テーブルの上のみかん

「みかん」を食べすぎるとどうなる?知っておきたいみかんのメリット&デメリット

2022/11/22

みかんに含まれる栄養素には、役立つ作用がある反面、とり過ぎてしまうと体調をくずす危険性もあるのだとか!

管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、みかんの食べ方によって体にどのような悪影響が及ぶのかと、1日に食べてもいい量の目安について紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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生活習慣予防やアンチエイジングに!みかんを食べる「メリット」

みかんといってもさまざまな品種がありますが、ここでは一般的な「温州(うんしゅう)みかん」について述べていきます。

みかんに含まれる主な栄養素には、ビタミンCと、β(ベータ)-クリプトキサンチンがあります。

ビタミンCには、

・皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼け、しみ、そばかすを防ぐ
・ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める
・毛細血管・歯・軟骨などを正常に保つ
・植物性食品に含まれる鉄の吸収を高める

といった美容や健康維持に役立つ働きを持っています。

β-クリプトキサンチンは、みかんの色素成分であり、

・糖尿病、肝機能障害、動脈硬化などのリスクを低下

といった生活習慣病予防に役立つ働きを持っています。また、それ以外にも必要に応じて体内でビタミンAに変わり、目や皮膚の粘膜を健康に保つという役割も期待できます。

胃腸障害や肌の色が変色することも?みかんを食べすぎる「デメリット」

小さな女の子剥離オレンジ ピール
Hakase_/gettyimages

さまざまなメリットが得られるみかんですが、過剰に摂取することで思わぬデメリットが生じることもあります……。

吐き気や下痢などを起こす

みかんに含まれているビタミンCは、水に溶けやすい性質があり、摂取しても短時間で尿などに排泄されやすいとされています。ところが、一度に摂り過ぎた場合には吐き気や下痢を起こす可能性があるので注意が必要です。

国内では上限摂取量は設けられていませんが、アメリカでは2,000mgとされています。そのため、仮にその量をみかんでとるとすると約60個に相当(1個100gの場合)。この量は簡単に食べられる量ではないため、みかんの食べ過ぎによってビタミンCを過剰摂取する可能性は低いといえます。

ただし、それよりも少ない量であっても、水分や食物繊維のとり過ぎが影響して同じような不快症状が起こることが考えられます。

手足などが黄色くなる

生活習慣病などの予防に役立つβ-クリプトキサンチンですが、こちらもとりすぎ(摂取量の目安は後述します)によって思わぬ影響があらわれることに……。

β-クリプトキサンチンは、油脂に溶けやすい性質を持っています。体内では脂質と一緒に存在するのですが、多く摂り過ぎると皮膚の表面近くの脂肪組織に沈着してしまいます。すると、とくに手のひらや足の裏などが黄色く変色する「高カロチン血症」や「柑皮症(かんぴしょう)」と呼ばれる状態になるのです。

同じように皮膚が黄色くなる症状に「黄疸(おうだん)」がありますが、眼球まで黄色くなることはないため簡単に判別できます。皮膚の色の変化以外には不快な症状はないといわれています。

ただし、症状が進むと肘や膝などの関節、顔面にも着色がみられることもあるため、やはり食べ過ぎには気を付けたいところ。

みかんを楽しむ量とタイミングは?

みかんがたくさん。
日本の果物。
syan/gettyimages

上記のとおり、みかんに含まれる栄養素にはメリットとデメリットの両方があります。

そこでここからは、安心してみかんを楽しめる量とタイミングについて解説していきます。

健康な成人は1日にどれくらい食べても大丈夫?

まずは、日本人の食事摂取基準(2020年版)より、1日に必要とされるビタミンCの摂取量を参考にしてみましょう。
男女ともに推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)は、以下のとおりです。

・12歳以上:1日100mg

そして、1個100gあたり約35mg含まれているため、それを満たすみかんの量は3個となります。

ちなみに、厚生労働省の食事バランスガイドによると、果物の1日の摂取目安量はみかんだけを食べる場合は2~3個となっています。そのため、ほかの食事とのバランスを崩さずにみかんを取り入れるのであれば、3個くらいまでが目安といえそうです。


次に、β-クリプトキサンチンのとり過ぎの基準とされている20mgを参考に、みかんの量を計算してみましょう。
1個100gには1mg含まれているため、みかん20個が相当します。

なお、β-クリプトキサンチンはみかん以外の食材にも含まれていることから、実際にはもっと少なく見積もる必要があります。あくまでも、食べすぎにならないための上限値として、みかんを食べる場合の参考にしてもらえたらと思います。

そのほかにも、エネルギーや糖質のとり過ぎによる肥満の可能性も忘れてはいけません。

みかん3個で147kcalと(※)約33.0gの糖質、20個で980kcalと約220.0gの糖質を含んでいるため、これらを考慮して食べるみかんの個数を決めてみてはいかがでしょうか。


※……温州みかんの収穫時期の違いでわずかに差異があるため、「約」という表記にしています。

どのタイミングで食べるのがいい?

みかんには、日焼けなどを防ぐ働きのあるビタミンCが多く含まれています。その効果を期待するのであれば、朝食べるのがおすすめ。

朝食後のデザートでもいいですが、朝食前に食べるのもいいでしょう。水分や食物繊維も含んでいるため、食前に食べることで食欲を落ち着けてくれたり、食後の血糖値上昇をゆるやかにして脂肪を付きにくくしてくれる効果が期待できるからです。

もちろん、そのためには1個食べたくらいでは効果を実感しにくいかもしれませんので、2~3個まとめて食べてもOK。ただし、食事が満足にとれなくなってしまうと栄養バランスが崩れやすくなってしまいますので、その日の体調や個人の体質に合わせて食べる量は調整してみてくださいね。

なお、ビタミンCは一度に多くとっても体内から排出されやすいため、数回に分けて食べた方が効果を持続させやすくすることが期待できます。
そのため、ほかの食事の前と分けて食べるようにすると、一日を通して体内のビタミンC濃度を維持することに役立ちます。

いつ食べる場合であっても、ビタミンCや食物繊維が含まれている皮の内側の白い筋はむかずに食べるようにするのがおすすめですよ。


正しい量さえ把握できていれば、みかんはメリットが多い食品です。みかんのメリット・デメッリトを理解し、上手に取り入れていきましょう。

■執筆/監修・・・

管理栄養士・ゆかりさん

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとしても活動。

参考サイト

 
 

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