「片栗粉」がないとき代用できるものは?管理栄養士おすすめの代用食材を紹介!【用途別に解説】

2022/07/18

いざ料理をつくろうとしたところ、必要な材料が切れていた……なんてこと、だれしも一度は経験があるでしょう。

でもその食材、もしかしたら代用できるかもしれません!

今回ご紹介するのは、「片栗粉」の代用アイデア。

料理のつなぎとして加えたり、とろみをつけるために水に溶いて使われることが多く、あんかけづくりには必須とされている片栗粉。モチモチ食感のスイーツをつくったり、揚げ物の衣に使われるなど、メイン食材ではないものの使い道は幅広くあります。

この記事では、管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、片栗粉の代用アイデアをレシピつきで紹介してもらいます。

管理栄養士、食生活アドバイザー。一女のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとして...

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片栗粉の原材料は?

片栗粉とは、ユリ科の「カタクリ」という花の地下茎に含まれるでんぷんを生成してつくられた粉だったのですが、自生するカタクリの減少に伴い、現在は収穫量の多い「馬鈴薯(じゃがいも)」のでんぷんが利用されるようになりました。

明治時代くらいに原材料が切り替わったのですが、同じような使い方ができることから名称がそのまま残ったのだとか。

ちなみに、片栗粉100gあたりの主な成分は、
・タンパク質 0.1g
・脂質 0.1g
・炭水化物 68.1g
となっていて、炭水化物の内訳はでんぷんが100%占めています。
<日本食品標準成分表2020年版(八訂)参照、じゃがいもでん粉として収録>


でんぷんは、水を加えて加熱することで糊(のり)状になる性質を持ち、食材ごとに含まれるでんぷん成分の割合や粒の大きさなどによって、吸水性・膨潤性・粘性・透明性・安定性といった性質に違いがあります。

片栗粉に代用できるものは?

片栗粉を使わずに、じゃがいも以外のでんぷんを含むもので代用する方法はいくつもあります。ここからは、代用レシピについてご紹介します。

【1】 薄力粉
【2】 強力粉
【3】 天ぷら粉
【4】 米粉
【5】 くず粉
【6】 コーンスターチ

ここでは、一般的にスーパーなどで入手しやすいものをご紹介します。

いずれも、でんぷんを多く含みますが、【1】~【4】は片栗粉よりもでんぷんが少なくタンパク質が多め、対して【5】~【6】はでんぷんが多くタンパク質がほとんど含まれていない食材となっています。

【1】~【3】は、いずれも小麦を原材料としたものですが、【3】のみ小麦以外にベーキングパウダーや加工でんぷんなどが混じっています。

つくり比べてみた結果……

片栗粉は、一般的にサラサラとした性状で、白い粉末状をしています。(写真左端)

上段左から順に【1】~【3】、下段左から順に【4】~【6】を並べたのですが、見た目はいくつかに分類できます。

【1】~【3】は、小麦に色素成分が含まれていることから、ほかと比べるとわずかにクリーム色。【5】は、小さな塊状で流通していることがあるので、写真では元の状態と粉末状に砕いた状態が分かるよう、両方を写しています(本記事では、すべて粉末状にして使用)。

片栗粉は、大きく分けると3つの使い方をされることが多いです。

A:とろみづけ
B:つなぎ
C:揚げ物の衣

今回の検証では、それぞれの使い方でどれが代用アイテムとして最適かを、比較してみることにしました。

A:とろみづけ「ホタテの中華あんかけ」で比較

□作り方
鍋で水と切ったホタテを煮立て、鶏がらスープの素、塩こしょうで味を調え、刻んだニラを加え、火を止める。同量に分け、それぞれに【1】~【6】と水で溶いたものを加え、とろみがつくまで加熱する。
(料理約30gに対し、比較食材と水は各小さじ1/2を使用)

■結果
【片栗粉】:透明度が高く、しっかりととろみがついた
【1】【2】:白濁し、とろみは弱かった。ダマができやすい
【3】:一番白濁し、とろみがついた。ダマができやすい
【4】【6】:少し白濁し、ややとろみがついた
【5】:透明度が高く、ややとろみがついた(◎)

