスターチ】……とろみが付くまで一番時間がかかった。トロリとしたなめらかな仕上がり。
【片栗粉】……早いうちから泡立ちが起こり、早くとろみが付いた。一部ドロリとした仕上がり。
【米粉】……一番泡立ちが激しく、一番早くとろみが付いた。モッチリとした仕上がり。
【薄力粉】……とろみが付くのはゆっくりだった。サラリとした仕上がり。
【強力粉】……早いうちから泡立ちが起こり、早くとろみが付いた。ダマっぽく、やや硬めな仕上り。
【検証結果】決め手は「なめらかな仕上がり」!
画像のいちばん左が【コーンスターチ】、その隣の上段左から順に【片栗粉】【米粉】、下段左から順に【薄力粉】【強力粉】でつくったカスタードクリームを並べてみました。
加熱は一気に行わず、30秒、20秒、20秒ごとに時間を追加(※1)し、都度全体をよく混ぜるようにしました。
【コーンスターチ】【薄力粉】は表面にツヤが見られ、なめらかに仕上がったことが確認できます。それに対し、【片栗粉】【米粉】【強力粉】は均一にならず色ムラ(※2)が見られました。
カスタードクリームをつくるのであれば、コーンスターチに近い食感となめらかさのある【薄力粉】が、いちばんおすすめといえそうです。
※1……今回は少量の調理だったため、増量してつくる場合はさらに時間がかかります。
※2……電子レンジではなく、鍋をコンロにかけて常に混ぜながらつくった場合は結果が異なった可能性があります。
【検証2】「ホワイトソース」で代用レシピを比較
グラタンやシチューなどに使われるホワイトソースにも、コーンスターチが使われることがあります。今度は、ホワイトソースをつくって代用食材と比較することにしました。
粉類1g、牛乳35g、バター2.5gを混ぜ合わせ、電子レンジで加熱した結果は次のとおり。
【コーンスターチ】……トロリとしたなめらかな仕上がり。
【片栗粉】……一番早いうちから泡立ちが起こり、一番早くとろみが付いた。一部がドロリとし、ほかはサラサラした仕上がり。
【米粉】……全体がドロリとした仕上がり。
【薄力粉】……早いうちから泡立ちが起こり、早くとろみが付いた。サラリとした仕上がり。
【強力粉】……サラサラとした仕上り。
加熱後に塩、こしょう、ナツメグをそれぞれに適宜加え、味を調えました。
【検証結果】決め手は「仕上がりの早さ」!
画像のいちばん左が【コーンスターチ】、その隣の上段左から順に【片栗粉】【米粉】、下段左から順に【薄力粉】【強力粉】でつくったホワイトソースを並べてみました。
加熱は一気に行わず、1分、30秒、30秒ごとに時間を追加(※)し、都度全体をよく混ぜるようにしました。
【米粉】【コーンスターチ】【薄力粉】【強力粉】の順に粘度が下がり、いずれもホワイトソースとしてのなめらかさが見られました。それに対し、【片栗粉】は完全に分離してしまい、ソースとは呼べない仕上がりになっていました。
ホワイトソースをつくるのであれば、粉類の量を加減することで【米粉】【薄力粉】【強力粉】のいずれも代用することができるといえそうです。【米粉】であれば量を減らし、【薄力粉】は増やし、【強力粉】はさらに増やすとコーンスターチに近い粘度が期待できると思われます
※……今回は少量の調理だったため、増量してつくる場合はさらに時間がかかります。
【検証3】「焼き菓子」で代用レシピを比較
コーンスターチは、クッキーなどの焼き菓子の材料としても使われることがあります。今度は、チョコレートクッキー風の焼き菓子をつくって代用食材と比較することにしました。
チョコレート10gを電子レンジで溶かして粉類5gと練り合わせ、150℃に予熱したオーブンで15分ほど焼いた結果は次のとおり。
【コーンスターチ】……カリカリとした食感で、ほろほろとしたくちどけ。
【片栗粉】……しっとりカリカリとした食感で、くちどけはイマイチ。
【米粉】……サクサクとした軽い食感で、ほろほろとしたくちどけ。
【薄力粉】……サクサクしているが米粉より少し重い食感。
【強力粉】……サクサクとしているが薄力粉よりさらに重い食感。
【検証結果】決め手は「軽い食感」!
画像のいちばん左が【コーンスターチ】、その隣の上段左から順に【片栗粉】【米粉】、下段左から順に【薄力粉】【強力粉】でつくった焼き菓子を並べてみました。
焼き上がりの表面は、【コーンスターチ】以外にツヤとなめらかさが見られました。
食感は、【米粉】【コーンスターチ】【薄力粉】【強力粉】【片栗粉】の順にかたくなり、【片栗粉】以外は一般的なクッキーに近い食感でした。【片栗粉】のみ、口の中に残るような感覚があり、クッキーのような仕上がりではありませんでした。
もともと焼き菓子の材料として使われることの多い【薄力粉】ですが、コーンスターチを加えることでほろほろとしたくちどけを加えることができます(割合としては薄力粉の重量の20~30%)。このような使い方をするのであれば(※)、コーンスターチの代用は【米粉】がいちばんおすすめできるといえます。
※……コーンスターチを主材料として焼き菓子をつくることはあまり一般的ではないため、このように結論づけています。
代用コーンスターチの楽しみ方は?
今回比較した食材は、いずれもでんぷんを多く含んでいますが、それぞれ性質がことなることが検証によってわかりました。
このなかで【コーンスターチ】は時間が経ってもクリームやソースなどのなめらかさを維持しやすいのですが、ほかの食材を代用した場合は水分が分離して仕上がりが時間とともに変化する可能性があります。そのため、代用食材を使った場合は、調理したら早めに食べることをおすすめします。
なお、コーンスターチには、洋食以外にも中華料理のとろみ付けという使い道もあります。いずれも片栗粉と同じように水に溶いて料理に回し入れ、ほどよいとろみが付くまで加熱するといいでしょう。食材の性質によって量の増減は必要ですが、あんかけ料理やスープなどのゆるいとろみがある料理に応用することができますよ。
ぜひ、さまざまな料理のおいしさアップに、代用コーンスターチを活用してみてくださいね!