「鶏がらスープの素」がないときの代用調味料を検証!おすすめの組み合わせも紹介【管理栄養士が解説】
2023/01/10
レシピをチェックしていざ料理をつくろうとしたところ、必要な調味料が切れていた……なんてこと、だれしも一度は経験があるでしょう。でもその調味料、もしかしたら代用できるかもしれません!
今回ご紹介するのは「鶏がらスープの素」の代用アイデア。
管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんに、鶏がらスープの素の代用アイデアをレシピつきで紹介してもらいます。
「鶏がらスープの素」の原材料は?
鶏がらスープの素は、鶏を煮出してだしを取ったものを粉末や顆粒に加工した調味料です。
おもに「がら」と呼ばれる、肉や内臓を除いた骨・軟骨などが付いた部位が使われており、商品によっては野菜エキスなどが加えられています。食塩も加えられているので、そのまま湯に溶いてスープとして使うことはもちろん、和え物や炒め物などの幅広い料理にも用いられます。
実際に、筆者の手元にあった市販の鶏がらスープの素の原材料を確認してみると、
・食塩
・乳糖
・チキンパウダー
・酵母エキスパウダー
・砂糖
・チキンオイル
・香辛料
が使われていることがわかります。そのほかに、加工デンプン、香料、酸化防止剤といった添加物も加えられていました。
このことから、<塩味><甘味><うま味>のバランスが取れている調味料であれば、鶏ガラスープの素の代用として使いやすそうだといえます。
「鶏がらスープの素」と「中華スープの素(中華だし)」の違いは?
「鶏がらスープの素」と似たような調味料に、「中華スープの素(中華だし)」があります。「鶏がらスープの素」の多くは鶏と野菜のうま味が含まれているのに対し、「中華スープの素」には鶏以外にも、豚や牡蠣のうま味が使われていることもあります。
そのため、「中華スープの素」の方がより複雑な味わいで、うま味が強いことが期待できます。
また、名前の通り「中華スープの素」は主に中華料理に使われますが、「鶏がらスープの素」はシンプルなので和洋中いずれの料理にも使いやすくなっています。
「鶏がらスープの素」と「中華スープの素」を合わせて使うといった方法もあるため、使い分けるのはもちろん、一緒に使って相乗効果を得ることもできるのです。
「鶏がらスープの素」の代用になる調味料は?
前述したように、原材料が似た調味料もある「鶏がらスープの素」ですが、実際に使う場合にどれだけ違いがあるのでしょうか。
「鶏がらスープの素」の味を決める要素である<塩味><甘味><うま味>のある調味料であれば、理論上は代用することができます。
代用食材の候補はいくつもあるのですが、筆者の自宅にあった食材や調味料のなかで「鶏がらスープの素」の代用となりそうな食材は、以下のとおりです。
・中華スープの素
・コンソメ
・チキンコンソメ
・ブイヨン
・和風合わせだし(かつお、昆布)
・昆布だし
これらを比較し、どれがいちばん「鶏ガラスープの素」としておすすめできるのかを検証してみました。
【検証1】「スープ」をつくって代用レシピを比較
鶏がらスープの素は名前のとおり、湯に溶いてスープをつくる使い方があります。鶏がらスープの素を使えば、鶏のうま味と程よい塩味が感じられるスープを手軽につくることが可能です。
では、ほかの調味料を代用した場合、どのような違いがあるのでしょうか。
湯30mlに対して塩分濃度がほぼ1%になるように代用調味料の分量を調整し、以下のようにスープをつくってみることにしました。
【鶏がらスープの素】……0.8g
【A】中華スープの素……0.8g
【B】コンソメ……0.6g
【C】チキンコンソメ……0.6g
【D】ブイヨン……0.5g
【E】和風合わせだし……0.8g
【F】昆布だし……0.7g
※……商品によって塩分濃度が異なります。今回は、写真の商品を使った場合の数値となります。また、通常のスープ類の塩分濃度は1.2~0.8%ほどといわれています。参考にする場合は、お好みによって分量を調整してください。
【検証結果】決め手は「甘味」と「香り」のバランス!