透明感のある見た目に仕上げたい場合、代用には【5】の「くず粉」が最適。とろみの加減は、増量することで対応ができそう。見た目にこだわらない場合は【4】の「米粉」、【6】の「コーンスターチ」も、同様に増量することで代用できる可能性が高いです。

小麦を使ったものは、汁に加えるよりも、ルーをつくるときのように、あらかじめ油で炒めてまとめておく方がとろみづけには向いている可能性があります。

B:つなぎ「大根もち」で比較

□作り方
大根をすりおろし、半量になるまで水気をしぼって同量に分け、それぞれに【1】~【6】と食塩少々を加えて成型し、ごま油を熱したフライパンで両面を焼く。
(しぼった大根10gに対し、比較食材は小さじ1/2を使用)

■結果
【片栗粉】まとまりやすく、安定して焼き上がった
【1】【2】【3】:片栗粉を使ったときと、ほぼ変わりない仕上がり(◎)
【4】【5】:まとまりにくかったが、安定して焼き上がった
【6】:まとまりにくく、崩れやすかった

大きな差もなく、小麦を含んだ【1】の「薄力粉」、【2】の「強力粉」、【3】の「てんぷら粉」の仕上がりが片栗粉に近いという結果に。【4】の「米粉」と【5】の「くず粉」は、焼くまでは不安を感じたが、焼き上がりは崩れることなく、片栗粉のような“もっちり”ではなく、“さっぱり”とした口当たりになりました。

C:揚げ衣「唐揚げ」で比較

□作り方
鶏むね肉の表面全体をフォークで突き刺し、10%重量の塩麹と蜂蜜を和え、1時間以上なじませる。同量に切り分け、それぞれに【1】~【6】をまぶし、熱した油で両面をこんがり揚げる。
(鶏むね肉10gに対し、比較食材は小さじ1/4程度を使用)


■結果
【1】【2】【3】【6】:片栗粉とほぼ同じに仕上がった
【4】:片栗粉と比べて軽い口当たりに仕上がった
【5】:片栗粉と比べてカリっとした食感に仕上がった

今回は、粉をまぶしてすぐに揚げたため全体的に薄づきの衣となってしまい、食感の違いはわずかにしか見られませんでした。粉をまぶしてしばらくなじませた後(バッター液につけたような水分と混ざってドロッとしたような状態)であれば、大きな差が見られた可能性あります。

結論としては、食感が異なるがいずれも代用が可能といえます。仕上がりの好みに応じて粉を選んだり、ブレンドして使うこともおすすめ。

なお一般的には、
・片栗粉:竜田揚げのようにカリっとした食感がある、白っぽい見た目になる
・小麦粉:しっとりとした食感で、冷めても持続しやすい
・米粉:油を吸いにくいのであっさりと仕上がる
・くず粉:カリッとした食感がある
・コーンスターチ:サクっとした軽い食感が持続しやすい

といった違いがあるといわれています。

粉もの以外でも代用できる?

片栗粉がない場合、どのような目的で使うかによって、代用に向くものは変わります。

その時にちょうど代用できるものがなければイマイチな仕上がりになる可能性はありますが、その場合は思い切って違う料理に仕上げてみてはいかがでしょうか?

とろみづけ、つなぎ、揚げ物の衣として【卵】も万能なのでおすすめ!(卵とじとして/水分が多くゆるくなりやすいので調整が必要/揚げ衣の場合は、さらにコーンフレークやパン粉をつけると◎)

また、片栗粉の原料である【じゃがいも】をすりおろし、1/5の重量になるまで水分をしぼると、薄力粉や米粉と同等のでんぷん含有量に近づけることができます。実際に、つなぎとしてじゃがいもを使用するレシピがいくつもあることから、片栗粉の代用として使える可能性も!

ぜひ、料理づくりに役立ててみてくださいね。

■執筆/監修・・・

管理栄養士・ゆかりさん

管理栄養士、食生活アドバイザー。4歳女児のママで出張料理、料理教室、講演、栄養相談も手掛けるほか、ライターとしても活動。

 
 

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