確実に太る食事の条件!?あなたの食べ方「食欲の暴走」を招いているかも
2024/04/19
太る原因はさまざまですが、ひとつ確実に言えることがあるとすれば「食べ過ぎは太る」ということです。
では、なぜ食べ過ぎてしまうのでしょうか?管理栄養士と食生活アドバイザーの資格を持つライターのゆかりさんによれば、食べ過ぎる人は食事習慣に問題があるケースが少なくないんだとか。
食べ過ぎになりやすい食事とその理由、食べ過ぎを抑える食事ついて紹介してもらいました。
食欲は体のどこでコントロールされている?
食欲は、脳の中の視床下部という部分で調整されています。
視床下部では、肝臓・消化管・膵臓・脂肪組織・筋肉などからのエネルギー代謝や蓄積の状態、ホルモンの分泌などの影響によっても、食欲が左右されることがわかっています。それ以外に、心の状態(ストレス、不安、悲しみ、喜びなど)や記憶、視覚、聴覚などからの刺激も複雑に食欲に関わってきます。
具体的には、
・体内での栄養不足
・糖質が多いものを食べた後
・ストレスを強く感じている状態
・おいしそうな見た目や香りを感じた状態
・排卵後から次の月経までの期間(閉経前の女性の場合)
・食欲抑制ホルモンの感受性の低下(すでに肥満の場合)
などの場合に、食欲が増進しやすいと考えられています。
こんな食習慣が「食欲を暴走」させる!
食欲が増進する要因は、いくつもあることがわかりました。要因が複数重なったり、あるいは深刻化すると食欲が暴走して、食べ過ぎにつながってしまうわけです。
ここからは、どんな食事を避けたほうがいいのか?について考えてみましょう。
極端な食事ダイエット
ダイエットとは、食事の量を減らすことだけでなく、糖質や脂質といった特定の栄養素だけを通常よりも少なくする食事のことも含んでいます。
たとえば、糖質を厳しく制限した食事をした場合、食事のほとんどがたんぱく質と脂質に偏ることで、体の中は栄養不足状態に……。もちろん、単純に食べる量が少なく、消費するエネルギーに対して摂取するエネルギーが少ないことも栄養不足につながります。
それによって血糖値などが減少すると、脳の摂食中枢が刺激されて空腹を感じ、食欲が高まりやすくなるのです。また、その食欲を我慢すると、ストレスとなって同じく摂食中枢が刺激されて悪循環に……。
食事の回数が少ない
食事によって血糖値が上がってくると、それを下げるインスリンというホルモンが膵臓から分泌されます。
インスリンが血糖値を下げる仕組みは、全身の細胞に血液中の糖を取り込ませることによるもの。ただし、空腹時に糖質が多いものを食べたり飲んでしまうと、急激な血糖値上昇を招き、大量のインスリンが分泌されることに。
その結果、脂肪として溜め込まれやすくなってしまい、太ってしまうのです。食事の回数を減らすなどして胃に何も入ってない状態が長く続いた後の食事は注意が必要。
とくに精製された主食(白米、パン、麺など)や、砂糖などの甘味が添加された菓子・飲み物などには糖質が高い割合で含まれているため、「食事回数減らしているからいいよね」などの理由で、こういったものを一気に食べたりするのは避けたいところ。
濃い味が中心の食事
封を開けるだけ、温めるだけで簡単に食べられる加工品や、脂質と塩分が多く含まれるファストフードの食事が多い人は注意が必要です。
これらに共通することは、食材そのものの栄養素が加工・加熱によって失われやすく、なおかつ食欲が増すように塩分や香辛料、ハーブ、香料などが多く使われている点にあります。とくに、脂質と塩分の組み合わせは食欲増進効果が高くなるとされているため、ついつい食べ過ぎてしまうことにも。
なかには、保存性や嗜好性などをより高めるために、多くの食品添加物が使われているものもあります。食品添加物の種類によっては、体に必須の栄養素の吸収をさまたげたり、排泄を促すことが指摘されているのです。
こういった食事が中心になってしまうと栄養不足に陥りやすくなり、味が濃いものをどんどん求めてしまい、さらに食欲を増してしまうという悪循環に……。
アルコールと一緒の食事
アルコールは、消化酵素の分泌を増やしたり胃の血流を良くすることで胃の動きを活発にし、食欲を増進させます。
また、体に入ってきたアルコールを優先的に代謝しようとするため、アルコールと一緒にとる食事の糖質や脂質などは後回しにされることに。すると、体内に脂肪として蓄積されてしまうのです。
さらに、体に入ったアルコールは、肝臓で分解される過程で中性脂肪の合成を促します。そのため、飲んだ量に比例して中性脂肪も増え、体に蓄えられてしまいます。
加えて、アルコールの分解にはミネラルやビタミンも消費されます。それらが不足してしまうと、食べたものをエネルギーに変えることがうまくできず、余った分は脂肪になってしまうことに……。
アルコールが直接太る原因ではありませんが、これだけ太りやすい影響があるため、お酒の飲む頻度や一緒に食べるものには注意が必要です。
「食欲の暴走」を止めるための食事方法とは?