見た目に付いては、【C】【D】がいちばん鶏がらスープの素に近い色となりました。
また、【E】【F】については、溶け残りが見られました。
それ以外で、それぞれの代用鶏がらスープの素について感じたことを箇条書きでご紹介します。
【A】 強いうま味が感じられ、鶏がらスープの素にはない食欲をそそる香りがあった。
【B】 原材料のトマト由来なのか、わずかな酸味や野菜のような香りがあった。
【C】 強いうま味が感じられ、やや甘味も感じた。
【D】 強いうま味が感じられ、【C】よりもさらに甘みを感じた。
【E】 やや甘味があり、かつお節の香りを強く感じた。
【F】 あっさりとした味わいで、昆布の香りを感じた。
いずれもうま味のある味わいでしたが、代用鶏がらスープの素としては【A】がいちばん違和感がありませんでした。
【検証2】「ナムル風」をつくって代用レシピを比較
今度は調理法を変えて、引き続き検証してみました。
電子レンジで加熱したもやし30gに対し、先ほどの分量の半分を混ぜ合わせ、塩こしょう少々、ごま油0.2gを混ぜ合わせたナムル風の料理をそれぞれつくることにしました。
【検証結果】いずれも代用調味料としておすすめ!
先ほどのスープとは異なり、見た目に違いは見られませんでした。
味見をしたところ……
【A】 しっかりとした旨味を感じた。
【B】 あっさりとした味わいで、わずかに香辛料の刺激を感じた。
【C】 あっさりとした味わいであった。
【D】 【B】、【C】よりもしっかりとした旨味を感じたが、やさしい味わいであった。
【E】 かつお節の香りが感じられ、和風の味わいであった。
【F】 あっさりとした味わいであった。
という結果になりました。
ナムルは韓国の和え物料理で、本場ではゆでた野菜に塩、にんにく、ごま油だけでつくられることもあります。そのため、必ずしも鶏がらスープの素を加えてつくる必要はありませんが、家庭で簡易的につくる方法として使われることがあります。また、和風ナムルなどの料理レシピも見られるため、調味料にアレンジを加えてつくっても違和感が少ない料理でもあります。(そのため、この記事では「ナムル風」という表現にしています)
今回の検証では、簡易的なナムルであれば【A】~【F】のいずれも合わせられるということがわかりました。
代用鶏がらスープの素の楽しみ方は?
鶏がらスープの素と比較することで香りや味わいなどの差が感じられましたが、代用調味料単体で味わえばそれほど際立った差は感じられなかった可能性が考えられます。
そのことからも、必ず「鶏ガラスープの素」を使わなければならない、という料理自体は少ないのかもしれません。
スープに使用する場合は、液体に溶け込んだ成分が味を感じる舌の細胞に触れやすく、わずかな違いが感じられやすいですが、和え物のように固体に混ぜるのであれば液体ほどしっかりと感じにくくなっています。そのため、和え物などは使い分けの必要をあまり気にしなくてもいいといえるでしょう。
ただし、スープ以外にもあんかけや煮物の汁に使うなど、仕上がりの色を変えたくない場合は【C】チキンコンソメ、【D】ブイヨンを使うことをおすすめします。
それ以外の料理であれば、この記事で紹介したようなうま味を含んだ調味料を使ってみてはいかがでしょうか。
炒め物などの味付けに使う場合も、和え物と同じく色を気にすることはほとんどないため、いずれの調味料も代用することができるといえます(和風、洋風、中華風などは、だし以外にも、しょうが、にんにく、ハーブ、香辛料などを使い分けることで調整が可能という点も踏まえています)。
また、単一ではなく、いくつかを少しずつ組み合わせるといった使い方もおすすめです。うま味成分は、多くなるほど複雑なおいしさを生み出すといわれていますよ。
ぜひ、用途にとらわれず、幅広い使い方で代用鶏がらスープの素を活用してみてくださいね!