食欲の暴走を止めるために、とくに意識してほしいことは次の3点です。
1. 定食スタイルの導入
2. 「ながらスマホ」は食事中もNG
3. 「おいしそうな香り」はあえて控えめに
具体的な内容は、つぎの通り。
1. 定食スタイルの導入
栄養バランスが整っているというのは、摂取エネルギーのうち、三大栄養素である50~65%が炭水化物、20~30%が脂質、13~20%がたんぱく質で占められている状態です。
これを実践するには、栄養計算が必要に思われるかもしれませんが、おおまかな目安があるので次のことを参考にしてみてください。
3食それぞれに、主食(ごはん、パン、麺など)、主菜(肉、魚、卵、豆などがメインのおかず)、副菜(野菜、海藻、きのこなどがメインのおかず)を揃えること。いわゆる「定食スタイル」にすれば、体に必要な三大栄養素に加え、ミネラルやビタミンも取り入れやすくなります。
ミネラルの中には、不足することで食欲を増進させるものもあるため、できるだけ多くの食品を組み合わせて食べるようにすることで栄養の偏りを防ぐことに。
ただし、主食や主菜を大盛りにしたりお代わりしてしまうと、バランスが崩れやすくなってしまうので注意してください。たんぱく質は、1食当たり手のひら1つにのるくらいをめざすと、3食分で1日に必要なたんぱく質がとれるといわれています。
2. 「ながらスマホ」は食事中もNG
次に、食事の満足感を高める工夫ですが、噛みごたえのある食材を取り入れたり、ゆっくりと心を落ち着けて食べることに集中することをおすすめします。
なんとなくテレビをつけたままにしたり、スマートフォンを操作したり、雑誌などを読みながらの食事では、お腹は満たせていても心が満足せず、ある程度食べても口寂しいと感じることに……。
毎食時間をかけられなくても、1日のうち1食だけでも外からの情報を遮断し、目の前の食事を五感で楽しむようにしてみましょう。
料理を前にしてすぐに食べ始めるのではなく、目で見て盛りつけや色合いを楽しんだり、口に含んだときのかすかな風味を感じ取ったり、噛むときの音や舌に触れる感覚などに意識を向けることで、「食事を堪能した」という心の満足感が得られます。こういった食べ方はストレスを和らげるともいわれています。
そして、同時に早食いが避けられ、糖質の消化や吸収をおだやかにして血糖値の急上昇を抑えます。さらに、時間をかけてよく噛むことで食べる量が多くなくても満腹感を感じることも叶うのです。
3. 「おいしそうな香り」はあえて控えめに
香りはおいしさの一部でもありますが、香辛料、ハーブ、香料は食欲増進効果があります。また、香りが強い料理は脂質が多く含まれているものが多い、というのも理由の一つ。
そこで食欲を暴走させないためには、あっさりとした料理を選ぶのがおすすめです。「あっさり」というのは、味つけや脂質などの割合が適度もしくは少なめなだけでなく、食材の持つ繊細なうま味や甘味、塩味が感じられるようにつくられているものを指します。高級料亭の食事……というとイメージがしやすいでしょうか。
もちろん、高価なものを選んで食べることをおすすめしているわけではありません。シンプルな味つけの料理を選んでほしいのです。
食材は鮮度がよく旬のものを選べば、ほとんど味つけをしなくてもおいしいものはたくさんあります。なんでもかんでも、調味料をつけるような食事をしている人は、一度それをやめてみることをおすすめします。
食事はメリハリをつけて楽しもう!
食べ過ぎが習慣化している人にとっては、ここで提案した内容はハードルが高いと思われるかもしれません。
食事とは、体に栄養を補給するだけでなく、心も満たしてくれる大切な行為です。そのため、我慢することばかりになってしまうと、どんなによいとわかっていても長続きしないもの。
そういう場合は、週に1日は好きなものを食べてよい日に設定し、少しずつよい食習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。その際は、手当たりしだいに食べるのではなく、食べられない残りの6日間のうちに「本当に自分が食べたい」と思ったものにしぼり、ご褒美としてそれを食べるようにすると目標ができて励みになります。
このときばかりは、食べ過ぎの罪悪感は忘れ、好きなものを食べることを堪能するように徹しましょう。
ぜひ、体の仕組みを上手に利用し、ストレスなく食欲の暴走にストップをかけていきましょう!